No.07
やっと、会える……。
あの忌々しい鳩に……。
甲板の手すりに寄りかかり、海を眺めていた。
振り向けば海兵に囲まれている。
居心地悪いったらありゃしない。
私のすぐ横に立つ海兵を横目で見た。
彼は、海を見据え、長いライフルの銃口を上に向け、持ち手部分を足に付けて、姿勢良く真っ直ぐ立っている。
「……あの。」
「はいっ!」
予想以上に大きな声で返事をされ、直角にこちらを向いた海兵に少し怯む。
「私、一人で大丈夫なのですが……。」
「そういうわけには参りません!大将・青キジの御指示でございますので!」
「じゃあ、せめて人数を少なく……。」
「いえ!仕事ですので!」
……そうですか。
まるで犯罪者にでもなった気分。
クザンは、絶対ここまでの事は言ってなかったと思うんだけど……。
たしか「危なくないように見ててあげて」位だったと思う。
諦めて手すりに頬杖を付き、上下に飛んでいる鴎を目で追った。
−−
しばらく前から、船は港に着いている。
着いているのだが……クザンが出てこない。
私が動くと、周りの海兵も合わせて動くので、できるだけクザンから来て欲しかったのだが、出てくる気配が無い。
仕方が無いので、船の中へクザンを迎えに行くことにした。
私が1歩動くと周りの海兵達も1歩動き、3歩歩いて止まると、彼らも3歩歩いて立ち止まる。
ハァー……と長い息を吐きながら、足早で船内に入っていった。
大きな扉を押してクザンの部屋に入る。
思ったとおり、目の上にアイマスクを付け、ソファーに長い体を横たえている姿が目に入った。
ズカズカと彼に近づき、アイマスクを摘んで引っ張り、彼の顔から15cm程離したところで指を放した。
−バチンッ!
「あだっ!!」
「ちょっと、クザン。いつまで寝てるつもり?もう着いたんだけど。」
「……ひどいじゃない。もうちょっと優しく起こしてくれてもいいのに。」
親指でアイマスクを額に押し上げながら、ぶつぶつ文句を言っている。
ゆっくりした動きで面倒臭そうに起き上がる彼の手を引いた。
「はいはい。起きて起きて。」
「あら、お嬢ちゃんに手繋いで貰えるなんて、おじさん役得。」
「だから、お嬢ちゃんて歳じゃないって言ったでしょ。」
「おれよりひと回り以上、下だもん。」
「へえ、若いね。」
「そりゃ、どうも。」
ソファーに座って丁度私と同じ目線のクザンがニッと笑う。
「……じゃあ行くか。」
どっこいせ。と立ち上がり、やっと目が覚めた様子のクザンに連れられ、軍艦を降りた。
彼と歩いていると、海兵達が付いてこないからとても楽。
港に降り立ち、正面に見える大きな門に向かう。
「お城の門みたい。ここは……何?」
「エニエス・ロビー。司法の島……裁判所がある。政府の奴等もいる。」
「へえ……鳩の飼い主は政府の人だったのね……。」
「まあ、な。」
門の脇に立つ衛兵に、クザンが軽く片手を上げる。
すぐに門が開けられ、クザンは当然のようにタラタラした足取りで門の中へ進んでいった。
いまいち真実味に欠けるけど、この人、本当に偉い人なんだ。
「ちょっと歩くが、一番向こうに見える塔まで行くぞ。」
「あ、はーい。」
クザンが少し振り返り、自分が思わず立ち止まっていたことに気づいた。
小走りで彼に追いつき、並んで塔を目指し歩いた。
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