ゼロスは言う。
「ふまり、リナはんが誰かに痛みを与えるほ、その痛みが呪いの力により倍になって返ってきてるみたいなんですよ」
緊張感の欠片もなく、ケーキをもぐもぐ食べながら……。
「あ、ユウさんも食べますか?」
「……いりません」
呆れて見る私が物欲しそうに見えたのか、ゼロスはニッコリ笑ってケーキの刺さったフォークをこちらに差し出す。
が、当然食べる気にはなれなかったので、お断りの意思を伝えた。
「倍になって返ってきてるって……」
「どういう意味だ?」
不思議そうなアメリアさんとガウリイさん。
ゼルガディスさんに至っては彼の行動に呆れているのか、ただ黙って見ているだけ。
「具体的に見せましょう」
ゼロスはそう言うなり人差し指をクイックイッと曲げ、ガウリイさんを呼び寄せた。
そして何の疑いもなく彼に近付いたガウリイさんの腕を捕むと、そのままガウリイさんの手をリナさんの胸へと押し付ける。
驚いたリナさんはもちろん悲鳴を上げた。
───が。
「あ、小さい……」
「そう、小さくてちょっと困っ……何ぃっ!? 何すんのよっ!!」
ガウリイさんの呟きに、彼女は直ぐさま怒りの制裁を加えた。
急所を蹴り上げられ、呻き声を上げて崩れるガウリイさん。
「も、物凄い事を……」
「ふっふーん」
リナさんは自信満々胸を張り、そして。
倍の痛みが襲ったリナさんもまた、崩れ落ちた。
「と、まぁ……このような事です」
「なるほど!」
うずくまる二人を杖で指し示すゼロスにアメリアさんは納得し、ゼルガディスさんに至っては痛みを想像したのか沈黙している。
「く、口で説明しろ! 口でっ!」
「いやぁ、実際にやった方がわかりやすいでしょ?」
リナさんの非難の声もどこ吹く風で、彼はニコニコと笑顔のまま。
まあ、それでこそゼロスと言う気もしないでもないが……。
「で、でも……一体誰がこんな事したのよ?」
彼女は痛みに耐えながら、呟き───次の瞬間。
食堂には高らかな笑い声が響いた。
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