06
名前の家に何数年ぶりに入る一松は少しだけ緊張していたが入って数分でその緊張も解けた。名前の家にいる長毛のデブ猫はよく知った猫だった。一松のことを覚えているのか足に擦り寄り一松が座れば足の間に入って喉を鳴らし始めた。
「モロタめっちゃ一松に懐いてる!飼い主俺だよ!モロタ!あ、でね、こっちの鯖虎がヒロタね!」
猫の前足をつかみにゃーと言う名前をガン見する一松には気付かず猫をいじくり倒す名前。
「ってかモロタにヒロタとか…」
「だってモロタは貰ったしヒロタは引っ越した後に拾ったんだもんわかりやすくてよくね?」
「………もん、とかキモい」
「うっわ!傷付くわ!いつまで反抗期なんだよ一松くんは!」
ひどいよね〜なんて猫に言う名前に一松は確かにシコいと兄が言っていたことに改めて同意する。名前は一松を含め六つ子達が名前に対してそういう目で見ているということには全く気付いていない。引っ越す時でさえ「俺たち離れていてもずっと親友だかんな!」とボロ泣きした名前で六つ子がそれぞれ抜いた事など知る由もない。
「あ、そういえばさ、おそ松に聞いたけどみんなニートなんでしょ?大丈夫?」
「まぁ…」
「ふーん、まぁ俺今バイトやめて暇だからいっぱい遊ぼうよ、来月にはまたバイト先見つけようとは思ってんだけどね。」
「名前バイトってなにしてたの?」
「塾の先生〜!でもJKに惚れられちゃってさー!これで2回目だよ!それで2回やめてんだよ俺!もう時給高くても塾はやめることにした!」
「JKに惚れられたとかそれ童貞の俺に対しての自慢なわけ?」
「え、なに一松童貞くんなの?てっきり年上の痴女にでも童貞奪われてるかと…」
「うっさい」
「一松ずっと反抗期やってると女の子寄ってこないよ〜!いつか魔法使いになっちゃうよ?」
「じゃあ名前で童貞卒業する」
「え!やだ!私はまだ処女でいたいのっ!」
いやんと肩を抱く名前は完全にただの冗談だと思っているが一松はいたって真剣だった、が名前の反応をみて気が抜ける。まぁ、親友だと思ってるやつがそんなこと言っても冗談だと思うのが妥当だろうとは思うが長年無理矢理冷ましていた熱が再熱しだした六つ子達がギラギラした瞳で名前を狙っているということを自覚した方がいいんじゃないか、とすら思う。
「あ、名前写メ撮らして」
「猫?いいよ〜」
「いや、名前」
「俺?なんで?」
「見つけた記念」
「なにそれ」
別にいいけど!と猫を抱きながらピースをする名前をカシャリと撮る。タッタッタとラインを起動させると勘付いた名前は「俺がラインする!俺!俺!」と騒ぐので仕方なしにスマートフォンを貸す一松。
「変なこと入れないでよ」
「by名前って入れとけばいいんでしょ、大丈夫大丈夫!」
トド松並に早いタップを打ち満足げな顔でスマートフォンを返す名前、画面を見てみるとなんとも名前らしい文がそこにはあった。
"第4の松がひとつなぎの大秘宝(俺)を見つけ出した!"
"探せ!この街のどこかに俺はいる!"
写真
"にゃ〜〜!"
「どうよ」
「アホっぽ」
「ってかめっちゃ仲良くラインしてるくね?前会話なんだったん?」
「あ〜〜」
名前の写メと共にシコいと残したおそ松に対して皆それぞれ好き勝手言っていただけだが名前はきちんと見ていないのか気付いてはいなかった。← ▽ →
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