自分より少しだけ年上の、いじらしく可愛らしいひと。
慣れた手つきで料理を盛り付けていく様すら愛おしくて、自分も相当やられているなと苦笑した。だが、そうだね。悪くない。
「……しゅーくん?」
「どうかしたのかね?」
「や、あの、そんなに見られてると少し恥ずかしい、かな……」
熱を込めた視線に姉さんが抗議の声をあげる。
恥ずかしがる様子も可愛いと心から思うのだけど、また堂々巡りになりそうで口をつぐんだ。
「何か手伝うことはあるかね?」
「じゃあ、これテーブルに運んでくれる?」
「もちろんだよ」
盛り付けが終わった、いかにも家庭料理といった感じの皿をテーブルへ配膳する。
立派なフルコースが食べたいならば相応のリストランテか料亭へ行けば良い。
僕が食べたかったのは姉さんの温かみを感じられる料理だった。
はっきりと言葉にせずともそれが伝わっていたように感じて自然と口角が上がる。
「何かおかしいとこでもあった?」
「いや。姉さんの料理が食べられると思うと嬉しくてね」
「そう?しゅーくんの口に合うといいんだけど」
最後の料理を盛り付けた姉さんがエプロンを外し、テーブルにつく。
二人で手を合わせて「いただきます」をした。
「……どう、かな」
「美味しいよ。……姉さんと暮らすようになったら、この味が毎日食べられるのかと思うと心が踊るね」
「ふふ、そんなに褒めても何もでないよ?」
姉さんは照れたようにはにかんでみせるとゆっくりと食事を再開する。
いつか遠くない未来で、こんな日常が続けばいい。そんなことを夢想してしまうくらいには、甘く穏やかで幸せな時間が流れていた。