「猿は殺さなきゃいけないんだ」
だからごめんね、と暫く会っていなかった幼馴染が私の首を絞めた。大きい手が私の首をギリギリと締め付ける。声も出ない、喉が潰れた。ぼたぼたと涙が出てくる。息ができなくて、いたいくるしい。「ごめん、ごめんね」彼がひたすらに言葉を零す。必死に腕を伸ばした。彼の顔に触れて、目元を拭う。
わたしのほうがずっとくるしいはずなのに、どうしてきみがくるしそうになくの。
ぼき、
首の骨が折れた。
「…いやいやいやいや、猿って何。猿って何!?人間元を辿れば猿だとは言いますけどね、私人間!退化した覚えは一切無い!それとも何だ、私の顔が猿に似てるってか?はー??美人じゃないですけどそこそこ可愛いと思うんですよね!はい!見栄張りました!平均顔で面白みも無いですよぉ!!誰が猿じゃボケぇえええ!!!」
バッと起き上がったらベッドの上だった。え、夢?今の夢??随分感覚がリアルでガチで死んだって思ったんだけど?カーテンを開け、鏡で自分の首を見てみたら特になんてことはない、傷一つ無い首だった。
…夢か〜!マジでビビったぞ。幼馴染に殺されるとかどんな怖い夢よ?2年半くらい会ってないからちょっと寂しく思ってたけどさ…でもあの夢は無いでしょ。私ヤンデレ趣味とか有った?「死んでも一緒だよ」みたいな台詞があったらそれも疑うけど「猿だから殺す」だよ?ただの悪口じゃねーかちくしょうめ。
まったくもー!と時計を見ると7時前だった。その下にある日めくりカレンダーを見ると私が記憶している日付の1年半ほど前の、2005年2月28日と書いてあった。…めくるの面倒で溜めることは結構あったけど流石に2年半も放置しないんだけど。ていうか日めくりカレンダーって1年で終わりでしょ。なんで2年以上前のものが壁に掛かってるの?
コンコン、とドアを叩く音。とお母さんの声。
「どうしたの大きな声だして!珍しく早起きしたと思ったらもう…」
「夢見悪かっただけー!」
「そう。二度寝しないでよね?今日は卒業式なんだから」
卒業式?誰の?何の?
ドア越しのお母さんの気配は「私も準備しなきゃ」という声と共に遠ざかる。恐る恐る、日めくりカレンダーを一枚捲る。
びりっ
2005年3月1日
日付の下に手書きで「中学卒業式!」と書いてあった。
私の記憶が正しければ、現在の私は高校2年生。9月の修学旅行を目前にしていたはず…。修学旅行はベタに京都。彼氏が欲しいから清水寺の地主神社は絶対外さん!と決めて…あるぇ?
「長い夢を…見てた?」
まさかそんなー。とクローゼットを開けたら中学の制服と、その横には真新しい高校の制服が並んでいた。え、マジで夢?私の高校生活は今の私が見ていた夢だった?やべーな私。妄想力強すぎ。きっと脚本家や小説家になれる。
「ま、普通の高校生活夢見てましたけどね!」
中学の制服を取り出し、パタンとクローゼットを閉めた。卒業式かー!私の想像だと普段泣かないようなクラスメイトや担任まで号泣するんだよなぁ。
そんでもって、傑も。
すぐる、
「ごめんね」
どうせ私の妄想だけど、そんなに泣いて謝るのなら、やらなきゃいいのに。よくわからんが、夢の中の話だ。許しちゃる。ふふん、卒業式で傑も泣く妄想が頭にあるんだ。弄り倒してやるんだから!
「はー!卒業式終わったー!中学生活も終わりかぁ」
「随分あっさりしてるね」
「なにさ傑、もっと弄り倒していいって?」
「やめてくれ」
若干目が赤い傑に笑ってやった。あんまり私以外のクラスメイトとはあまり関わってなかったけど、やっぱり卒業って特別なものなんだなぁ。夢の通り傑が泣くとは。とんでもないレア。写真撮ってやりたかった。
そんな私は、2度目感が拭えず感動なんて程遠い、まるで保護者ボジションで同級生の様子を伺っていた。「空も泣くと思ってた」夢の中の私は確かに泣いたけどね。うん。私の卒業式、という実感がわかない。変なの。
「泣き虫も卒業かな?」
「泣き虫だった覚えないでーす!」
「そっか。私も、君のそばにはずっと居れないから、空が泣かないのであればそれに越したことはないかな」
傑は東京の学校に通う。私は地元の公立高校。会いに行けない距離ではないけど、長期休み以外で顔を合わせることは無いだろう。長期休みですら帰ってこないし、コイツ。いや、夢の中の話だけど。
「傑のほうが泣き虫だよ」
「そうだね。あまり空にあえなくなるって思うと、なんだか涙がね」
