演技なのがばれてますよ


ただテレビに映った端役の一人なのに、目が離せなくなったのは事実。日和殿下に呆けているといわれて、気が付くと共通して一人の女優が出ているVTRやドラマをコズプロのテレビで流していることが度々。その人の名に行き着きましたね、簡単なことでした。よく出入りしているテレビ局ですれ違う中の一人。アイドルとは接点の低い人だと思っていたので、そこまで気にはしてなかったのですが、こうカメラを通すと気品が出るというか、相乗効果をもたらしてくれるというべきですかね。
彼女を調べ上げて目を引かれる理由を調べても答えは出ずに、たどり着いた結論は一度会ってみようというところにまで行きついて問題に当たる。コズプロはアイドルのマネジメントをする会社に関わっているだけで、ドラマに関してのノウハウを持ってはしなかったと思い落胆したのは記憶に新しい。理由を調べる好機を伺ってましたがそうもしない間に絶好のチャンスが舞い込んで来ましてですね。
ドラマの主役依頼、男女のバディで悪を蹴散らす、痛快アクションもの。相手の子はまだ決まっても居なく、先方がオーディションをするとかどうとかという話を聞いて、脳裏から離れない女優に紐づいた。接触を図り、その眼を離せなくなるスキルの極意を知りたい。そう探求心であります。
初回の顔合わせも終わり、スケジュールの確認をして解散の段取り。
次のスケジュールの都合で号令と同時に人がやってくるので次のスケジュールをだしにして部屋から出て、エレベーターを待っていると、名字名前が姿を現した。一瞬まごつくのを見逃さずに声をかける。先手必勝なのは、どこの業界でも通じる定石ですからね!
オファーをうけてもらったこと、オファーを出したのは自分であること、間髪入れずに畳みかけるように話をすれば、名前さんの目が泳いだように見えたので、ここですかさずほめたたえる。が、眉間が困っているけれども、引くわけにはいかない。ほめたたえれば、相手が気を許すと考えたからだ。

「いやあ、名前さんのような素敵な方にこのような役をお願いするのは自分もどうかと思ったのですがね、やはりどうしても名前さんが良いとお願いさせていただいたんです。それに自分、演技はほとんど初めてなので。そこは大先輩である名前さんからご教示いただければ幸いです!敬礼〜!」

アイドル業で培った笑顔で敬礼するが、名前さんの反応は困惑のままであった。困っている声色が、敬礼を下ろすようにいうので、笑って答える。それでも、眉間は開かれず困ったままで、薄い唇が疑問を吐き出した。

「……あの、どうして私だったんですか」

どうして。その疑問の答えはたくさんありますけど、そう簡単にこちらの手札を見せるつもりはないので、一番の根源について返答する。

「理由はたくさんありますが……まあ、そうですね、敢えて言えば――貴女が名字名前さんだから、でしょうか。」

目を引いたのは間違いない。一度ではない。だから、貴女を知りたいと思う。その能力はどうやってるのか、興味本位ではあるかもしれないですね。ただ、今わかったことは一つ。明らかに外面をかぶっている。その裏側には何がいるのか、興味はあります。蛇は待つのが得意なんですよ。薄皮一枚ずつめくるように、その本性が能力につながっているなら暴いてみたいですね。えぇ最低野郎なので、何も思いませんよ。もちろん。
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