電気が反射して指輪がキラキラ光る。それだけで、心に火が灯るような気がしてる。些細なことが嬉しくなったので、ノートにこつこつと記録を残す。書きながらうとうとして、ノートにたくさんのミミズを作ってしまう。書いたのを見なかったことにして、続きを書こうとしていると、つむぎくんがやってきた。
「こんにちわ。寒くなかった?」
「冬ですからね〜ココアを買って来たんですよ。」
はいどうぞ。と手渡されたのは先ほど買ったものなのか、とても暖かくて幸せだと再確認してると勉強してたのですか?。と問われて心臓が跳ねた。日記です。とは言い出しにくくて、そうとは言えど、教科書が出てないと言われて詰まった。
「……日記、」
「かわいいですね!なら俺と今度交換日記でも。」
「この年で交換日記はちょっと、どうなの?」
まあ字体だけを見ると見事に男女逆転交換日記になるだろうし、高校生になって交換日記に一喜一憂するとか、20年以上前ならありえるのだろうけど、携帯やスマホが発達した現代社会で交換日記を提案してくる彼氏なるものはつむぎくんしか居ないのではないのだろうか。すれてないと言うべきなのか、天然と言うべきなのかはわからないけども。心構えが少女なのかとも考えてしまう。
「雪華ちゃんどうしました?頭を抱えて、もしかして頭痛ですか?」
「なんとなく、夏目くんがつむぎくんを殴る理由がわかった気がする。」
「えぇ!?」
いや、そんなに驚かなくてもいいじゃない。口をへの字に曲げると、そんなに怒らないでくださいと言う幼馴染もとい彼氏の思考がよくわからない。ほんとうにつむぎくんらしいというべきなのかと思うのだけれども、なんだか言ってやるのも勿体無くて黙っていれば、つむぎくんは本当に私を怒らせたのかと思ったのか、私の手に手を重ねてまっすぐ私を見る。ナッツ色の瞳が心配そうに見上げてるので、昔あった愛らしい犬が大きな目でこちらを見ている図と重なった。
「…どっちかっていうと大型犬みたいだね」
「俺がですか?」
「そう。今ちょっと泣きそうになりながら見上げてるつむぎくんがそう見えるかな?」
昔にあったよね、チワワとおじさんのCM。そういえばありましたね店頭で見つめあう。そう多分そんな感じのと今のつむぎくんが似てたと思って。それで大型犬ですか。うん。と打てば響くような会話が広がった。私よりも背の高いし、ちゃんとした男の子だから。ねぇ。
「…俺は人間ですからね。」
「そうだね。優しいし私よりも手も背も大きいし。」
つむぎくんの手の三分の二ぐらいしかない私の手はすっぽりかぶさっているので、手を引っ込めることもできない。重ねられた手は暖かくてうれしい。ねえと声をかければ、それよりも前からつむぎくんが私を見ていた、ずっと見られてたことが恥ずかしくて視線をそらしたのだが、どうも顔が赤かったらしい。熱が出たのかと顔を寄せられてもっと顔が熱くなった気がした。
「ちょっとつむぎくん!近いから」
「熱が測れませんから?」
「人間には手があるでしょうよ!」
「そうですね!」
そういって流れるようにつむぎくんの大きな手が私の額を覆いかぶせるように乗せる。大丈夫だよ。と突っぱねれども、雪華ちゃんは内緒にしたがりなので心配なんですよ、俺が大事にしたいのに勝手に雪華ちゃんは傷つくんですから。と言われてまた恥ずかしくなる。熱を測ったつむぎくんは私の熱がないのが不思議がって小首をかしげる。
「…雪華ちゃんの顔は赤いですし。体調がよくないなら今日は退散したほうがいいですね。」
また明日様子を見に来ますから。と声を残して立ち上がろうとするつむぎくんのセーターの裾を掴む。でも直面するのは恥ずかしいのでそっぽを向いてると、あぁ雪華ちゃん照れてるんですね!やっぱりそういうところは愛らしいですね!と言い出すので、ちょっとそこは口に出さないでほしいと心の底から思った。いや、せめて本人の前で言わないで。そういうことろはつむぎくんらしいんだけど、そうじゃあない。
何も云わないで。