*調子乗って続き書きました。超真面目回です。
*捏造たっぷりです。
「恵をお願いね」
クソッタレな願いだった。
気が付いた時には、既にソレはそこに居た。「なんだオマエ、見えてんのか」なんて俺を見下ろすソレは、微かに記憶していた父親の姿だった。なんだ、帰ってきたのか。もう随分と帰ってこなかったくせにと脚を蹴ろうとしたら俺の脚が父親の脚をすり抜けた。
「…?」
「触れはしねぇ、と。つか蹴ろうとしたか?このクソガキ」
「俺と津美紀放置して消えたアンタが悪い」
「ツミキぃ?誰だソレ」
「……」
薄々気づいてはいたが、自分の父親は人間として最低なようだ。「…アンタの再婚相手の子供」そう言うと再婚したことも憶えてなかったらしい父親は「あー?再婚相手誰だっけか…」なんて言い出した。はぁ、俺は溜息を吐いた。
「あぁ、思い出した。俺が子育て押し付けたあの女か。そういや女のガキも居たな」
「、アンタ津美紀の母親と出てったんじゃないのか?」
「あ?しらね。あの女も出てったのか」
「うん。邪魔になって俺と津美紀捨ててアンタと逃げたのかと思った」
「邪魔だったら殺してるわ」
くく、と笑う父親にぞっとした。コイツは他人を平気で殺せる人間だ、嘘偽り無い言葉だと理解してしまった。一歩後ずさる。今更邪魔になったから俺達を殺しに来たのか。だめだ、俺じゃ多分逃げられない。けど津美紀だけは逃さないと。じっとソイツを睨みつける。ソイツは首を傾げた。
「オマエなんか勘違いしてるだろ」
「なに、を」
「別に殺しにきたんじゃねえよ。まぁなんつーか…呪いかな」
「のろい」
「まったくよぉ、死んでから発動する呪いとかクソだろ。アイツ俺の行動分かったうえでやってたんかね」
「何の話だ」
「こっちの話だ」
まったく訳がわからない。ソイツは自分の頭をガシガシと掻いて「あーまぁなんだ」と言いづらそうに目線を空へ移していた。「めぐみー?」少し遠い所から津美紀の声が聞こえた。たた、と駆ける足音が聞こえる。父親から目線を外し、音のする方へ体を向けた。津美紀が俺の前まで走ってくる。
「恵、どうしたの?」
「…帰ってきた」
「?おかえり」
「俺じゃなくて。父親が」
「え!そうなの?」
そうなの?ああ、津美紀は俺の父親の顔なんか憶えていなかったか。「これ、俺の父親」と指を向けようとした所で「で、また居なくなっちゃったの?」と津美紀が口にした。え、と声が漏れる。「私、あんまり恵のお父さんのこと、憶えてないから一目見たかったなぁ。あ、でもまた帰ってくるかな?」なんて人が良いように笑う津美紀に、俺は混乱していた。あれ、だって、俺の父親はここに、
「オマエにしか見えてねえよ」
ぞ わ り
恐る恐る父親の、いや、父親だと思っていたものを視界に入れる。人だ、人間にしか見えない。「恵?」津美紀の声が遠い。目の前に居るコレを津美紀は認識していない。コレはなんだ?父親じゃない?もしかして、昔から見えていたあの化け物か?
「残念ながらオマエの父親だ。人間じゃなくなってるがな」
人間じゃない、という言葉に体を固まらせる。「津美紀が居ると話が出来ねぇ。追い返せ」父親らしい奴に言われ、なんとか津美紀を誤魔化し帰らせた。「アンタなんなんだよ」声が震える。
「呪霊もどきだな。生きてた時も天与呪縛の欠陥品、死んでも呪霊にすらなれない欠陥品。いっそ笑えるな」
「じゅれい?」
「昔っからオマエには見えてんだろ。そこらにいるバケモンがよ」
物心付いた時にはもう見えていた。アレが何なのか教えてくれる人間は居なかった、でもアレが異常なものであるということは本能で感じ取っていた。だからずっと、見えないふりをしてきた。認識していることがアレにバレれば、多分俺は死ぬ。そう理解していた。
「オマエは頭が良いな。勘が良いのか?んでもって才能もある」
「才能?」
「そろそろ術式も自覚する時期だろ」
「ジュツシキ」
コレのことか?と両手で犬の形を作る。手の影が壁に映り犬の形がずるり、壁から這い出てくる。ぐるる、唸り声を上げる白い犬。
「は、」
「津美紀と影絵で遊んでたら出てきた。これ、津美紀には見えてないんだ。コレがジュツシキとかいうやつなんだろ」
「…マジかオマエ。それ【十種影法術】か?」
「とく、何?」
「くくくく!マジか!クソみたいな出来損ないの俺から禪院相伝の術式持ちが生まれるのか!!あーあ、マジ勿体ねえ。相伝だったら10出すってあのクソに言われてたのに。死んでちゃ貰えるもん貰えねえじゃん」
なんだかわからないが、自分が知らない所で俺の身柄がとんでもないことになってることは理解した。それでもってこの術式とかいうやつは、かなりレアなものであるらしい。ふぅん、そうか。
