今日最後の一コマを切り上げて、帰り道に鯛焼き屋の前で誰かが財布から小銭を落として私の足元に転がって止まった。拾い上げて手渡すと、りゅーくんだと気が付いた。拾い上げた小銭ともっていた小銭を合わせて店の人に渡して商品を受け取って、私の方に向いた。
「りゅーくん。珍しいね。このあたりにいるの。」
「妹がよ。食べたいってこの間言ってたから買いに来たんだ。」
「妹さんと仲がいいねぇ……そういえば、しゅーくんから聞いたけど、そろそろ大きなライブじゃなかった?」
「あぁ、あれな。チョコレートは依頼だし。今日は早めに解散したんだ。」
だからこっちまで足を延ばして買い物に来たそうだ。姉さん暇ならそこで話でもしないか?そういわれて、時間を確認する。夕飯の時間もまだあるし、課題も急いでやらないといけないものはない。快諾しつつ、匂いにつられたので茶菓子として私とりゅーくんの鯛焼きを買って、近くの自販機で飲み物を買って公園のベンチに腰を掛ける。
鯛焼きを齧りつつ喋っていると、話は手芸の話や今度のライブの話が出て、その流れでしゅーくんとお出かけした話になった。とっても楽しかったことを話していると、りゅーくんはにっこり笑ってた。
「なあ姉さん。斎宮との話になったら、目が輝いてるの気づいているか?」
「え?そう?」
「そうだよ。」
くつくつ笑いながらも、斎宮の話が絡むと目が輝いてると言われて、しゅーくんだったからこの間も楽しかったのだろうと思うし、あの日のために準備したものたちも楽しく考えられたのではないのか。そう考えるとすんなり、先日あの時に感じた熱がすんなり落ちていく理由も納得がいく。好きだからこそ、特別であるからこそ、すっとその中に入っていったのだ。ふわっとしたものが急に水をかけてしっかりと形を作られていくような感覚。どこか浮ついてたものがきちんと箱にしまわれるような、溶けてしっかり理解できた消化物は、愛だ。りゅーくんに指摘されて今確実に実感した。これがしゅーくんの話だったから、私は幸せになれる。そう確信めいたことを得てしまった。
事実の理解にいくつかの照れが混ざる。
「姉さん。顔真っ赤だぞ。大丈夫か?」
「りゅーくん。ちょっと、用事を思い出しちゃった。」
「そうかそうか。どうせ斎宮のとこだろう?気を付けて行って来いよ。姉さんを泣かしたら俺がすっ飛んでいくからな。」
「大丈夫だよ。しゅーくんだもん。じゃあ、行ってきます。妹さんにもよろしく言っておいてね」
「おうよ。任せろ。あいつに連絡つくのか?」
「わかんない、でも、大丈夫。」
りゅーくんは片手を緩やかに上げて返事をしてくれる。私は持っていたものをカバンの中に急いで片付けて小走りで走りだした。早く会って早く言いたくて、どうやってとか手段なんて関係ない。会って、目を見て伝えたいんだ。そう思って、走りだしたけどどこで出会えるかわからないな。と思ったので一旦落ち着いてしゅーくんに会える時間の把握とのために連絡を入れるのであった。