「ウッ、不意打ちでときめいた」
心臓に悪い。傑ってば意外とイケメンなんだよねぇ…どストライクにタイプではあるんだけど、幼稚園からの付き合いだから兄妹みたいな感覚なんだよなぁ。きっと少女漫画だったら今このタイミングで告ってたし告白されてた。少女漫画ではないので告りませんし告白もされませんし、付き合いません。残念ね私、高校2年の秋までは確実に彼氏はできないぞ!いや、夢の中の話だから現実にできるかできないかはわからない。頑張って彼氏作ろ。
「私、空が好きだよ」
「…ん?あれ、今私告白された?少女漫画の世界だった?」
「妹みたいに手がかかるのが、妙に愛おしくて」
「告白だけど告白じゃないやこれ」
「ちょっと黙って聞いて」
「ウス」
怒られたでござる。しょぼんとしてたら、頭を撫でられた。うん、これは確実に妹ですわ。同い年だけど。
「私はね、君に何度も助けられたんだ。心が折れそうな時も、いつも私の手を引いてくれて。空は見えてなかっただろう?」
「おばけね」
「うん、おばけ。私には見えて他人には見えないそれ。でも君は見えないけど『居ない』とは言わなかった」
「自分には見えないから『居ない』だなんて思わないよ。世界は広いからねえ」
「私はね、本当に救われたんだ。だから、私は呪霊を祓う為に頑張るよ。非術師の為に、空を守るために私は」
「無理しちゃやーよ」
「大丈夫さ」
大丈夫かぁ…?嫌な予感がひしひしとしますぜ。あんな夢見たせいかな。
「ま、傑がやりたいようにやればいいよ。私は傑の味方だからね!」
「うん、ありがとう空」
また泣いて、そして笑った。
やっぱり笑ってるほうがいいよ、傑は。
ところで非術師とか呪霊とかなんですかね?そういえば傑の進学する学校って宗教系の学校だったっけ。何目指すか明確に聞いてなかったけど拝み屋とかですかね、呪霊祓うとか言ったし。え、マジか。将来ドマイナーな職に就きそうだな。うっかり心霊写真とか撮っちゃったら傑にお焚き上げ頼も。
「非術師は呪いを生む。だから仕方がないことなんだ。ごめんね空。君が非術師だったのが、猿だったのが悪いんだ」
傑の手が、私の首を
[newpage]
「……、いや、まてまてまてまて。うっそだろおい」
夢で見たとおりの高校生活を送っていた。なんか赤点取った覚えのあるテストだな、答えはまったく思い出せんけど。と、結局現実でも赤点を取り、夢で見たとおりのクラスメイトや友達、部活仲間、名前が全員一致していて「あれ、なんかおかしいな?」と思っていたら2007年の9月中頃、私は傑に『殺された』。首を絞められて、なんか猿って罵られて殺された。
そんで気付いたらまた『ここ』に戻ってきていた。
2005年2月28日の日めくりカレンダー。
これを捲って3月1日、今日は中学の卒業式。
「これ夢じゃなくて、死に戻りってヤツ?ここはラノベ世界だった…?」
流石に2周目…じゃないな、3周目になって気付いたわ。私、察しが悪いオンナじゃないので。
セーブポイントは2005年の3月1日らしい。もっと細かくセーブさせてくれてもいいのよ…?約2年半戻るのキッツいな?また高校でテスト受けなきゃじゃん。でも今度は赤点回避するわ。じゃなくて!
「あの野郎、私を守るだの言ったくせに自分が殺すのな…?」
目下考えるべきは私を殺す幼馴染、傑のことである。
猿は罵りではなく…いや罵りか、侮蔑を込めて猿って呼んでるな。
猿イコール非術師で、非術師は呪いを生む?から殺さなきゃいけない。だから傑は私を殺す。オーケィ?OKじゃねえよ。アホか。
非術師、とはなんぞや。非が付くから術師じゃない人間。
術師とは?多分傑みたいにおばけ…おばけイコール多分呪霊、呪霊が見えて、多分祓える人間。それが術師。
非術師は呪いを生む。呪いってなんぞや。藁人形持って丑の刻参りやるアレ?私そんなことしない。丑の刻とか起きてられんし。何時か知らんけど多分夜中、うん寝てるわ。そんな呪いとか分からんもの生むとは思えん私が傑に殺される。呪いとは?とりあえず分からんけど、非術師の誰もが生み出すものと仮定。それが物体化したものが多分おばけ、呪霊。
どこでブチギレたか知らんが、元凶殺せば呪霊は生まれない。だから「非術師を殺そう☆」ってなったのがあの時の傑らしい。明らかに闇落ちしてやがる…。私は頭を抱えた。
無理しちゃやーよ、って私言ったじゃん…?
