#6.気付いた気持ち
「キャーーーーーー!!!」
な!?何!?
気持ちよく寝ていた私は、目覚ましも音とは似つかわしくない音によって目を覚ました。
窓から差し込む明るい光。
さっきの悲鳴?
一気に覚醒した体を起こしてベッドから飛び降りた。
その時、ドアの向こうから足音が聞こえてきて、突然開かれたドアの先にはユウナが息を切らして立っている。
「サラ起きて!チョコボがッ!!」
「チョコボ!?」
瞬時に浮かんだ。
そうか!!チョコボイーター!!
急いで身支度をして外へ出る。
既に全員集合していて私が最後のようだ。
呆れ顔のアーロンと目が合う。
「遅いぞ。いつまで寝てるんだ」
「う…昨日疲れたんだからしょうがないでしょ!?」
「それよりアレどうするッスか!?」
目の前にはチョコボイーター。
腕にはチョコボが捕まっていて、チョコボイーターがチョコボに喰らい付こうとしているところだ。
「とりあえずチョコボを解放するのが先決ね」
ルールーはそう言うと、チョコボイーターの腕目掛けてファイアを唱えた。
ファイアが当たり腕が緩んだ隙にチョコボは脱出したが、獲物を横取りされたと思ったのかチョコボイーターはこちらを攻撃してくる勢いだ。
ここは…確か…。
「崖!!アイツをあの崖からに落とせばいいんじゃない!?」
「よし!それでいくぞ」
あくまで自然を装って私は言った。
みんなは私の提案に同意してくれたようで、戦闘の末チョコボイーターは崖へと落ちていった。
少しは武器の扱いに慣れてきたかも。
「どうもありがとうございました!お礼と言っては何ですがチョコボを無料でお貸ししますので、ご利用の際は声を掛けて下さい」
チョコボイーターを退治したお礼としてチョコボを貸してもらえることになった。
安堵したお姉さんの表情にホッとする。
そして何より。
「わ〜!!チョコボ!チョコボ!本物だよ〜!」
ゲームをしながら、実際チョコボがいたらどんなにいいかと何度思ったことか。
気に入ったチョコボを旅行公司前まで引いてきてはしゃぐ。
胸辺りにぎゅっと抱き着いた。
ふかふかで気持ちいい!
「なんだ?サラ、チョコボ見たことなかったのかよ?」
げっ…しまった…!
ワッカの言葉で我に返る。
「あはは〜、わ、私が住んでたところ、ド田舎だったから。チョコボで移動する距離もなかったの!」
「そりゃビサイドより田舎だな!…てことはお前一人で乗れるのか?」
「…え?」
これはゲームとは違う。
実物のチョコボ。
私…乗馬経験…無し。
「の、乗れない…かもです…ね」
「あちゃ〜、どうすんだ?オレはルー乗せなきゃいけねぇしなぁ」
「誰かに乗せてもらうから大丈夫。ありがと、ワッカ」
とは言ったものの。
さて、誰に頼もうか…。
こんなのゲーム中はないしなぁ。
ユウナはきっとティーダだろうし…ここは…やっぱアーロンに頼むしかないよね。
そうとなったら善は急げ。
チョコボの手綱を引きつつ、うろうろアーロンを探し回る。
「あれ?サラ、どうしたッスか?」
頭上から聞こえるティーダの声。
「あ!ティーダ!ちょっとアーロ……あ」
やっぱり、か…。
ティーダの後ろにはちょこんとユウナが乗っていて。
その姿にイラッとしてしまう。
いや、何をムッとしてるんだ。
これが当たり前!
当たり前のことなんだ!
心を落ち着かせよう少しだけ視線を外す。
「サラ?アーロンさんがどうかしたの?」
途中で言いかけたのを気にしてか、ユウナが首を傾げている。
「…あ、ゴメン!アーロン見なかった?」
「アーロン?アーロンならまだチョコボ小屋の方にいたッスよ」
「小屋だね!わかった。ありがとう!」
ティーダとユウナに手短にお礼を言うと私はチョコボ小屋に向かって足速に歩き出す。
二人はまだ何か言いたそうだったけど…。
早くあの場から立ち去りたかったんだ。
「アーロン〜いる〜?」
「あぁ、サラか」
入口から中を覗きつつ声をかけると返事が返ってきた。
「もう!探したんだから!!」
中に入り、アーロンに詰め寄る。
「俺をか?…そうか、チョコボに乗れないのか」
「笑い事じゃない!」
「…俺でいいのか?」
からかい気味だったアーロンの声のトーンが下がった。
「な、何が?」
「一緒に乗るのが、だ」
「…え?」
なんでそんなこと聞くの?
そりゃ一緒に乗る人を選んでいいって言われたら、私はきっとティーダを選ぶ。
でもそれは出来ない選択なんだよ?
「我慢も程ほどにしとけ。これはお前の知ってる物語とは限らん。それにアイツはこういう方面には鈍いからな。もう少し自分の気持ちに素直になってもいいと思うぞ」
俯いてしまった私の頭をアーロンはくしゃっと撫でると、自分のチョコボと私の連れていたチョコボを縄で繋いだ。
「?」
「この方がチョコボにも負担をかけずに済むんでな」
そう言うと私をひょいっと持ち上げ、後ろのチョコボに降ろしアーロンは前のチョコボに腰掛ける。
「次、チョコボに乗れるとするならナギ平原だ。頑張れよ」
「…わかってる……ありがとう…アーロン」
私ってそんなに分かりやすい?
アーロンにはバレちゃってるみたいだ。
これは報われない恋。
気付かないフリをしようと思ったけど。
無理だった…。
どうしてもティーダのこと、考えてしまう。
元の世界に帰る方法が見つかって。
いざ、帰るってなったら辛いのは自分なのにね。
もう二度とティーダと会話することは、ない。
だけど…。
アーロンの言うように、これが私の知ってるFFXとは違う物語になって。
もし
もし
ティーダが私を好きになってくれたら…。
どれだけ幸せだろう。
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