39
モビー・ディック号に白ひげ海賊団の隊長達が漸く集った。先に帰還していたジョズが頃合いをみてエースの所在について報告した。何が起きてどうなっているのかを理解できずにいたサッチやイゾウ達が首を傾げていると、そこにタイミング良くフォッサとビスタが戻って来た。
「ロスカ国に行かなかったのか?」
「こいつを仕入れてな。荷物になるんで戻って来たってわけだ」
ジョズの問いにフォッサが答えた。フォッサとビスタの両手には武器具諸々。それらを見たサッチは目を丸くした。
「おい、それって……」
「あァ、こいつはアルドが装備しているものと同じアサシンブレードを内蔵した小手だ」
「――と言うことは、相手はアサシンか?」
フォッサの返事に眉を顰めたイゾウがそう言うと白ひげがニヤリと笑みを浮かべた。
「向うから吹っ掛けて来やがったからなァ。まァ、そういうことだ」
白ひげの言葉に隊長達は戸惑いながらお互いに顔を見合わせた。そこでビスタが「おれから話そう」と、今起きている事の詳細を説明し始めた。そして――
「「「エースが!?」」」
「「「マジかよ!?」」」
エースがいとも簡単に倒されて攫われたことに、隊長達の誰もが驚きを隠せなかった。そんな中、サッチは眉間に皺を寄せて疑問を抱いた。
―― アルドは船にいなかったのか? そういやマルコの姿も見ねェけど……。
周りに視線を配っているサッチの姿を見止めたビスタは、髭を軽く弄りながら更に話を続けた。
「アルドとマルコは既にロスカ国に、」
そう言い掛けた時だ。「ガッハッハッ!!」と、モビー・ディック号から少し離れた丘の上から聞き慣れた声が飛んで来た。
ビスタは思わず口を噤んだ。誰もがビスタからその声主の方へと意識を向けたからだ。
「あのバカ笑いってさ、」
「ラクヨウだな」
「――だよね」
ハルタとナミュールがそんな言葉を交わしている内に、その声は徐々に近付いて来た。
大きく笑いながら意気揚々と帰って来るラクヨウの姿が見えた。そして、その後ろに続く7番隊の隊員達の姿。彼らは一様に怪我を負って血を流している。しかし、何故かラクヨウだけが無傷だ。あァ、隊員達だけが頑張ったんだなァ……と、誰もが思った。とは言え、7番隊の誰もがへっちゃら顔で元気そうに歩いているところを見ると、流石は戦闘大好き集団だけあるなァ……とも思った。
甲板に上がったラクヨウは、フォッサの姿を見止めるなり「ほれ! 戦利品だ!」と、アサシンブレードを内蔵した小手具を大量にどさりと置いた。更に、白い衣服を纏った男を一人捕縛したようで、7番隊の隊員に連れられた男が中央へと突き出された。
これにはビスタもフォッサ、そしてジョズも驚いて目を丸くした。
「船の周辺でちょこまかしてやがったんでなァ。攻めて来るわけでもねェし、かと言って去るわけでもねェから偵察でもしてたんだろう。で、うっとおしいんでとっ捕まえてやったってわけだ!」
「「「人使い荒いんですウチの隊長」」」
「ガッハッハッ! 馬鹿野郎! おれ様の指示の賜物だろうが!」
「「「本当に指示だけでした!!」」」
隊長達は全く無傷のラクヨウを一切無視して7番隊の隊員達に「よくやった」と労いの声を掛けた。それに対してラクヨウは眉間に皺を寄せた。しかし、文句を言える立場では無いことを自覚しているのか、何も言わずに口先を尖らせるだけだった。
―― まァ、おれはまだ怪我するわけにもいかねェからな。
7番隊の隊員達もラクヨウの心情を察してはいる。ただそれでもチクっておきたかったのだ。
〜〜〜〜〜
「ばっかやろう! 鈍臭ェ奴だな!! 捕まえろ! あ、なにしてんだ!? 自害させんじゃねェアホが! あっちを捕まえろ!! てめェらそれでも7番隊か!? クソッタレが!! ぶっ殺されてェか!! ヤコポ!! てめェの腹の肉を千切るぞボケェェッ!!」
〜〜〜〜〜
あれが指示だって?
いや、ほぼ暴言だった。
7番隊の隊員達は引き攣った笑みを浮かべて溜息を吐くのみだ。隊長達の労いが有難くてちょっぴり泣けたのは言うまでもない。そして――
一方、捕縛された男は至って冷静だった。
隊長達は彼を囲んで睨むも一切反応を示さない。フードの陰に隠れた顔を曝け出そうとラクヨウがグッと掴んで取っ払った。その男の風貌を見たビスタとフォッサとジョズの三人は更に驚いて目を見張った。
―― こいつは!