「なぁアンタ、じゅれいだとかジュツシキだとか俺に教えろ」
「あ?俺が教えなくたって時期にオマエを引き取りに来る禪院が教えるだろ」
「引き取りに…津美紀はそこで幸せになれるか?」
「ねえな。100%無い、断言してやる」
「じゃあ行かない」
「行かないってオマエ、禪院が相伝のオマエを逃がすわけ…あ、待てよ。そういや保険掛けてるわ」
「保険?」
「五条悟にオマエを好きにしていいって言ったんだった。ワンチャンあれがオマエを引き取るだろ」
ゴジョウサトルとは一体誰なのだろうか。視線で訴えかければ「俺を殺した奴」なんてしれっと言った。保険とは。明らかに危険人物。「アレのが多少はマシだろ、知らんけど」と大凡安心できない言葉が返ってくる。津美紀と逃げる準備をしておいたほうが良いだろうか。逃げる場所なんて思い当たらないけど。
「どうしても逃げたいのなら、俺が力を貸してやる」
「なんで」
「そういう呪いだからだ」
「…津美紀も一緒か?」
「いいや?知らねえ女のガキはアイツの呪いには含まれてねえし」
「じゃあ嫌だ」
「嫌、ってオマエな。我儘か」
我儘?これが我儘だって言うんならそれで構わない。俺は俺のために逃げるんじゃない。俺ではなく、津美紀が幸せになる為の道を作るのだ。
「津美紀が不幸になるのは、俺が許さない」
俺自身はどうなったって良いのだ。不幸になろうが、ゴミのような扱いを受けようが、そんなことはどうだっていい。
「…自分より、他人が大事か。まったく、顔は俺に激似のクセして中身はアイツみたいだな。あーあ、まったく割りに合わねえ。超貧乏籤、死んでもこれか。いいぜ、津美紀ってガキも一緒に逃がしてやる。でも五条悟には会っとけ。一応の保険だ。それが駄目だったら言ったように俺が逃してやるよ」
「わかった」
「…つーかオマエいくつだよ。全然子供っぽくねえな」
「子供のままじゃ、生きていけないから」
消えた津美紀の母親が金だけは残してくれた。でも他には何もない。いつか金は尽きる、助けてくれる人間なんて居ない。自分たちだけで生きていく術を培わなくては、俺たちに道はない。
「なら生きていく為の力の一つになってやるよ」
「信用に欠ける」
「ほんっとに可愛げないガキだな」
「伏黒恵君だよね」
「アンタ誰?っていうか…何その顔」
そして歯車が動き出す。
***
「六眼持ちですら俺を認識することができねぇのか」
リスキーではあったが、恵の後ろに立ち五条のガキに対面した。ソイツは一瞥もすることなく恵と会話をしている。中々良いんじゃねえの?と五条のガキの頭に拳を振りかざしブチ抜いた。まぁ、予想してた通りすり抜けるだけだった。中々良いとは思ったが、見る・聞くに特化してもなぁ…。ガシガシと頭を掻く。
「…」
「どうした?」
「いや、なんかイラッとした。んー?」
五条のガキがキョロキョロと周りを見渡すが俺とは目線が合わさることはない。見えねえけどなんとなく感じ取ってるのか。規格外のバケモンだな。「オッケー、後は任せなさい」五条のガキは恵の頭を撫で、その場を後にした。
「後は任せなさい、だって」
「津美紀と一緒にオマエを引きとんだろ。良かったじゃねえか、晴れて呪術師としての将来が約束されて」
「…なに、呪術師?」
「タダでガキ2人引き取るわけねえだろ。アイツはオマエが【十種影法術】持ちだって視ていた。禪院が囲う前に見つけたんだ。そりゃあ自分のものとして呪術界に引き込むのは当然だろ」
もの、とは言ったが非道な意味ではない。なんせ五条悟だ、手駒すら不必要だろう。自分さえいれば十分なのだから。
じゃあなんでアイツは恵を引き取ろうと決めたのか。そもそも何故俺の息子なんかに会おうと思ったのか。最期の言葉など、そのまま無視されると思っていたのに。よくわからんガキだ。
そういや、アイツの相方の呪霊操術使うガキ、居なかったな。恵相手に嫌味でも言うかと思っていたが。ま、俺の知ったこっちゃないがな。
「何すんの、呪術師」
「非術師、呪霊が見えない一般人を呪霊や呪いから守るヒーロー」
「ハッ」
「鼻で笑うな。オマエのそういうところ結構良いとは思うけどな」
「守るとか、どうでもいい。兎に角呪術師になって、呪霊とかいうやつを片っ端からやれば良いんだろ」
血の気が多いのは俺の血かねえ。
そうだ、自分以外はどうだって良い、他人がどうなろうが知ったこっちゃない。それが俺たち人間の本質だ。他人を尊ぶ?馬鹿言ってんじゃねえよ。偽善が。そんなものが何になるっていうんだ。
「恵をお願いね」
