No.10
「ハルちゃん、ごめん。ここ引っ掛けて破けちゃって……・。」
「あ、大丈夫。これなら直せますよ!これ預かっていいですか?ご飯の時間までに縫っときますね」
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「ハル、洗濯しといたからな」
「わー。すいません!前の乾いてなかったでしょ?干す場所ありました?」
「ん、干すのはこれから。」
「あ、じゃあ私やります。ついでに前のやつアイロン掛けちゃうんで。」
「俺も行くよ。結構多いし。」
「ありがとうございます!」
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「ハルー!今日のご飯なぁに?」
「んーベポは何食べたい?」
「うーん。シチュー!」
「オッケー。じゃあ、今日はシチュー作るね。」
「やったー!」
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脚も大分良くなり、体力もかなり戻ってきた。
トラファルガー・ロー……もとい、キャプテンに好きなように動いて良いと許可を貰ってから、私は忙しく動き回っていた。
私がする事は、食事の管理とお洗濯、細々とした部分の掃除、生活で彼らが苦手とする部分を補う事。
ペンギンさんが「ハルが居るからといって掃除洗濯を任せっきりにするな。」とクルーの皆に最初に言ってくれた為、皆それぞれ今までどおりに、艦内の掃除もするし、手が空けば洗濯も手伝ってくれる。
艦も大きければ人数も多いので、結構仕事は沢山あるけど、こういう仕事を自分以外の誰かの為にやるというのは初めてで、全てが新鮮で、なかなか楽しく過ごしていた。
「おい。ハル。」
「はいっ!あ、キャプテン。」
「コーヒー淹れて俺の部屋に持って来い。ペンギンの分と2つな。」
「アイアイ、キャプテン!」
「フッ。なんだそれ、ベポの真似か。」
「ふふふ。そうです。」
「早くな。」
「了解でーす」
キャプテンがキッチンから出て行くのを見送って早速コーヒーの準備にとりかかった。
ペンギンさんは、この海賊団の副船長だそうで、さらに航海士や操縦士も兼任しているらしい。
よく海図や新聞を広げながら、キャプテンと2人船長室で難しそうな話しをしている。
その時には必ずキャプテンかペンギンさんが私の前に現れてコーヒーを淹れるように言いにくるのだった。
−コンコン
「失礼します。コーヒーお持ちしました。」
ソファーでキャプテンと向かい合って話していたペンギンが顔を上げた。
「ああ、ハル。悪いな。」
「どうぞ。熱いので気をつけて。」
「そうだ、ハル。明日島に着くぞ。」
キャプテンが、2人の前にコーヒーを差し出した私を見上げ言った。
「え?島?」
「何買うかちゃんと考えとけよ」
「?……あ、食材ですか?」
「ああ、それもあったな。それはまぁ、リストにしてキャス辺りに渡して買いに行かせろ。」
「それもって……それ以外になにか?」
「言っただろ。生活に必要なもの全部揃えてやる。」
「えっ?!あれ?!」
本当だったの?!確かに私がクルーになる話の時、彼はそんな事を言っていた。
確か、私が島に置いてきた以上の物を揃えてくれると……。
え、でも冗談でしょ?それ。
考えが表情に出ていたのか、キャプテンが呆れたような顔でこちらを見た。
「なんだ、嘘だと思ったのか。」
「明日は俺がお前に同行するからな。よろしくな。」
「ペンギンさんが……?」
「ああ。それとハル、悪いが食材の他にも洗剤や備品類も不足なもの見ておいてくれ。」
「あ、はい。分かりました。」
「悪いな。いつも俺が直前にやるんだが今回手が回らない。」
「いえ、大丈夫です。」
「じゃ、もう行って良いぞ。」
「はい。……失礼します。」
船長室を出て固まった。
全部……揃えるって、どれくらいの範囲で?
キャプテンの考えることは全然分からない。
……とにかく、明日何かを買っていただけるらしい。
まだ、仕事を始めてそれほど日数も経ってないし、タダで買ってもらうのは心苦しいが、下着とか無くて困るのがあるのは確かだ。
え、っとー……給料前借りって事で。うん。
自分を納得させた私は、ペンギンに言われた事を思い出し、備品庫へ向かった。
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