丸三音さんは、不思議な人だった。
こんな素性もしれない男に優しくしてくれるなんて。本当に、不思議だけど感謝しかなかった。

俺は丸三音さんにたくさんの嘘をついている。
一つ目の嘘は年齢だった。俺は二十歳なんかじゃない。ほんとうは今年でやっと十八になるクソガキなんだ。
帰る家もその気になればある。けど帰りたくない。あんなクソッタレた家はもう嫌だ。
かと言って宿はない。十八歳未満で泊まれる場所なんて、椅子だけの満喫か二十四時間の飲食店位だった。
金はバイトして貯めたものがあったから何とかなってるが割とカツカツで、とても困っていたから本当に丸三音さんのご好意は有難かった。

あと、なによりこれはひどい嘘だなと思うのは「すぐに出ていく」という言葉だった。
本当はずっと居たい。めちゃくちゃ迷惑だろうし、非常識すぎる思考だ。
でも丸三音さんの元を離れたくない。こんなにもいい人は俺の人生で初めてだったからずっとそばに居たいって思ってしまってる。

どうすればこの気持ちに折り合いがつくのだろう?
さっさと住み込みの仕事でも見つけようと求人を見るけど、丸三音さんの顔がちらついて応募するステップに踏み込めない。
「このまま居候した状態で、バイトすればいい」なんて甘い言葉も言うもんだからそれについ甘えそうになってしまう。

早く出ていかなくちゃいけないのに、どうしてそう甘やかしてくれるんだろう。
丸三音さんは、不思議な人だ。

うそつきと指切り
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