じくり、呪いが俺を焦がす。
めぐみ、俺とアイツの子供。ただ俺たちの子供というだけの赤の他人。
どうでもいい人間。
「津美紀が幸せになるなら、後はどうだって」
どうして、他人のために
「ねえ甚爾、」
××よ。
「重い呪いだよなあ…まったく」
「…どうした?」
「あー?なんでもねえよ…なぁ」
どうせ触れられないのに、恵の頭に手を乗せる。こんなちっせえんだな、子供って。でもアイツが抱いていた赤ん坊の時の恵は、もっともっと小さかったな。
「オマエと俺は赤の他人か」
きょとんとしながら、恵は俺の顔を見つめる。
「父親だろ。死んでるけど」
「オマエを捨てた父親だ」
「でも家族だ」
それに、
「アンタ結局戻ってきたじゃん」
ああ、わかった。俺は自分で自分を呪った。死んだアイツに呪われて、死んだアイツを呪って、アイツの願いを叶えるため自分までも呪った。
「恵、いい名前ね。きっとこの子は恵まれる子に育つわ」
「どうかねェ」
「私と甚爾で、育てるのよ。恵まれるに決まってるわ」
歪んだ、二人分の呪いだ。
自覚してしまえば、もうどうしようもない。捨てることすらできやしねえ。
こんな欠陥品のクズに、死んでなおゴミみたいな俺に、一体どうしろっていうんだ。
足りねえ、二人分の呪いですら俺は俺を補えない。
「恵、願え(呪え)」
「え」
「言葉に呪力を込めろ」
「な、に」
「俺は、誰でもねえオマエの為に存在してやる。だからそうであれと呪え。伏黒甚爾はここに存在すると、そう願え」
恵の瞳が瞬く。
そうだ、俺をオマエにくれてやる。
呪え、呪え。自分の幸せのために、俺を呪え。
「伏黒甚爾は、俺の父さんは、ここにいる!」
瞬間、恵の呪力が爆発した。びりびり、と身体に呪力が走る。
「ぅ、あ」目を白黒させた恵の身体がぐらり地面に吸い込まれる。直前、俺は恵の身体を受け止めた。
「はは、すげえ力技。上手くいくもんだな」
触れることができた恵の身体を抱きしめる。
唯一俺が見えている恵に呪いをかけさせることによって無理矢理実体化、更に恵の呪力を持って俺という呪霊もどきの存在を現実世界に固定する。呪霊もどきを普通の呪霊にまで存在レベルを引き上げる…程度で良かったんだけどな。
今のこれ多分非術師にも見えるようになってんな。
「親子だから呪力の相性良いな」
呪力食いすぎて長時間使えねぇみたいだけど。
恵の頭を撫でてこちらから呪力を切る。繋がりは出来た。今後どうなるか、恵次第だ。
「任されたんだ、守ってやるよ」
.
ショタ黒恵
クソデカ感情を持つ小学一年生。
津美紀のことは本当に姉としか思っていない。シスコン。
この度父親を実体化させました。死んでも父親だし、なんだかんだで帰ってきたし家族だよ。いい子。今後津美紀の教育により一見冷たいけど内心優しい男に育つ。
ショタ黒は「お父さん」呼び。中学の反抗期で「親父」呼びになる。子供の成長だ、仕方ないね。
パパ黒甚爾
死んで嫁に呪われて呪霊もどきに。更に自分で自分を呪って、息子にまで自分を呪わせて晴れて並の呪霊に…って思ったらレベルアップしすぎた。
恵と繋がりが出来た為、これ以降は常時4級程度の呪霊的存在に(術師に普通に認識される)。雑魚に見えるくせに呪力流せば特級レベルに跳ね上がるから見掛け倒しも良いところ。
呪術界にバレれば特級過呪怨霊認定待ったなし。
普段は恵の影の中にいる。
数年もしたら影の中でぐーたら、子供に酒要求するようになるからクズヒモは信用ならない。
特級過呪怨霊 伏黒甚爾(非公式)
伏黒恵の呪力によって顕現する。流す呪力の量によっては完全実体化(非術師にも認識される)も可能。完全実体化するメリットはほぼ無い(お馬さん見に行こうと完全実体化したら恵が昏睡状態になったのでもうやらない)。
呪力消費が激しいので、他式神との並用は不可。術師自体もほぼ身動きが取れなくなる。
戦闘力は生前のまま。術式は元より持っていないので殴る蹴るが戦闘スタイル。
基本的に呪力のON/OFFは恵側が主導だが、緊急時の場合は甚爾から勝手に恵の呪力を食う。恵の反動が大きいので滅多にやらない。
津美紀ちゃん
でてこない
この時点では甚爾から家族認定されていないが、徐々に絆され「津美紀は俺の娘」認定されるのこと知らない。
本誌の流れが読めないので、すやすやさせるかほのぼの家族生活させるかとても悩んでいる(作者が)
「恵は私が育てました!」
五条悟
特級過呪怨霊 伏黒甚爾と出会ったらやべぇことになる
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