#7.恋の行方と老師様
前には、親友の息子と娘。
後ろには、異世界から来たという少女。
俺はいつからこんなに面倒見がよくなったんだか…。
思わず自分自身に苦笑してしまう。
キノコ岩街道へと続く、ミヘン街道の新道をチョコボで進む。
後ろにいる少女、サラ。
別にサラは友人に託されたわけでもない赤の他人。
だが、ルカで見掛けたとき俺の中の何かが放っておくなと発した。
案の定声をかければ、特殊な人間で…。
このまま一人にしておくより、旅に同行させた方が良いと判断した。
そんなサラだが、どうやら恋煩いというものにかかってしまったらしい。
その原因はというと…素知らぬ顔でユウナとチョコボを楽しんでいる様子。
お前がしっかりしていれば、こんな面倒なことにはならないんだがな。
俺にとっては旅の指南よりも難しい項目だ。
「なんでアーロンのチョコボとサラのチョコボが繋がってんだよ」
いつのまにか原因である張本人、ティーダは俺の横にならんでおり、口を尖らせながら問いかけてきた。
「何か問題でもあるのか?」
「べ、別にッ!ただ聞いてみただけだろ!?」
どう見てもサラのことを気にしているような態度。
しかし一緒にチョコボに乗っているのはユウナ。
そういう態度をどうにかしろ。
後ろのサラとユウナは何が面白いのか、ティーダと俺のやりとりを見てクスクス盛り上がっている。
「ほら、並んで歩くと危ない。さっさと先に行け」
「へいへい。あ!サラ今度オレと一緒にチョコボ乗ろうな!」
「え!?」
いきなり振られた呼びかけに驚いたのか耳まで赤くするサラ。
チャンスじゃないか、とばかりに俺はサラに合図を送る。
「…え…っと…。うん!楽しみにしとくから!」
「フッ」
どうやら上手くいったようだな。
が、そうでもない。
ユウナの顔をチラッと見ると、どうやらお気に召さない様子。
…これは…どうしたものか。
事態は俺が思っていたよりも深刻なようだ。
この三人の三角関係…ややこしいことにならなければいいが…。
そうこうするうちに、長かったミヘン街道もだんだん終わりに近づいてきた。
同時に討伐隊の数は増していくばかり。
一体、何が行われるというんだ?
サラはきっと知っているだろうと思い、後ろを向くと何やらキョロキョロしている。
「どうした?」
「え?あ、ううん。なんでもないから」
明らかに何か探している。
それとも、討伐隊が珍しいのか?
ミヘン街道の終点で俺達はチョコボから降り、これからはまた徒歩でキノコ岩街道を行くことになる。
はずなんだが…。
なんでもミヘン・セッションとやらのお蔭で召喚士すら通行禁止になっているらしい。
こんな大規模な作戦…寺院も関わっているな…。
「おや?ユウナ殿ではないですか」
足止めを食らっていた俺達の前に現れたのはエボン四老師の一人、シーモア=グアドだった。
どうもコイツはいけ好かん。
…ん?
何故かサラはキマリの後ろに隠れ、ユウナとシーモアの様子を窺っている。
というより、シーモアを観察していると言った方が正しいか?
「サラ?そんなとこで何してる?」
「しーッ!いいから前向いてて」
キマリからの問いに答えるときも、サラは視線をシーモアから離さない。
…そうか。
サラはここでシーモアが現れることを知っていたのか。
さっきキョロキョロしていたのもシーモアを探していたとすれば合点がいく。
それにサラのこの態度。
どうやらこの老師…ただの老師ではなさそうだな。
するとユウナとの話がまとまったようで、シーモアの権限で特別にキノコ岩街道に入れることになった。
それではお先に、と言い残し門をくぐるシーモア。
!?
今、確かにキマリの後ろにいるサラを見ていた。
しかも獲物を見つけたようなあの目つき。
当のサラは全く気付いていないようだが…。
「なんだよ、アイツのあの目…」
横から呟くような声が聞こえ、見るとティーダが眉間に皺を寄せシーモアを睨んでいる。
コイツも気付いた、か。
シーモアは…確かジスカルと人間の母親との間に生まれた混血児だったな。
少し調べてみるか。
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