金髪の短い髪に緑がかった深く蒼い瞳をした整った顔付き。先刻、ビスタが戦って倒した男と顔がよく似ていた。しかし、この者は――女だ。
「まさか……、兄弟か?」
ビスタがそう言葉を零すとその女はビスタに視線を向けた。
どこまでも無機質で無表情。
それを見た白ひげは眉間に皺を寄せた。
―― あの時の#イルマ#とそっくりじゃねェか……。こんなに若ェってのに感情一つねェ……。
「死んだのか……?」
「な、なに?」
「双子の弟がいる。あいつは死んだのか?」
「ッ……」
抑揚の無い声で女は問い掛けた。
ビスタは表情を曇らせて返答に困ったが小さく頷いた。
「わかった」
だが女は悲しむことも辛がることも無く、無表情のままコクリと頷くだけだ。そんな淡泊な反応に隊長達は眉間に皺を寄せて不快だとばかりに表情を一変した。
「双子の弟が死んだってのに、何その反応は……!!」
「よせハルタ」
ハルタが文句を言うとビスタがハルタの肩に手を置いて制止した。
「でも!」
ハルタはビスタに振り向いて抗議をするもビスタは首を振った。
「グララララッ! 落ち着けハルタ。アサシンってなァ本来こういうもんだ」
「え?」
「一切の感情は無い。心や感情というものはいらないもの……そうだな?」
白ひげがそう言うと女は表情を変えずに頷いた。まるで機械仕掛けのように。そして、口を開いた。
「人間とは不完全な生物だからこそ、そういう”いらないもの”を持って生まれざるを得ない。そして、優れたアサシンになるにはそれらを打ち捨ててこそ初めて成り得るもの。その為、アサシンの育成は自我を持つ前の幼子から始められる。アサシンとしての常識だ」
「「「!!」」」
女の返答に、あの人物の姿が容易に浮かんで誰もが口を噤んだ。
―― それは、あのアルドも……?
誰もが心に思った。だが、沈黙する彼らと一線を画して一人の男がその女の前に腰を下ろして顔を覗き込んだ。ラクヨウだ。
ラクヨウは、女の顔を見つめるとニヤリと笑みを浮かべた。
スパンッ!!
ラクヨウは何を思ったのか女の頭を叩いた。
「「「えェ!?」」」
驚く隊長達を他所に、女は叩かれた頭に手を置いてラクヨウに視線を向けた。
「お、おい、ラクヨウ!」
「な、何やってんの!?」
サッチやハルタがラクヨウに汗を滲ませながら声を掛けたが、ラクヨウは周りの隊長達など一切無視して女の胸倉を掴んで自分の方へと引き寄せた。
「お前ェ、名前は?」
「……リーザ……」
「姓は?」
「……知らない。……それはなんだ?」
リーザと名乗った女は無機質に答えた。そして、その無知さにサッチは眉間に皺を寄せた。
―― マジか……。アルドと同じで常識なことも何にも知らねェってことか。
「わかった。オヤジ、どうする?」
ラクヨウは白ひげへと振り向いてそう言うと白ひげは片眉を上げた。
―― ラクヨウ、慣れた対応じゃねェか。
「ラクヨウ、そいつはお前に任せる」
「「「オヤジ!?」」」
白ひげの返答に隊長達はまた一様に驚きの声を上げた。そんな彼らと一線を画してラクヨウは当り前のように「了解」と答えた。
「じゃあ、お前は7番隊な。おい、お前ェら! 新人のリーザだ!!」
「「「おう! 宜しくなリーザ!!」」」
「「「って、馴染むの早ェェェッ!!」」」
7番隊の隊員達は、リーザの元にワラワラと集まって声を掛けた。頭を撫でたり肩に手を回して「おれはな〜」と自己紹介を始める者も……。
そんな彼らの姿に隊長達は呆気に取られた。その様は流石にアルドを要していただけあって扱い方は手慣れたものだった。
「ッ……」
当のリーザは、無表情ながらにも初めて受ける大勢の歓待に、少々戸惑いを見せ始めた。
白ひげは大いに笑った。
「流石だなァラクヨウ」
「アルドが手強かったからよ、そのおかげだろうぜ」
ラクヨウが白ひげにそう答えた時だ。
「アルド……?」
「んー?」
リーザがアルドの名を口にした。それにラクヨウは振り向いて目を丸くした。ラクヨウだけでは無い。全員が沈黙してリーザに注目した。白ひげだけは眉間に皺を寄せてリーザを見つめた。