あのたまに人を見下すが、基本的には真っ直ぐに捻くれてる矛盾を含む性格を持つ傑だ。無理した結果ぷっつんしたことが予想される。友達できなかったんかね…?人は支え合って生きるもんだよ、金八センセーも言ってるよ。「人という字は人と人とが支えあって立っている」ってね。どう見たって上のヤツ下のヤツに寄りかかってるけどな。って違うそうじゃない。
「とりあえず高校の傑の状況を把握しなきゃだな…」
残念なことにまだ中学の卒業式である。スタートするにはまだ早い。
ぷっつんしたと思われる2007年の9月前後に何があるのか、それまでの道のりに傑に何が起こるのか。これ以降に情報収集しなければ。あわよくば解決策を見つける。見つけられんかったらもう一回やり直し。まごうことなき死にゲーですわこれ。
「傑が悲しまない道を探さないとなー」
私を殺す時、なんであんなに苦しそうに泣くかなあホント。
人という字は、上のヤツが下のヤツに寄りかかってるように見える。上に乗っかってるのが非術師だとして、下にいるのが傑であるというのなら…。
「わざわざ支えてやる必要無いのにねぇ」
そのまま放置すればいいのに。そしたら勝手に上のヤツらは自滅して這いつくばるしかない。支えがなきゃ、そもそも立ってられないのだから。なんでそんなことも分かんないかなあ傑は。頭いいくせにそういうところ、分かってないよね。
「傑ー!今度東京行くからあそぼー!」
2005年12月某日
「某日っていうか、クリスマス・イブなんですけどね。東京のイルミネーションすごいな。流石都会」
「たまたま休み貰えたのが今日と明日だったんだけど、大丈夫だった?」
「彼氏が居たら大丈夫じゃなかった」
「居ないのは知ってたから」
「ちくしょう」
休みを貰えたってなんだろうか、今冬休み中だよね?普通に休みでは?「…アルバイトの話だよ」ああ成程、アルバイトね。嘘だろうなあって思いながら「ウン、そっか!」と頷いた。
「高校はどう?宗教系の高校ってどんな勉強するの?滝行とかやった?」
「滝行はやらないなあ。私僧侶になるわけじゃないからね?」
滝行はやらない、僧侶にもならない。ロクでもない情報だな、情報収集下手くそか私。「クリスマスパーティーとかも禁止?」またくだらない事を聞くと「鍋パはするよ」と返ってきた。鍋パ!!それクリスマスパーティーか?「甘いものが好きなヤツが居るからね、ケーキも食べるよ」という言葉に衝撃を受けた。
か、彼女が居るだと…?
「…今日、付き合わせちゃったの悪かったかな」
「え?全然。鍋は夜だし…それにもしよければ空も」
「うわ、傑もしかしてデート中?」
うん?第三者の気配を察知。傑と後ろを振り向くと白が目に入った。白髪のおじいちゃん…?ではなく傑と並ぶ大男が居た。いやいや、待て待て。
「国宝級のイケメンだと…?」
めっちゃ長身+なんか変なサングラス掛けてるけど顔がめっちゃ整ってる+背景がとっても綺麗なイルミネーション。モデルの撮影かな??イルミネーションに負けてないレベルでイケメンもキラキラしている。やばいな東京。
ちらり、傑の顔を見たらすごく嫌そうな顔をしていた。
「このイケメンはどちら様?」
「…クラスメイト」
「宗教系の学校って聞いてた気がしたんだけど、芸能科とかあったりする?」
「しない」
マジかよ、ただのパンピー?このイケメンが?日本どころか世界に通用しそうなんだけど?あまりのイケメンさに呆然としてると「間抜け顔ウケる」とか言われた。よぉし、喧嘩なら受けて立つぞ。負け確イベだ、当然負けるのは私である。
「すぐるぅー、コイツ何?」
「秋野空、私の」
「あーオマエの幼馴染の。付き合ってるとか聞いてなかったけど?」
「え、付き合ってないです」
「お?」
「彼女じゃないです付き合ってないです。ただの親友」
「まぁ、こういう子なんだ」
「ウケる」
面白い要素どこにあった?「ところで超イケメンの貴方様のお名前は?」随分下手に出たのはこのイケメンが割と面倒くさいタイプの人間だと察知したからである。にやにやと笑いながら、何故か傑の肩に腕を伸ばし肩を組んだ。
「傑のクラスメイトの五条悟、傑の親友でーす」
「誰が親友だ」
二人並ぶと顔面偏差値ヤバいな?写真撮っていいかな、言い値で売れるぞ。
にやにやしながら「傑この後のクリパでさ〜」と五条さんがしゃべる。あー!マウント取りかー!私にしたところで意味ないだろ。…ていうか
「友達居るじゃん!?」
「え、まあ…友達だけど。私に友達居ないとか思ってた?」
「ちょっとね!!」
友達居ないからストッパーも無く闇落ちしたんかと思って。一応友達が居て…親友…いや待て。
「か、れし…いや彼女?どっちだ?」
「気色の悪い勘違いはやめてくれ空」
「マジトーンじゃん」
