05
おそ松が幼馴染の名前と再会して1週間と少しが過ぎた。おそ松はちょくちょく名前と連絡を取ったり会ったりしているようだが他の兄弟はまだ会うことすらできていない。兄の後を追っても途中で巻かれてしまったりチビ太の所に行けば先ほどまで名前がいたといわれ名前を探して皆が出払ってる時に家に訪問してきたりすれ違いばかりである。そんな兄弟に精々頑張れよと嘲笑うおそ松を恨めしいと思い睨みつけるが兄には効果がないようだ。今日も今日とて特に用事はないが外へと出向く。あわよくば名前に会えればと思いながら。
一松は名前が本当に帰ってきているのかさえ疑いつついつものように猫がたむろする路地裏に進んでいくと既にそこには先約がいた。小さく舌打ちをし、その場で立ち尽くしているとこちらに背を向けしゃがみ込む男は猫に向かって何かを発していた。
「君は美人だね。目線お願いします。」
パシャパシャとよくトド松のスマートフォンから聞こえる音、シャッター音が聞こえ猫を撮っているのか、にしても猫相手に喋るとか痛い奴。と眺めていると人の気配を感じたのか猫を撮っていた男がふとこちらを向いた。そして目線が合うや否や一松は眠たげな目を思いっきり見開いた。
「………あ」
「………」
「えっと、なに松?」
「………一松」
そう言って男に近付くマスクをしていたので男には気付かれてはいないが一松の口元はニヤけていた。
「そっか!一松かぁ!久しぶり!家に行ってもいないし!おそ松もみんな忙しいとかなんとか言い出すし!会えてよかったわ!」
「名前」
「そーだよ〜名前くんだよ〜〜」
そう言ってまた一松に背を向け猫を撮る男、名前の背中にピタリと引っ付くようにしゃがんだ一松に「寒いのかー?」と呑気な声を出す。
「名前が帰ってきたって嘘かと思ってた」
「あ、まじで?でも帰ってきたからね、嘘じゃないかんな」
「ん、まぁ、写メみたし、でもなかなか会えなかったから」
「あ〜〜バイト先でさ〜ちょっとごたごたあって忙しかったんだけどもうやめてきたから。今ちょっと暇な時期なんよ!」
「あっそ」
「素っ気無!ってか立てないからどいて」
ぐいぐいと背で押してくる名前から離れるとよっこらしょとオヤジ臭い掛け声と共に立ち上がった名前は「野良猫もキュートで可愛いけど駅んとこにある猫カフェいかね?」と一松を誘う。
「猫カフェとか小洒落たとこ行ったことないんだけど。それにタダでこうして猫に会えるんだし金出していく必要ある?」
「野良でスコテッシュとかラグドールとかいないじゃん!」
「名前んちの猫は?」
「元気だよ!あ、うちくる?新しいの増えたし」
一松猫好きなんでしょ?と傾げる名前に一松は腹の底からため息をしてから小さな声で「いく」と一言。
「よーし!適当に飲み物とか買ってから行こうぜ!うちのニャンちゃんたちめっちゃ可愛いからね!」
「引っ越す前散々会ってるから知ってる」
「新人!が!いるんだって!」← ▽ →
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