―― あァ、そうだったな。アルドは……。
「んー、リーザはその……、アルドを知ってたりする?」
サッチが恐る恐るリーザにそう問い掛けるとリーザはコクリと頷いた。これに隊長達が大きく反応してリーザに詰め掛けた。
「おい! ちょっと待ッ」
ラクヨウが顔色を変えて止めようとしたが遅かった。ラクヨウは慌てて白ひげへと振り向いた。それに白ひげは溜息を吐いた。
「てめェら! やることがある! 質問は後にしやがれ!!」
「「「話を聞きてェぜオヤジ!!」」」
「バカ息子どもが!! 親の言う事を聞きやがれェェェ!!」
隊長達のちょっとした反抗に白ひげは覇王色の覇気を放って怒鳴った。
「「「ぎゃああああ!!」」」
反抗的な奴にはお仕置きだとばかりに白ひげは容赦しなかった。
「……オヤジが…キレた……」
ラクヨウは唖然とした。オヤジがキレた時の対応は大概マルコが何とかしてくれる。しかし、この場にマルコが居ない。――ということは、キレたオヤジを宥めるのは『怒られ対象』に入っていない者が対応しなければならない。
「おれか?!」
ラクヨウはギョッとして素っ頓狂な声を上げた。
「むむむ無理だ! マルコ助けろおォォォ!!」
ラクヨウはロスカ国にいるであろうマルコに悲痛な叫びを上げた。
結局、隊長達が一斉に白ひげに謝ったことでこの場はなんとか収まった。
その後――、
7番隊を中心にチラホラ戻って来た隊員達に船を守るように指示が出された。また、リーザの縄を解くのはまだ危険な為、一応船内の下層にある牢獄にて7番隊の副隊長であるヤコポが責任を持って監視することとなった。
そして、白ひげは隊長達だけを引き連れてロスカ国へと向かう。
白ひげ海賊団を見張っていた者は、ラクヨウ率いる7番隊が倒した為、白ひげ海賊団の動向をロスカ国にいるアサシンに伝達されることは無い。
白ひげ海賊団一行がロスカ国に着いたその日が丁度『戴冠式』の日だった。
「ロスカ国に行かなかったのか?」
「こいつを仕入れてな。荷物になるんで戻って来たってわけだ」
ジョズの問いにフォッサが答えた。フォッサとビスタの両手には武器具諸々。それらを見たサッチは目を丸くした。
「おい、それって……」
「あァ、こいつはアルドが装備しているものと同じアサシンブレードを内蔵した小手だ」
「――と言うことは、相手はアサシンか?」
フォッサの返事に眉を顰めたイゾウがそう言うと白ひげがニヤリと笑みを浮かべた。
「向うから吹っ掛けて来やがったからなァ。まァ、そういうことだ」
白ひげの言葉に隊長達は戸惑いながらお互いに顔を見合わせた。そこでビスタが「おれから話そう」と、今起きている事の詳細を説明し始めた。そして――
「「「エースが!?」」」
「「「マジかよ!?」」」
エースがいとも簡単に倒されて攫われたことに、隊長達の誰もが驚きを隠せなかった。そんな中、サッチは眉間に皺を寄せて疑問を抱いた。
―― アルドは船にいなかったのか? そういやマルコの姿も見ねェけど……。
周りに視線を配っているサッチの姿を見止めたビスタは、髭を軽く弄りながら更に話を続けた。
「アルドとマルコは既にロスカ国に、」
そう言い掛けた時だ。「ガッハッハッ!!」と、モビー・ディック号から少し離れた丘の上から聞き慣れた声が飛んで来た。
ビスタは思わず口を噤んだ。誰もがビスタからその声主の方へと意識を向けたからだ。
「あのバカ笑いってさ、」
「ラクヨウだな」
「――だよね」
ハルタとナミュールがそんな言葉を交わしている内に、その声は徐々に近付いて来た。
大きく笑いながら意気揚々と帰って来るラクヨウの姿が見えた。そして、その後ろに続く7番隊の隊員達の姿。彼らは一様に怪我を負って血を流している。しかし、何故かラクヨウだけが無傷だ。あァ、隊員達だけが頑張ったんだなァ……と、誰もが思った。とは言え、7番隊の誰もがへっちゃら顔で元気そうに歩いているところを見ると、流石は戦闘大好き集団だけあるなァ……とも思った。