国宝級イケメン五条さんもめっちゃ嫌そうな顔してた。本命彼女みないなマウント取りに来たくせにウケる。
しかしそっか、親友か。傑は否定してるけど中々仲が良さそうだし。友達と肩組んでるところとか初めて見たもん。嫌だったら速攻振り払ってるだろうし。うん、これは親友だわ。五条さんの手を取り握る。傑がぎょっとした目で私を見たけどスルーで。
「傑のことをどうぞよろしくお願いします…!」
「オマエの幼馴染は何ポジションなわけ?母親?」
「幼馴染は幼馴染だよ」
ただの幼馴染です。ていうか周りの女の人の視線めっちゃ痛い。両手にイケメンだがただの幼馴染とその友人だ、許せ東京ガールズ。
なんやかんやあって、何故か傑の高校の傑の寮の部屋で鍋パ参戦することになった私です。え、部外者入っていいの?「許可もらったし、許可なくても大丈夫だろ」許可無しは大丈夫ではないと思うよ。許可もらったっていう言葉を信じてお邪魔させていただく。
「はじめまして〜。コイツらの同級生の家入硝子、よろしく」
「秋野空でーす、傑の幼馴染やってます」
美人さん居たんだけどヤバい。片手に煙草もう片手に酒とかいうやべー組み合わせである。あれ、高校生…同い年…同い年?一発退学モノですが大丈夫ですか??私の視線に気付いたのか「ああ、これ?気にしなくていいよ」とか言われた。気にするわ。やべーところに来てしまった。傑もか?傑も不良高校生になってしまったのか?「煙草も酒も硝子だけだよ。私と悟はやってない」と傑に言われて安心した。
「鍋の準備するぞ野郎ども!」
「なんで空が仕切ってんの?あとはヨロシク」
「押し付ける気満々じゃん…?」
「悟は元々動く気ないから。硝子も」
「よろ〜」
溜息一つ零し、部屋を出ていく傑の後をついていった。「共用スペースに材料とか押し込めてあるんだ。硝子は兎も角私も悟もよく食べるからね」まあデカイ図体だからね、いっぱい食べるよね。良いことだよ。広間っぽいところにある冷蔵庫を開き、ビニール袋を3つ取り出した。
「鍋の準備もここでする?」
「そうだね、そっちに台所があるから材料切って鍋に入れて」
「カセットコンロは?」
「上の棚、私が取る」
「んー」
材料ぶつ切りにして鍋にぶち込むだけなので楽でいいね。「だから鍋パになったんだけどね」という言葉に納得。
「でも傑、料理できるよね」
「ちょっとだけだし、クリスマスに食べるようなものは作れないよ」
「そりゃそうか。デリバリーとか…は、なんかここ東京のくせにすごい田舎っぽいから来れないか」
「配達の人も部外者立ち入り禁止で入れないからね」
「私本当に居て大丈夫?」
「大丈夫大丈夫」
「信じるからな」
袋をあけるとめっちゃ光った。何眩し!恐る恐る取り出すとなんかめっちゃ美味しそうな肉が出てきた。黒毛和牛って書いてません?A5とか書いてあるよ?めっちゃ量あるんだけど安売りの肉か?A5って思いっきり金ピカシールで貼ってあるな??おん???
「悟、ボンボンの息子。材料費全部悟持ち」
マジかよ。あのルックスでボンボンとか漫画の主人公じゃん?やべえ悟様って呼ぼう。ついでに肉に拝んどこ。A5ランクのお肉とか食べるの初めてです。袋を全部ひっくり返した。ていうか鍋は鍋でもこれすき焼きの材料だな?切った材料鍋じゃなくて皿に乗せるか。割り下も作らなきゃじゃん。思ってた鍋となんかちょっと違う。まぁいいか。わくわくすき焼きパーティーじゃあああ!!
「はー神、まじ神。お肉美味しすぎでは?」
「俺の買った肉だぞ、崇めろ」
「悟様ありがとうございます。こんな下民にも施しをしてくださり本当にありがとうございます」
「肉から目を離して俺の顔みて言えよ」
「悟、野菜もちゃんと食べる」
「ゲエー。肉だけで良いわ」
「酒終わりそ」
「硝子飲みすぎ。空、肉取ってあげるから皿頂戴」
「オマエ空にはめっちゃ甘いな?」
気安くて居心地いい空間だな?なんで私こんなに馴染んでるんだろうか。「五条さん本当にありがとうございます」「五条さんとか気色悪い。悟でいい」「えーっと、悟くん?」「私も硝子で」「硝子ちゃん」「キミら気安すぎないかい?」「そんなことねえよなー?空」「ぶくく、眉間にシワ寄ってんぞ夏油」ゆるい空間、最高か。
「まったく」
「たのしーね、傑」
「まあ、ね」
「来年もやりたい!なんて、飛び入り参加した私が言うことじゃないか」
「あー?いいんじゃね、来年もな」
そんな1年後の予定軽々と決めて大丈夫?みんな彼女彼氏出来て参加しないとか無い?私だけボッチの可能性…。前回の私彼氏出来なかったし。頑張って作るか…いや、皆とのクリパやりたいな。
「空に彼氏とか絶対出来ないから大丈夫だろ」
「この野郎!」
「傑もな」
「…悟」
「ウケる」
「硝子ちゃんはどっちかと付き合ったりは」
「絶対ない。死んでもない」
