枕元で叫べ
ゆるやかに子守唄のように肩を叩かれていたことに気が付いた。心地よい鼻歌。頬に硬いけどゆるやかな熱を感じて、寝落ちしていたことに気が付いた。確か、会議が終わって処理をするために2時間ほど部屋を借りていたはずだ。こんな敵の本拠地で寝てしまうなんて。驚いて飛び上がると「おやあ」なんてあんまり驚いてなさそうな声が上から聞こえた。視線を動かすとママと天井が見えた。
「起きたかなあ?名前さん?」
「うん?ママ?どうして?」
「安らかに眠っていたからなあ。」
「……まさかこんなところで寝てしまうなんて。」
「それほど、忙しかったんだろう?」
「まぁ。そうなんだけど。」
打合せと会議と終わらない書類作成。それから家の問題。何をしても頭を抱える問題ばかりだ。天祥院英智と七種茨に振り回されてるので、プライベートが全部割かれてるようなスケジュールだ
確かに最近寝てなかったけれど、打ち合わせが終わった安心からか寝落ちてしまったのだろう。ろくに寝てなかったツケだ。
「ママはどうしてここに?」
「仕事の手が空いたから戻ってきたんだが、名前さんがいると聞いてなあ。」
探してみたら名前さんが寝てたから、寝やすいように整えたんだ。と教えてくれた。久々のママとの再会。思いもよらない出会いに嬉しさ半分、気持ちは複雑だ。
「廃寝亡食は関心しないが、こんな姿の名前さんが見れるなんて役得だなあ。ママの膝の上ですやすや眠る姿も見れたし満足です。」
「マっ!!ママァッ!?」
見上げている理由が膝枕だと理解して慌てて跳び起きたら、笑ってもっと寝ててもいいだなんて甘やかしてまたママの膝の上に戻される。まだ時間はあるから寝ていなさい。なんていうけれども、書類処理のために部屋を借りているのだ。書類が終わってないからと主張してママの膝枕から何とか離れる。机の上に置いた書類は眠気と共に文字がミミズに変化していくのがよく見える。腕時計を確認すると部屋を予約した時間は残りは少ない。
「完全に寝すぎた。家帰ってやらなきゃ。」
「その前に名前さん。よかったら一緒にご飯でもどうだ?」
「ほんと!ママと一緒にご飯は嬉しい!」
そう言われたら余計に目が覚めた。久々に楽しく美味しくご飯が食べれそうだと思い浮かべて、書類を片付け始める。尚、この仕事夜中まで片付かなかったのは別の話。