甲板に上がったラクヨウは、フォッサの姿を見止めるなり「ほれ! 戦利品だ!」と、アサシンブレードを内蔵した小手具を大量にどさりと置いた。更に、白い衣服を纏った男を一人捕縛したようで、7番隊の隊員に連れられた男が中央へと突き出された。
これにはビスタもフォッサ、そしてジョズも驚いて目を丸くした。
「船の周辺でちょこまかしてやがったんでなァ。攻めて来るわけでもねェし、かと言って去るわけでもねェから偵察でもしてたんだろう。で、うっとおしいんでとっ捕まえてやったってわけだ!」
「「「人使い荒いんですウチの隊長」」」
「ガッハッハッ! 馬鹿野郎! おれ様の指示の賜物だろうが!」
「「「本当に指示だけでした!!」」」
隊長達は全く無傷のラクヨウを一切無視して7番隊の隊員達に「よくやった」と労いの声を掛けた。それに対してラクヨウは眉間に皺を寄せた。しかし、文句を言える立場では無いことを自覚しているのか、何も言わずに口先を尖らせるだけだった。
―― まァ、おれはまだ怪我するわけにもいかねェからな。
7番隊の隊員達もラクヨウの心情を察してはいる。ただそれでもチクっておきたかったのだ。
〜〜〜〜〜
「ばっかやろう! 鈍臭ェ奴だな!! 捕まえろ! あ、なにしてんだ!? 自害させんじゃねェアホが! あっちを捕まえろ!! てめェらそれでも7番隊か!? クソッタレが!! ぶっ殺されてェか!! ヤコポ!! てめェの腹の肉を千切るぞボケェェッ!!」
〜〜〜〜〜
あれが指示だって?
いや、ほぼ暴言だった。
7番隊の隊員達は引き攣った笑みを浮かべて溜息を吐くのみだ。隊長達の労いが有難くてちょっぴり泣けたのは言うまでもない。そして――
一方、捕縛された男は至って冷静だった。
隊長達は彼を囲んで睨むも一切反応を示さない。フードの陰に隠れた顔を曝け出そうとラクヨウがグッと掴んで取っ払った。その男の風貌を見たビスタとフォッサとジョズの三人は更に驚いて目を見張った。
―― こいつは!
金髪の短い髪に緑がかった深く蒼い瞳をした整った顔付き。先刻、ビスタが戦って倒した男と顔がよく似ていた。しかし、この者は――女だ。
「まさか……、兄弟か?」
ビスタがそう言葉を零すとその女はビスタに視線を向けた。
どこまでも無機質で無表情。
それを見た白ひげは眉間に皺を寄せた。
―― あの時の#イルマ#とそっくりじゃねェか……。こんなに若ェってのに感情一つねェ……。
「死んだのか……?」
「な、なに?」
「双子の弟がいる。あいつは死んだのか?」
「ッ……」
抑揚の無い声で女は問い掛けた。
ビスタは表情を曇らせて返答に困ったが小さく頷いた。
「わかった」
だが女は悲しむことも辛がることも無く、無表情のままコクリと頷くだけだ。そんな淡泊な反応に隊長達は眉間に皺を寄せて不快だとばかりに表情を一変した。
「双子の弟が死んだってのに、何その反応は……!!」
「よせハルタ」
ハルタが文句を言うとビスタがハルタの肩に手を置いて制止した。
「でも!」
ハルタはビスタに振り向いて抗議をするもビスタは首を振った。
「グララララッ! 落ち着けハルタ。アサシンってなァ本来こういうもんだ」
「え?」
「一切の感情は無い。心や感情というものはいらないもの……そうだな?」
白ひげがそう言うと女は表情を変えずに頷いた。まるで機械仕掛けのように。そして、口を開いた。
「人間とは不完全な生物だからこそ、そういう”いらないもの”を持って生まれざるを得ない。そして、優れたアサシンになるにはそれらを打ち捨ててこそ初めて成り得るもの。その為、アサシンの育成は自我を持つ前の幼子から始められる。アサシンとしての常識だ」
「「「!!」」」
女の返答に、あの人物の姿が容易に浮かんで誰もが口を噤んだ。
―― それは、あのアルドも……?
誰もが心に思った。だが、沈黙する彼らと一線を画して一人の男がその女の前に腰を下ろして顔を覗き込んだ。ラクヨウだ。
ラクヨウは、女の顔を見つめるとニヤリと笑みを浮かべた。
スパンッ!!