「空ー俺の事どう思う?」
「悟!」
「国宝級イケメン。ただし観賞用」
「かんしょうよう」
「ぶふー!わかる!見る分には良いんだけど性格がね〜。まあ夏油にも言えることだけど」
「傑別に性格悪くないよ…?」
「幼馴染上手く騙してんじゃん」
「私は傑に騙されていた…?」
「人聞きの悪いこと言わないでくれ」
「かんしょうよう」
楽しく馬鹿騒ぎしてたら、傑達の担任の先生らしい893顔の怖い人が「煩いぞ馬鹿ども!」とマジギレで入ってきた。更に「何勝手に部外者を連れ込んでいるんだ!」と怒られ「許可取ったって言ったじゃん!信じるって言ったじゃん!!」と私は半泣きした。悟くんも硝子ちゃんも爆笑していた。ゆるさねえぞお前ら。
「来年も!約束だからね!!許可ちゃんと取れよ!!」
「傑が取る」
「はぁ…まあ取るけどさ」
「やくそく!」
そうやって、1年後も鍋パして、馬鹿騒ぎしてまた先生に怒られて。
少し雰囲気が変わった傑に「どうしたの?」って聞いて「なんでも無いよ」って言われて、それで
それで
「ごめんね、空」
傑の手が、私の首を
[newpage]
「まぁそりゃね、鍋パしかしてませんし?それ以外特にした覚えもないから察してたけどな?やっぱり死ぬんかーい!」
予定調和でした。ていうかあんな仲いいダチが居て闇落ちしちゃうん?どういうことなの。自称親友の五条悟くん、もっと親友してくれ頼む。ぬーん、ベッドに寝転がりいつも通りに2005年2月28日の日めくりカレンダーを睨みつけた。
情報収集は死にゲーの基本だよなぁ…。怠った自分が悪いのだ。
「というわけで悟君、呪霊とはなんぞや?」
「色気無ぇデートだなー。傑に聞けば?」
「やんわり躱された」
「まあ非術師には話さねえだろうな、そりゃあ」
前回同様クリスマスの鍋パで友達になった悟くんにヘルプを求めた。
そもそもの話、何故傑は私を殺すのか。非術師だからだと言った。では非術師と術師の違いは?非術師は呪いを生むといった。だから殺す。呪いとは?ここらへんの情報をちゃんとまとめないと対処ができない。
「割と真剣なんだ、教えてくれると嬉しい」
「あー…ま、いっか。大雑把にしか答えられねえぞ」
「ウイッス」
呪霊とは、人から漏れ出した呪力…負の感情が集まって出来た『呪い』である。
呪力とは、『ある一部の人間を除き』大なり小なり殆どの人間が持っているものである。ただし、これを扱うということになると、適応した体質を持ちなおかつ『術式』なるものを持つ人間になる。
「呪術師はこの呪力を自分の中で循環させ術式に乗せて扱うことが出きるけど、非術師はそれが出来ずにただ外部へと『呪い』として垂れ流してしまう。ってことね。沢山の人の『呪い』が『呪霊』を生む、と」
「見かけによらず理解力があってビックリ」
「呪霊を祓うのが呪術師の仕事…傑も、悟くんも硝子ちゃんもそうなんだ」
「硝子は系統が違うけどね」
ふむ。私を殺す前に言っていた「非術師は呪いを生む」って言葉は理解した。理解はしたけどー…うーん。つまりあれか
「呪霊を生まないようにするには、非術師から呪力をなくす?」
「無理だろ。呪力ってのは殆どの人間が持ってる。消すってことは多分出来ない。呪力を完全に封じるっていう呪具もあるかもしんねえけど、全人類に持たせるとか無理。…あとは、呪いを生まない方法があるとすればアレか?負の感情を生まなきゃ良いんだから」
「心を殺す」
「完全に心を殺したら廃人じゃん?」
「無理だねえ」
「無理だろ」
ならば逆に非術師に呪力をコントロールさせるか。それが出来たら苦労はしないんだろうな。だって出来ていたらこの世に呪霊は生まれない。
あーはいはい、成程ね。完全に理解した。
「つまり非術師が居なければ呪いは生まれない」
「まあそうなるな」
「術師だけの世界であれば、呪いは存在しなくなる」
「……は」
「非術師を殺せば、呪いを生み出す原因の排除が出来る」
「おい、それは」
「だから非術師を殺そう。そんな考えに至った馬鹿が居るわけだ」
本当に大馬鹿者である。辺に暴走すると短絡的になり他が見えなくなる。
悟くんは信じられない、といった表情で私を見ていた。話の流れで察しがついたのだろう。だって私が知っている呪術師とやらは数人しか居ない。私が気にかけている、となれば当然身近な人間だ。
「傑が非術師を殺すとでも言うのかよ…!?あの正論ばっかり言うアイツが?呪術は非術師を守るため、とか言う奴だぞ!?」
「何があったのか…ううん違うな、何が起こるのか私にはわからないけどね。そうだ、『術式』ってさ、私にもあると思う?」
「ハァ?オマエに?あるわけ」
サングラスを取った悟くんがじーっと私を見つめた。うん、めっちゃイケメンだな。ところでなんでサングラス取った?もしや何か視てる?
