#8.意味深な言葉



チョコボに別れを告げて、私達はジョゼ寺院へ向かうためキノコ岩街道に入った。

初めて間近で見たシーモア。

後々、関わりが出来てくるからどうしても身構えてしまった。

良い老師様でいてくれたらあんなことにはならないのに…。

ところで…。

…司令部ってどういう流れで行く事になるんだった…?



「あ」



前には先程、一足早く門をくぐったシーモアが討伐隊員を激励している。



「あの、一つ聞いていいッスか?エボンの老師が、教えに逆らう機械を使う作戦に肩入れするのはマズイと思うんスけど…」



エボンの教えを大切にしているワッカにとっては、機械を使うミヘン・セッションが気に入らないのは当たり前。



「みな、『シン』を倒そうと必死なのです。たとえそれが機械に頼る方法であっても」

「でも仮にもエボンの老師が…」

「これは私一個人としての意見ですから。シーモア=グアド個人として私は声援を惜しまないつもりです」



シーモアの言葉にみんなは納得したみたいだったけど、ワッカだけは不満げな表情だった。


「そういえばユウナ殿。せっかくですし、司令部に行かれてはどうでしょう?召喚士も参加するとなると、討伐隊の士気も上がります」



これだ。

この一言のせいでミヘン・セッションに参加することになるんだ。

失敗に終わる作戦。

それどころかたくさんの命が失われる。

出来ることなら止めたい。

でも…どうやって…?

こんな大規模な作戦に私の意見が通るはずないよ…。

もちろん、ユウナがシーモアの誘いを断るはずもなくて…。

私は遣る瀬無い気持ちのまま司令部を目指す。







街道の斜面を登り、辿り着いた司令部。

まだ作戦開始には時間があるため、私達は戦闘に向けて準備を整えていた。

結局、何か行動を起こすことも出来ず流されるまま参加することになっちゃったな…。



「ちょっとよろしいですか?」

「え?」



聞きなれない口調に振り向くとそこにはシーモアが立っている。



「えぇと、シーモア老師?私に何か…?」

「ルカでユウナ殿ご一行とお会いしたときは姿が見えなかったので気になって。さっきはあのロンゾの青年の後ろに隠れておられたでしょう?お名前を教えてもらえませんか?」

「…サラ、です」



鋭いヤツ。

シーモアは私達にとっては敵。

気を許しちゃいけない。



「サラ…良い名前ですね」

「あ、ありがとうございます」

「ところで、エボン=ジュという者をご存知ですか?」



え!?

エボン=ジュって…『シン』に守られてザナルカンドを召喚してる…アレ?

シーモアはなんで私にそんなこと聞くの?



「やはりご存知のようですね。しかもあなたは今までの者とは違う異邦人のようですし」

「い、異邦人!?」



しかも今、「今までの」って…?

私の他にもこうやってここに来た人がいるってこと…?

頭の中には疑問しか浮かんでこない。



「あ、あの!もっと詳しく…「どうやら、そろそろ始まるようです。この話はまた今度にしましょうか」

「え…!?」

「サラ〜!もうすぐ作戦始まるッスよ!…シーモア?」

「お迎えが来たようですね。それでは私は失礼します」



そう言ってシーモアはキノック達のところへ戻っていく。

ティーダはそれを不服そうに見ているかと思ったら、急に私の顔を覗き込んできた。



「シーモアと何かあったのか?」

「…!?ううん、何にもないよ。ルカで見なかったから気になったんだって」



私はティーダから顔を逸らした。



「本当に?」



そんな私の顔を自分の方へ向かせると真剣な表情で問いかける。



「う…ほ、ホントだよ」



ティーダ…疑ってる…?

シーモアの話で頭がいっぱいな私は絶対誤魔化しきれてない。

でもティーダは困ったように微笑む。



「それならいいッス。って、みんな待ってるんだった!」



私の手を引くとみんなのいる場所まで走り出した。



「わっ!?ちょっと…早いよ!!」



きっと私の嘘に気付かないフリをしてくれたんだよね?

ティーダはこんなに優しいのに、私は隠し事ばっかりだ。

私は何のためにここにいるんだろう…?

ただこの世界に来て、ただ帰るだけの存在なの?

その答えの鍵を握っているのは。

シーモア。

アイツは何か知ってる。





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