ラクヨウは何を思ったのか女の頭を叩いた。
「「「えェ!?」」」
驚く隊長達を他所に、女は叩かれた頭に手を置いてラクヨウに視線を向けた。
「お、おい、ラクヨウ!」
「な、何やってんの!?」
サッチやハルタがラクヨウに汗を滲ませながら声を掛けたが、ラクヨウは周りの隊長達など一切無視して女の胸倉を掴んで自分の方へと引き寄せた。
「お前ェ、名前は?」
「……リーザ……」
「姓は?」
「……知らない。……それはなんだ?」
リーザと名乗った女は無機質に答えた。そして、その無知さにサッチは眉間に皺を寄せた。
―― マジか……。アルドと同じで常識なことも何にも知らねェってことか。
「わかった。オヤジ、どうする?」
ラクヨウは白ひげへと振り向いてそう言うと白ひげは片眉を上げた。
―― ラクヨウ、慣れた対応じゃねェか。
「ラクヨウ、そいつはお前に任せる」
「「「オヤジ!?」」」
白ひげの返答に隊長達はまた一様に驚きの声を上げた。そんな彼らと一線を画してラクヨウは当り前のように「了解」と答えた。
「じゃあ、お前は7番隊な。おい、お前ェら! 新人のリーザだ!!」
「「「おう! 宜しくなリーザ!!」」」
「「「って、馴染むの早ェェェッ!!」」」
7番隊の隊員達は、リーザの元にワラワラと集まって声を掛けた。頭を撫でたり肩に手を回して「おれはな〜」と自己紹介を始める者も……。
そんな彼らの姿に隊長達は呆気に取られた。その様は流石にアルドを要していただけあって扱い方は手慣れたものだった。
「ッ……」
当のリーザは、無表情ながらにも初めて受ける大勢の歓待に、少々戸惑いを見せ始めた。
白ひげは大いに笑った。
「流石だなァラクヨウ」
「アルドが手強かったからよ、そのおかげだろうぜ」
ラクヨウが白ひげにそう答えた時だ。
「アルド……?」
「んー?」
リーザがアルドの名を口にした。それにラクヨウは振り向いて目を丸くした。ラクヨウだけでは無い。全員が沈黙してリーザに注目した。白ひげだけは眉間に皺を寄せてリーザを見つめた。
―― あァ、そうだったな。アルドは……。
「んー、リーザはその……、アルドを知ってたりする?」
サッチが恐る恐るリーザにそう問い掛けるとリーザはコクリと頷いた。これに隊長達が大きく反応してリーザに詰め掛けた。
「おい! ちょっと待ッ」
ラクヨウが顔色を変えて止めようとしたが遅かった。ラクヨウは慌てて白ひげへと振り向いた。それに白ひげは溜息を吐いた。
「てめェら! やることがある! 質問は後にしやがれ!!」
「「「話を聞きてェぜオヤジ!!」」」
「バカ息子どもが!! 親の言う事を聞きやがれェェェ!!」
隊長達のちょっとした反抗に白ひげは覇王色の覇気を放って怒鳴った。
「「「ぎゃああああ!!」」」
反抗的な奴にはお仕置きだとばかりに白ひげは容赦しなかった。
「……オヤジが…キレた……」
ラクヨウは唖然とした。オヤジがキレた時の対応は大概マルコが何とかしてくれる。しかし、この場にマルコが居ない。――ということは、キレたオヤジを宥めるのは『怒られ対象』に入っていない者が対応しなければならない。
「おれか?!」
ラクヨウはギョッとして素っ頓狂な声を上げた。
「むむむ無理だ! マルコ助けろおォォォ!!」
ラクヨウはロスカ国にいるであろうマルコに悲痛な叫びを上げた。
結局、隊長達が一斉に白ひげに謝ったことでこの場はなんとか収まった。
その後――、
7番隊を中心にチラホラ戻って来た隊員達に船を守るように指示が出された。また、リーザの縄を解くのはまだ危険な為、一応船内の下層にある牢獄にて7番隊の副隊長であるヤコポが責任を持って監視することとなった。
そして、白ひげは隊長達だけを引き連れてロスカ国へと向かう。
白ひげ海賊団を見張っていた者は、ラクヨウ率いる7番隊が倒した為、白ひげ海賊団の動向をロスカ国にいるアサシンに伝達されることは無い。
白ひげ海賊団一行がロスカ国に着いたその日が丁度『戴冠式』の日だった。
捕 虜
【〆栞】