「…術式じゃねーんだけど、なんかよくわかんねえのがある。呪い?いや違うな…なんなのオマエ」
「私が知りたいんだけど…そうだな、頭がおかしいと思われても仕方ないことを言うよ」
「何?」
「私この世界を何度かやり直しているって言ったら、信じる?」
悟くんが頭を抱えた。すまんな、爆弾発言で。
「やり直してる?オマエ漫画かアニメの見すぎなんじゃねえの」
「2007年の9月に傑に殺されて2005年の3月に戻されるんだよね」
「信じねえぞ」
「まあ信じなくてもいいよ。因みに今年の4月に新入生として七海くんて子と灰原くんて子が入学してくるよ。今年やる鍋パで悟くんに紹介してもらった」
「嘘だろ」
「4月の入学で確かめればいいよ」
まぁ信じなくていいさ。私だって、友達にこんな話しされたって信じられないし。
「傑がオマエを殺すなんて、絶対に無い」
「絶対なんてないんだよ、悟くん」
「幼馴染のくせに傑を信じねえのかよ」
「幼馴染だからかな、3回も殺されれば今回も殺されるって信じてる」
とりあえず、この回は情報収集に徹底するよ。攻略は次の回で。
「悟くん、今年何が起こるのか、私が死ぬまでに君たちの中で何があったのか、教えてよ。きっと次に活かせる」
「…信じねーぞ俺は」
「信じなくてもいいけど、協力はしてほしいな。私さ」
死にたくないのは当然だけど、私を殺す時の傑の顔、すごく嫌だからどうにかしたいんだよね。
「馬鹿じゃねえの」
2007年9月某日
秋野家宅にて、この家の娘である秋野空の絞殺遺体が発見される。
秋野空は先日呪詛師認定された夏油傑と関わりがあり、犯人は夏油傑と推測。
また同日夏油傑の両親である夏油××と夏油××が行方不明となっている。夏油傑の実家から血痕と夏油傑の残穢が見つかっており、呪霊により殺害されたものと思われる。犯人を夏油傑と断定。
「本当に七海と灰原が後輩になって、鍋パもやって…じゃあまた来年もって…」
『幼馴染だからかな、3回も殺されれば今回も殺されるって信じてる』
「オマエが微妙な顔して、傑もどっかおかしくて、でも俺やっぱ信じられなくて」
来年またみんなで鍋パやるって信じて疑わなくて。
「どうして」
「説明しろ傑」
「硝子から聞いただろ?それ以上でも以下でもないさ」
「だから術師以外殺すってか!?親も!?アイツも!?オマエ空のこと好きだったんじゃねえのかよ!!」
「好きだったから、一番最初に殺した」
私を殺す時の傑の顔、すごく嫌だからどうにかしたいんだよね。
そういったアイツの悲しそうな顔を思い出した。
[newpage]
「首絞め苦しいから今度から心臓一突きとかにしてくれんかな」
第一声これっておかしいだろ。いやでもね、首絞めほんと苦しいんですよ。最終的にはゴリラパワーで首へし折られるし。なるべく苦しまない死に方ってなんだろうな…ちょっと傑に提案したい。
さてさて!またまた戻ってきました2005年3月1日!今度の私は一味違う。なんたって呪術界の知識を詰め込んでるからね!知識の有る無しじゃやっぱりだいぶ状況は変わると思うのよ。「信じねえからな」なんて言いながら悟くんは色々教えてくれた。
2006年の8月にあった星漿体の任務。天内理子ちゃんの話。泣くかと思った。ていうか泣いたわ。あっちこっちで私の意識は阿鼻叫喚。傑メンタル擦り切れるに決まってるわ。相談出来る相手いないもん。悟くんは人の心がわからんヤツだな?「俺と傑で最強!」とか言ってる場合じゃねーんだわ。二人でプリ○ュアじゃねーんだわ、ちくしょうめ。オマエは当てにしない…とはいかないのが最強五条悟である。
やっぱ鍵になるのは悟くんだよなぁ…。
「天内理子の死を回避する」
まあ、きっかけの回避はありだろうけど。これって根本的問題の回避ではないんだよなあ。
「そもそもの問題、傑が潔癖すぎる」
そうなんだよなぁ、これなんだよなあ問題は。
なんでスタートが「呪術は非術師を守るためにある」なんだよ。お硬すぎるんだよまったく。「金のため」のほうがまだ衛生的じゃないの。傑のことだから「非術師を殺して術師だけの世界を作る」とか言うんだろうな。
「傑の意識を変える」
変えた上で、その他原因の排除。うーん、高難易度だなあ。
「ちょっと空!今日卒業式でしょう!いつまで寝てるの!!」
「あ、やば」
とりあえず卒業式でなきゃ。
ビリっと日めくりカレンダーを破った。また会ったね3月1日の君。どうぞよろしく。
「傑の術式ってなに?」
「…悟に何吹き込まれたんだ空」
「ちょーっと呪術の知識をね。で、傑ってばどういう術式使うの」
「呪霊を取り込んで、使役する」
「ポケ○ン的な?」
「間違っちゃいないけど、その言い方はなんだかな」
「取り込むってどうするの?」
「食う」
「食う!?!?美味しいの!?」
「クソ不味い」
「不味いのか…じゃあ美味しいもん食べに行こ!あ、今さっきもしかして食べた!?口の中最悪!?言えよ!!口直し…飴くらいしかないや、これ食え!」
「んぐ。いきなり口に入れるな!危うく飲み込むところだっただろ」
