「久しぶりに会ったし、お茶でもどう?あとからしゅーくんも来るって言ってたよ。」
「いつそんな話をしていたんだ?会ったわけでもないだろうに?」
「用心棒をつけるから離れないように。ってくぎを刺された後にね。喫茶店も指定されてるの。」
目を吊り上げてケンケン言うから、そんな様子が面白くってねぇ。お兄さんぶりたいんだね。と言えばりゅーくんは小さく一回笑ってから仕方ねえなあ。なんて言って一緒に喫茶店に入って、隅の方のボックス席に腰を下ろして、メニューを広げる。
「香織姉さんは紅茶でいいか?」
「りゅーくんと一緒で大丈夫だよ。ケーキを食べたいんだけど、どっちにしようか悩んでて。」
「迷うなら俺の分も頼んでいいから。」
「本当!?なら半分こだね。」
これぐらいの男の子って結構甘いものなんて。っていうから気にしてたのよね。笑って言うと、妹で慣れてるからと返事をもらって安心する。そういえば、妹さんいたね。元気?あぁ写真を見るか?
先ほど移動中にできなかったお互いの近況やりゅーくんの妹さんの写真を見ていると時間は過ぎているようで、ドアチャイムが軽快な音を鳴らしたので視線を向けると、走ってきたかのように息を切らせたしゅーくんが立っていた。小さく手を上げるとこちらに気づいて寄ってきた。心なしか目が吊り上がっているようにも見える。
「お疲れさまー。すごいねえしゅーくん。」
「鬼龍!なぜ貴様がいる!」
「オメェが用心棒を頼んだんだろうが。何言ってんだ。」
「しゅーくんもりゅーくんも喧嘩しないの。お店の中だよ。ほら、隣空けるから座りなさい。」
りゅーくんの隣に荷物を置いてもらって、一人分の席を空けるとまんざらでもないという顔で隣に腰を下ろす。注文は決まっていたらしくすぐに店員は去っていく。
「今日のしゅーくんかっこよかったねぇ。キラキラして。音楽のことはよくわからないけど、しゅーくんがすごいことしてるのはよくわかったよ。」
最初に登場してきた時のしゅーくんと、今こうしてお話してるしゅーくんが別人に見えちゃうぐらいにかっこよかったなぁ。
今日のステージを思い出しながら、感想をこぼしてるときにちらりと隣を見ていると耳まで赤くて少し俯いたしゅーくんがいた。昔と変わったと思ってしまったけれども、そういうところが相変わらずでかわいいなぁ。と思う。ご近所さんだったあの頃の小さな姿はないのだと改めて思う。それがどこか寂しくなってしまう。
「香織姉さん?具合が悪いのかい?」
「ううん、男の子ってどうしてこんなに大きくなるんだろうとか思ってたのよねぇ。二人とも小さくて愛らしかったのに私よりも身長を抜いてしまって。」
二人とも大きいし、上を向くのも疲れるのよ。と揶揄い口調で言えば、二人は変わらない微笑を浮かべて二人で笑っていた。…ちょっと仲間外れになった気もしなくはない。けれど。お姉さんですからね。そんな風に見せないようにしながら、会話を続けて、りゅーくんもアイドルをやっていると知るお昼時。私のちょっとした驚きの声で店舗が埋められて少し気恥ずかしくなった。思い返して確かにそうだ。学院内をスムーズに案内してくれてた。
驚きの声を飲み込むことができずにいたら、幼馴染の二人組は満足そうにしていた。こうして二人の笑顔を見ていると楽しいなぁ。なんて思っていたら、時間はあっという間に過ぎてしまっていて、二人を送り帰さなきゃと慌てたら、高校生になってまでそんな心配をされるとは。そう言いながら、りゅーくんは呆れたような笑いを浮かべていたし、しゅーくんは深いため息を吐くだけであった。