博打なんてしませんよ


二日ほどの休養が降ってわいたのだけど、どうしようもない。安静にしなさいと言われてやることなすこと禁止。退屈は人をも殺す。惰性で過ごすのももったいなくて近くに買い物でもいこうかと算段たてる。
いや、それは昨日の記憶だったか。電話がかかってきて呼び出されたのだったと思い出した。

「申し訳ありませんな!お休みなら仕事を入れてしまえと上から言われてしまいまして、都合をつけさせていただいた次第であります!名前さんあれから足のほうは問題ありますか?」
「いえ。なにも、確かにあの日赤くなりましたけど、七種さんが迅速に動いてくださったので。その節はありがとうございました」

ぺこりと頭を下げるとこんな最低野郎に頭を下げなくていいですよ!目の前で転んだのでしたら手を差し伸べるのが当たり前ですから!ワハハと言うように彼は大口を開けて笑うので、そっと視線を逸らすとマネージャーさんがこちらに向かって手を合わせ平謝りしていた。どうも無理にねじ込まれたようだ。

「こちら今回の企画になるのですが、目を通されましたか?」
「いいえ、先ほど聞いたばかりで……台本とかありましたら見せていただきたいのですが……」
「勿論です!これをどうぞ!」

準備してましたというように、取り出された台本を受け取り、一通り目を通すと番組の宣伝を兼ねてのものらしく、主演の二人に一日デートをしてもらおうというスタッフも居らず、自分たちでハンディカメラを持って動く企画らしい。

「まさかと思ってたのですが、これは名前さんとデートですね!」
「で、デート……」

確かに家で、かかっていたことはあったので身支度しながら眺めたりはしたけれども、まさかそれに自分が立っているなんて誰が予測しただろうか。現実逃避する脳は裸足で逃げ出すのを踏みとどまって、なんとか仕事をしだした。

「この後撮影ですが、名前さん。自分としたいことがありますか?」
「えぇっと……」

突然の企画と突然の提案。そう投げられて考えても何か妙案というものは出ず、ドラマがバディものだから息をそろえたいとかはあるけれども、揃えれるようなものはなにも浮かばない。

「では、自分からこういう提案があるんですけども。」

そうして出てきたのは企画書並みの厚みを持った今回のデートプラン。先日、七種さんのところで面白い企画があったのでそれになぞらえて、プランがAから順番に書かれている。まじめに4つか5つまでは書いてたけど、あとはやけっぱちのような羅列で書いてあった。

「まぁそれは冗談のつもりで書いたんですが、自分の本命はこれです。」

出されたのは、近くの遊園地のチケット。昼から入場できる一日限定のものだ。

「先日、うちの事務所がロケをした時に頂いて期限も近いのでどうでしょう?こういうほうが学生らしさも出ると思われますし!」
「……えぇっと、いいんですかね。」
「勿論!」

まぶしい笑顔で言われてしまった。代替え案もないので、七種さんの提案に乗っかってしまえば、七種さんは「撮影開始時にお互いの名前の呼び方を決めましょう」とか言われて、一旦フリーズした。
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