「ごめんごめん」
「…ん、甘い」
「私のお気に入りの飴ちゃんだからね。後で袋であげよう」
「空」
「んー」
「ありがとう」
じいっと傑の顔を見つめた。「何?」と傑は首をかしげる。
「苦しいならやめちゃえばいいのに」
「…え」
「傑一人が無理することは無いんだよ」
顔色悪いの、誰も気づかないもんかねえ…。ばっと手を広げる。
「甘えることを、許します!」
「え?」
「傑は頑張ってるよ!でも誰も褒めてくれてないよね。だから私が褒める!傑は偉いぞー!すごいぞー!」
傑を抱きしめて、頭わちゃわちゃしてやった。なんか天内理子ちゃんの任務前から、ちょっと無理してる感じがした。やめちゃえばいいのに本当に。でも、やめないんだろうなぁ…どうしよう。どうしたら傑が泣かなくて済むのか、わかんない。
「そ、空!ちょっと何、」
「私、傑がだいすきだよ。すごくだいじ」
ぎゅーっと力を入れる。でっかい体、強そう。でもさ、人って見た目じゃ判断しきれないんだよね。
「無理なら無理って言って。苦しいなら助けてって言って。どうして欲しいか教えて」
「…まだ、大丈夫さ」
「そっかあ」
「でも」
「うん」
「ちょっと甘えようかな」
「おうよ、どんとこい」
結局、この後任務で天内理子ちゃんは死んでしまったらしい。
どうしようかな。またリセットかな。
『信じらんねえけど、保険だ。使い所はオマエに任せる』
見誤ったな。また次の機会かなぁ。
「空、助けてくれ」
おっと、新展開。
「どったの、うちにまで来て」
「ちょっと、女の子を拾って」
「事案か?警察呼ぶか??」
「待って、違う。ちょっと任務で…村ぐるみで虐待受けてたんだ」
事案じゃん?傑の背中から出てきたのはぼろぼろの2人の女の子だった。はー?こんな子たちを虐待ィ?絶許。
びくびくする2人に目線を合わせるためしゃがむ。
「こんにちは、お姉さんの名前は空だよ。君たちは?」
「…美々子」
「…菜々子」
「みみちゃんとななちゃんね。お腹へってるよね、ご飯食べよっか。あ、その前にお風呂入りたいかな」
「おふろ…」
「はいりたい」
「うん、お姉さんが洗ったげる」
「簡単なものしか作れないけど、ご飯は私が作るから」
「よしきた」
お気に入りの泡風呂にしよ。「じゃ、いこっか」とそっと2人の手を取ってお風呂場へ向かった。脱がせた服の下から傷だらけの身体が現れた時、マジで見知らぬ村人共に殺意が湧いた。マジ絶許。これお風呂染みちゃうかな…?ゆーっくりお湯を掛けて「染みない?大丈夫?」と聞けば2人とも「だいじょうぶ」と頷いた。ゆっくり丁寧に頭を洗ってあげて、あわあわの湯船に浸からせて「あわあわだ」「あわあわだね」なんてちょっと嬉しそうなみみちゃんななちゃんにちょっと涙が出た。
「お姉さま」
「おねえさま!?!?」
ずきゅんってきた。
「お姉さまは、非術師?」
「え、ああうん。そうだよ。おばけは見えないの。…みみちゃんとななちゃんには見えてるんだね?」
「うん…気持ち悪い?」
「え、なして??」
「アイツらは、私達のこと化け物って、疫病神だって言ってた。気味が悪い、気持ちが悪いって」
ふぅーっ。落ち着け私、びーくーる。気をしっかり持つんだ。じーっと私を見つめる2人に笑ってみせた。
「気持ち悪いだなんて、思わないよ」
というか、気持ち悪いって思う思考がよくわからん。
「小さい頃から傑と一緒に居て、傑が自分と違うものが見えてるって知ってたけど、それを気持ち悪いなんて思ったこと無いなぁ。あの時の傑には無神経だったかもしれないけど「え!おばけ見えるの!?すごい!!」って飛び跳ねてた事もあったし。だーいぶ昔の話だけど」
「…夏油さまね、お姉さまの話ししてくれたの」
夏油さま?呼び方が犯罪臭いな??私がお姉さまだったら傑はお兄さまで良かったんじゃないのかな…って言いたかったけどお口ミッフィーちゃんするわ。
「小さい頃おばけが見えるって言った時、みんな「嘘だー!」って言ったけど、お姉さまだけは否定せずに信じてくれて、すごく心が救われたって、夏油さま言ってたよ」
「呪霊の前を通る時も、いつもお姉さまが手を引いてくれて、すごく心強かったって夏油さま言ってたよ」
「そっかー…私、傑と違って何も出来ないから、少しでも心の支えになれていたのなら嬉しいな」
その心の支え、何度も殺されてるんですけどねあははは。笑えねえ。
「猿は嫌い」
「猿!?」
「お姉さまも猿」
「ディスり方のレベルが高いな…?」
「でもお姉さまはすき」
「だって私達に優しい。夏油さまにも優しい。非術師の猿なのに」
「私も、みみちゃんとななちゃんが好きだよ。勿論傑も好き」
でもさ、そこには術師だからとか非術師だからとかは無いんだよ。みみちゃんだから好き、ななちゃんだから好き。傑だから、大好き。
ただそれだけでいいじゃない。
「猿だから、だめ」
「でもお姉さまは優しい」
「優しいひともいる」
「夏油さま。お姉さまは」
「勝手に冷蔵庫の中身使わせてもらったよ」
「全然おっけー!雑炊だ、美味しそう」
「今更だけどご両親は?」
