松川
「いっせー!」
部活が終わったらデートだと、休みに入る前に柏手から聞いていた。その宣言の中にはなかったが、どうやら部活の見学もその中に含まれていたらしい。
「相変わらずの熱烈ラブコールだな」
「おー」
松川はチラリと視線をやると、なにもなかったかのように視線を元に戻した。
「鳴子ちゃーん!」
「きゃー!いっせー!」
「ちょっと鳴子ちゃん!まっつんは今なにもしてないでしょ!なんで俺のこと無視するのさ!」
「及川だからだろ」
「ねぇ岩ちゃん暴言って言葉知ってる?」
…俺は見てしまった。及川が柏手を呼んだとき、その後ろでがっつり柏手と視線を合わせて笑って軽く手を振っていたのを。
「オメーは人の彼女にまでちょっかいだしてんじゃねぇよ」
「だって鳴子ちゃんかわいいじゃん。ちっちゃくて元気で子犬みたいっ俺も鳴子ちゃんに「とーるー」って呼ばれたいなー」
おい、やめとけ及川。お前がチャラいことを言うのはいつものことだから慣れてるけど、柏手だけはマジでやめとけ。松川がこえぇ。
「なぁ及川」
「ん、え…」
「鳴子がかわいいのは俺もよく知ってるけどさ、」
顔は笑ってるのに目が笑ってない。そんな松川に正面から見られてる及川は普段の騒がしさを完全に殺して微動だにしない。
「及川に、気安く言われたくないカナ」
「うぃっす!以後気を付けます!」
「よーし練習するべー」
及川が奇妙なまでに綺麗な敬礼を決めるのを見て岩泉が声をかけた。
1年にどんなやつが入ってくるかはまだわからない。指導する側に立つんだから、少なくともしっかり教えられるように少しの手も抜くわけにいかない。
及川曰く後輩が来るらしいが、実際見てみないとどんな奴かわかんねぇしな。
「やべー、まっつんマジこえー」
「だからやめろって言っただろ」
「え、いつ?」
「さっき心の中で」
「ねぇマッキー、それは言ってないっていうんだよ」
あの2人のデートがどんなもんなのか見てみたい気がするけど、学校でもほとんど一緒にいるくらいの仲の良さだ。それがデートとなったら、砂糖をこれでもかと加えた甘ったるいものを見ることになるんだろう。好き好んでそんなものは見たくない。
普段見せることがない顔で彼女に手を振る松川をみて、俺も早く彼女を作ろうと心に決めた。
(短編へ続く)
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「いっせー!」
部活が終わったらデートだと、休みに入る前に柏手から聞いていた。その宣言の中にはなかったが、どうやら部活の見学もその中に含まれていたらしい。
「相変わらずの熱烈ラブコールだな」
「おー」
松川はチラリと視線をやると、なにもなかったかのように視線を元に戻した。
「鳴子ちゃーん!」
「きゃー!いっせー!」
「ちょっと鳴子ちゃん!まっつんは今なにもしてないでしょ!なんで俺のこと無視するのさ!」
「及川だからだろ」
「ねぇ岩ちゃん暴言って言葉知ってる?」
…俺は見てしまった。及川が柏手を呼んだとき、その後ろでがっつり柏手と視線を合わせて笑って軽く手を振っていたのを。
「オメーは人の彼女にまでちょっかいだしてんじゃねぇよ」
「だって鳴子ちゃんかわいいじゃん。ちっちゃくて元気で子犬みたいっ俺も鳴子ちゃんに「とーるー」って呼ばれたいなー」
おい、やめとけ及川。お前がチャラいことを言うのはいつものことだから慣れてるけど、柏手だけはマジでやめとけ。松川がこえぇ。
「なぁ及川」
「ん、え…」
「鳴子がかわいいのは俺もよく知ってるけどさ、」
顔は笑ってるのに目が笑ってない。そんな松川に正面から見られてる及川は普段の騒がしさを完全に殺して微動だにしない。
「及川に、気安く言われたくないカナ」
「うぃっす!以後気を付けます!」
「よーし練習するべー」
及川が奇妙なまでに綺麗な敬礼を決めるのを見て岩泉が声をかけた。
1年にどんなやつが入ってくるかはまだわからない。指導する側に立つんだから、少なくともしっかり教えられるように少しの手も抜くわけにいかない。
及川曰く後輩が来るらしいが、実際見てみないとどんな奴かわかんねぇしな。
「やべー、まっつんマジこえー」
「だからやめろって言っただろ」
「え、いつ?」
「さっき心の中で」
「ねぇマッキー、それは言ってないっていうんだよ」
あの2人のデートがどんなもんなのか見てみたい気がするけど、学校でもほとんど一緒にいるくらいの仲の良さだ。それがデートとなったら、砂糖をこれでもかと加えた甘ったるいものを見ることになるんだろう。好き好んでそんなものは見たくない。
普段見せることがない顔で彼女に手を振る松川をみて、俺も早く彼女を作ろうと心に決めた。
(短編へ続く)