No.21
ピピピピピピ……
目を開けられないまま、枕元に置いたはずの目覚まし時計を手探りで探す。
……あれ?……ない。
窓から入る日差しに眉を顰めながら目を開けると、目覚まし時計がソファーの下に転がっていた。
あ、そうか。
昨日はソファーで寝たんだった。
あれ?じゃあ、私いつの間にベッドに……?
……あ。もしかして……キャプテン?かな?
昨夜ほっぺがくすぐったくて目を開けたらキャプテンが居た。
夢だと思ってたんだけど、あれ、本当だったんだ……。
あれ?でも……もし、夢じゃなくて現実だとしたら、キャプテンあの後私に……き…きききき……キ、
いやいやいやいや。
ないないないない。
たぶん、夢よ。
「ただいま」って言いに来てくれたのが万が一現実でも、キキキキ……スとかね!夢!そっから夢だよ、うん。
……はぁ、仕事しよ。
手に持ったままの目覚まし時計をベッドの上に投げて、顔を洗うために部屋を出た。
洗面所で洗顔と歯磨きをし、軽く身支度を整え、急いでキッチンに向かった。
いつものように皆に朝食を用意して、後片付けをする。
たまに二日酔いのクルーの心配をしたり、お皿の残飯をみて体調を心配したりする。
掃除を終え、キッチンに戻りながら時計を見る。
そろそろキャプテンが起きるはず。
キャプテン用の軽食をトレーに乗せ、キッチンカウンターの向こうのソファーに座る一番の仲良しに声を掛けた。
「ベポー、今、手空いてる?」
「んー?なぁにー?」
「キャプテンにご飯もってって。」
「……やだ。」
「え?なんで?ベポいつも喜んで持ってってくれるじゃない。」
「今日は、ハルが行きなよ。」
「えー、どうしたの?私これからお洗濯……。」
「洗濯は俺が代わりにやっとくよ!さ、行って行って。」
いつもと様子のおかしいベポにトレーを持たせられ、キッチンから押し出されてしまった。
……変なベポ。
昨日の夜の、夢かもしれないことが少し照れくさいが、ベポが持っていってくれないのなら仕方がない。
ため息を一つ吐いてから、船長室に向かった。
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