「京都の方に旅行行ってるー。みみななちゃんおいでー」
昔の服って意外と残ってるもんだな…まさかぴったりサイズの服が残っていたとは。「また随分懐かしい服を引っ張り出したね」と笑う傑に「昔の自分が居るみたい」と私も笑った。
「夏油さまが作ったの!?」
「おいしそう!!」
「ふふ、召し上がれ」
「いただきます!」と重なった声。「おいしい!」「夏油さまおいしい!」コール。尊いな?思わず泣いて合掌した。傑の方に目を向けたら、傑も目元を手で抑え天を仰いでいた。
「しあわせ!」
ここが天国か。
「眠ったねえ」
さっきまで元気にはしゃいでいたみみちゃんななちゃんは疲れたのか、ソファの上で仲良く寝ていた。「布団敷くから運んでくれる?」と傑に頼めばわかったと頷いた。
「いきなりすまなかったね。保護したのは良いけど、小さな女の子相手にどうしていいか分からなかったんだ」
「全然、お安い御用さ。ふふ、可愛いねえ。お姉さまって呼ばれてびっくりしちゃったけど、可愛い妹ができた。ところで夏油さま」
「その呼び方は別に強要したわけじゃないんだよ…名前を教えたらもうその呼び方になってた」
「犯罪臭ヤバいね?」
「自分でも分かってるけど」
「頑なに夏油さま呼びやめなかったね」
夏油さまは夏油さまだから、の一点張りだった。神様かなにかだと思ってるのかな。まあ自分を助けてくれた救世主だ。気持ちは分からんでもない。
「あんな可愛い子たちを虐待とか、何考えてんのほんと。その村人?ちゃんと警察に通報したよね?社会的に罰せられて、国民から白い目で見られればいいんだ!もう!」
塀の向こうで自分の罪を悔いるが良いさ!「大丈夫だよ」と傑の言葉にホッとして
「全員殺したから」
鳥肌がたった。
「……え」
「今日の任務はね、とある村で発生する神隠しへの対処だったんだ。原因の呪霊は祓った。なのに」
「すぐる」
「神隠しはあの子達が原因だと言った。いくら私が原因を取り除いたと言っても聞く耳を持たず、悪いのはこの子どもたちだと。村人を度々襲うだの殺されかけただの妄言を吐いて!化物と罵って!もう…うんざりだ」
「傑!」
「猿どもに何を言ったところで、アイツらは何も理解しない。そういう生き物だ」
げとうさま…?みみちゃんが目を擦りながら起きたのが視界の隅に見えた。
だめだ、これはだめなやつ。
「傑、落ち着いて」
「きみは、君も非術師だ。でもあの猿とは違う。わかってる。空は私をずっと肯定してくれた。他人には見えない、君にだって見えていなかった呪霊を居ると信じてくれた。怯えていた小さな私の手を引いてくれた。道を示してくれた。守ってくれた。なら今度は、私が空を守る番だと。呪霊を祓って、非術者が安心して暮らせる世界であれと本気で思っていたはず、なのに。なのに、非術師に何故虐げられなければならない?美々子も菜々子も、天内だってそうだ!あの子は「生きたい」とただ願っただけなのに、ただそれだけの願いを非術師に、猿どもに潰されて殺されて!」
転がり始めた石のように、傑はもう止まれない。
「私は許せない」
傑の手が、私の首に掛かる。
「ごめん、ごめん空。きみがすきだよ。でも、私は私の為に、例外を許すわけにはいかない」
いやああああああ!!!みみちゃんが叫び、ななちゃんが飛び起きた。
「やだ!夏油さま!お姉さま殺さないで!」
「だめだよ。猿は、みんな殺さないといけないんだ」
「お姉さまは優しくしてくれた!美々子にも菜々子にも、夏油さまにだって優しかったって!」
「…うん、そうだね」
一瞬だけ、力が緩んだ。
「だから、苦しまないように一瞬で終わらせよう」
ぼきっと、首から骨が折れるおとがした。
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「いやだから苦しいんだっちゅーの。全然一瞬じゃないんだわ。心臓一突きが良いって言ったじゃん?言ってないか」
閻魔大王じゃないんで地獄らしい地獄は書けませんでした。ジェットコースターみたいな地獄書きたかったんですけど、マイルドに明るい地獄。支部にいらっしゃる閻魔大王さま、なんでそんな混沌とした素敵な地獄書けるん…?
何番煎じだろう、ループものです。私も書いてみたかったんだ。そんでもって力尽きた。
名前固定の夢主ちゃんが居るのでご注意ください。
夢主:秋野空
お相手:夏油傑
秋野空
夏油傑の幼馴染。非術者。
夏油に殺されてセーブポイントである2005年3月1日に戻される。
自分の死を回避が目標だけど、大前提として「傑が幸せになること」がある。
首絞めマジ苦しいから別の方法で殺してくれ。無自覚にイカれてる。
夏油傑
幼馴染をコロコロする。
異性として幼馴染が好き。でも殺す。
みみなな
ひでえトラウマ植え付けられた。
次の周でお助けキャラになる。
五条悟
後悔ばっかりの人
保険をかけたので次の週で最強の切り札になる…んじゃないかな
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