田中
田中龍之介と言う男を、紹介しよう。
「龍ー!外見ろ外!」
「なんだよノヤー」
「潔子さんのクラスが体育だ…!」
「ノヤっさん…」
その1、清水センパイを盲信してる。
確かに清水センパイは美人だ。そんじょそこらのアイドルなんかよりよっぽどかわいくて、そこら辺のモデルよりずっと綺麗。都会の人にも負けてない。でもそんな崇拝するか?気持ちはわからなくもないけど、清水センパイが困惑しているのが目に浮かぶ。あと完全にシカトされても喜んでるとかヤバい。
「田中次は春高だろ?頑張れよ」
「ったりめーだろ!俺もバシバシ決めていくぜ!」
その2、部活に全振りのモチベ。
部活ではエースを張ってるらしい。いや、センパイがいるから次期が付くのか?でもまぁ結構重要な役どころらしい。面倒見もいいし部活を頑張るのは別にいいんだけどさ、そのモチベーションを少しでも勉強に回さないと来年大変な苦労をすることになる。主に田中のチームメイトが。
「田中ー、お前部室に答案落としてたぞー」
「はぅあ!すまん木下!大地さんに見つかってないか!?」
「見つかってないけど、お前この点数はねーべ」
「うるせー!」
その3、単純にバカ。
前にも少し触れたが、テストの結果を見る必要がないくらいにバカ。私も人のことは言えないけど、さすがに全教科ギリギリなんて危ない橋は渡ってない。全教科じゃなくても渡ってない。夏休み前は赤点をギリギリで逃れたらしいけど、ふだんから赤点取らないようにしてもらいたい。あと、とりあえず授業中に寝るなと言いたい。
「あ、柏手、次の授業なんだっけ?」
「…科学」
「サンキュー」
その4、私の前の席にいること。
そればっかりは席替えの結果だから仕方ない。文句を言うだけ無駄。だけど声を大にして言いたい。寝てることが多いからあまり気付かないけど、黒板がものすごく見辛い。起きてちゃんとしてろと言いたいけど、邪魔だから寝てろとも言いたい。
「あ、あとさ、宿題出てたっけ?」
「出てないけど、小テストがあるよ」
「マジか!」
その5、見た目のわりにフレンドリー。
ほとんど話す機会もない私にも、とてもお気軽に話しかけてくれる。見た目はヤンキーなのに中身は全然違ってすごくいいやつ。もちろんそれは私だけにたいしたものじゃない。
「よかったら教えようか…?」
「え、でも柏手も勉強するだろ?」
「科学は、大丈夫」
「ならすまんが教えてくれ」
その6…は、私の方に問題がある。
「科学反応式は、こうすると、分かりやすいよ」
「んー?」
「これが基本。こっちに今から求めたいもの」
どうしてか、私は田中のことが好きらしい。理由は全くの不明。気付いたら好きだった。輝いて見えるくらいには田中に対して前後不覚状態。私の脳内でどんな科学反応でもあったのか、誰かわかる人がいたら是非教えてほしい。
「ここの答えがほしいからこうなるでしょう?」
「おう」
「で、ここの比率がこうだから…こうなる」
「お?」
「なんとなくわかった?」
「おう、なんとなく」
田中は地頭はいいんだと思う。ただベクトルが勉強に全く向いてないだけ。だからちゃんと覚えようとすればできる。
「こうか?」
「…違う」
「え」
できる、はず。
「考え方はあってるよ。でも違う」
「うをー、赤点はとりたくねぇ」
「だから、頑張ろう」
「おう」
頑張ったところで間に合わないだろう。だって授業開始まであと5分もない。元素記号も危うそうだから、たぶんまた赤点だと思う。でも赤点だったらまた聞きに来てくれるのかな、なんて。
起こりもしない化学変化に期待してるんだからどうしようもない。
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田中龍之介と言う男を、紹介しよう。
「龍ー!外見ろ外!」
「なんだよノヤー」
「潔子さんのクラスが体育だ…!」
「ノヤっさん…」
その1、清水センパイを盲信してる。
確かに清水センパイは美人だ。そんじょそこらのアイドルなんかよりよっぽどかわいくて、そこら辺のモデルよりずっと綺麗。都会の人にも負けてない。でもそんな崇拝するか?気持ちはわからなくもないけど、清水センパイが困惑しているのが目に浮かぶ。あと完全にシカトされても喜んでるとかヤバい。
「田中次は春高だろ?頑張れよ」
「ったりめーだろ!俺もバシバシ決めていくぜ!」
その2、部活に全振りのモチベ。
部活ではエースを張ってるらしい。いや、センパイがいるから次期が付くのか?でもまぁ結構重要な役どころらしい。面倒見もいいし部活を頑張るのは別にいいんだけどさ、そのモチベーションを少しでも勉強に回さないと来年大変な苦労をすることになる。主に田中のチームメイトが。
「田中ー、お前部室に答案落としてたぞー」
「はぅあ!すまん木下!大地さんに見つかってないか!?」
「見つかってないけど、お前この点数はねーべ」
「うるせー!」
その3、単純にバカ。
前にも少し触れたが、テストの結果を見る必要がないくらいにバカ。私も人のことは言えないけど、さすがに全教科ギリギリなんて危ない橋は渡ってない。全教科じゃなくても渡ってない。夏休み前は赤点をギリギリで逃れたらしいけど、ふだんから赤点取らないようにしてもらいたい。あと、とりあえず授業中に寝るなと言いたい。
「あ、柏手、次の授業なんだっけ?」
「…科学」
「サンキュー」
その4、私の前の席にいること。
そればっかりは席替えの結果だから仕方ない。文句を言うだけ無駄。だけど声を大にして言いたい。寝てることが多いからあまり気付かないけど、黒板がものすごく見辛い。起きてちゃんとしてろと言いたいけど、邪魔だから寝てろとも言いたい。
「あ、あとさ、宿題出てたっけ?」
「出てないけど、小テストがあるよ」
「マジか!」
その5、見た目のわりにフレンドリー。
ほとんど話す機会もない私にも、とてもお気軽に話しかけてくれる。見た目はヤンキーなのに中身は全然違ってすごくいいやつ。もちろんそれは私だけにたいしたものじゃない。
「よかったら教えようか…?」
「え、でも柏手も勉強するだろ?」
「科学は、大丈夫」
「ならすまんが教えてくれ」
その6…は、私の方に問題がある。
「科学反応式は、こうすると、分かりやすいよ」
「んー?」
「これが基本。こっちに今から求めたいもの」
どうしてか、私は田中のことが好きらしい。理由は全くの不明。気付いたら好きだった。輝いて見えるくらいには田中に対して前後不覚状態。私の脳内でどんな科学反応でもあったのか、誰かわかる人がいたら是非教えてほしい。
「ここの答えがほしいからこうなるでしょう?」
「おう」
「で、ここの比率がこうだから…こうなる」
「お?」
「なんとなくわかった?」
「おう、なんとなく」
田中は地頭はいいんだと思う。ただベクトルが勉強に全く向いてないだけ。だからちゃんと覚えようとすればできる。
「こうか?」
「…違う」
「え」
できる、はず。
「考え方はあってるよ。でも違う」
「うをー、赤点はとりたくねぇ」
「だから、頑張ろう」
「おう」
頑張ったところで間に合わないだろう。だって授業開始まであと5分もない。元素記号も危うそうだから、たぶんまた赤点だと思う。でも赤点だったらまた聞きに来てくれるのかな、なんて。
起こりもしない化学変化に期待してるんだからどうしようもない。