連れて行って欲しい


ふと思ってしまった手作りの物。
しゅーくんには私の髪と目の色をしたクマのぬいぐるみ、私にしゅーくんの色を持つクマのぬいぐるみを持っていたいな、って思ってしまった。けれども、しゅーくんの手芸スキルと比べたらはるかに大きな差。きっと私が作るよりもうんと綺麗につくるんだろうし、姉さんの作ったものなら。と言って物を置かない部屋で違和感のように一人暮らし部屋の主として鎮座して持ってくれる気もする。……そう思うと不格好なものは作れはしない。だけれども、渡したいと思ってしまった以上それ以外の選択肢はない。
悩んでも仕方ないし、しゅーくんが日本に帰ってくるのは、すぐでいつ出ていくかわからない。その時には一緒に連れて行って欲しい。そう思えば、行動は早かった。最低限、私と同じクマのぬいぐるみを作ること。手芸店にはしゅーくんのお出かけに何度かついていったことがあるし、キットで売っているのも見たことがある。きっと店員さんと話をすればいろいろと決めれるだろうし、私には時間が少ないのだから。善は急げと手芸店に向かった。のだけれども、向かってから困惑した。
キットはすぐに決まった。数日で出来ると書いてた簡単なものにはなってしまったけれども、困ったのは布のほうだ。自分の髪の毛の色、と思ったが、似た色の布が沢山あって決め切らない。毛足の長いもの、艶めくサテン、帆布、色もだが素材も豊富すぎてどうしようもない。たくさんの素材の半折の前で頭をもたげた。悩んでも悩んでも時間だけは流れていってもうすぐ閉店時間がやってくる。いい加減に決め切らなければ、そう思っていくつかの半折を睨んだ結果一番手触りのいい毛足の長くてふかふかしそうなものを購入した。
買ってキットを見ながら、四苦八苦しながらもなんとか作り上げることができた。首にリボンを巻いてラッピングまで行えば、本当によろこんでくれるのだろうかと、思いがかすめて出来上がって満足な心を崩して不安が増す。
ふかふかになったクマのぬいぐるみは、私に似た色をよくしている。しゅーくんに似た色のリボンでおめかししてちょこんと座る。一緒につれてかえってもらえるといいね、なんて思いながら頭をなでる。私と同じ目の色をしたぬいぐるみは心なしか笑った気がした。
しゅーくん帰ってくる日が楽しみだね、なんて投げかけて、自分用の残りのもう一体を作るために手を動かし始めた。
――のだけれども、二体目はなぜか失敗した。断裁するときに失敗したらしくしゅーくんに渡すものよりも数センチ程小さくなってしまった。完成して並べたときに気が付いた。たぶん、縫い代が少なかったのかな、なんて思うのだが、明日にはしゅーくんが帰ってくるのに、作り直している時間もなく、手芸店も閉まっている時間帯。
二つ並べて写真を撮ってみたが、この身長差はもしかすると現実の私としゅーくんぐらい差があるんじゃないかと思うと、このままでもいいかもしれないなんて思ってしまうぐらい、私のなかでしゅーくんが大きな存在になっているのだと思って笑ってしまった。


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