「はっはっはっはーっはっはははっ!」
「あ、あんたはっ!? 昨日の怪し過ぎる女っ!!」
高笑いしながら窓辺に現れたその人物に、一番最初に反応したのはリナさんだった。
白い三角巾にメイド服。
眼鏡にマスクをした姿は誰がどう見たって怪しい。
そして『昨日の』という事は、私がいない時にあったゴタゴタとはきっと彼女の事なのだろう。
「えー? 会ったか? あんな奴……」
若干一名、覚えてない人がいるがそれはいつもの事。
更に言うならば、リナさんの暴力によって強制的に黙らされるのもいつもの事。
「何者っ!?」
「ある時は謎の外国美女……ある時は親切なメイドさん」
どうでも良いが、自分で美女とか言っちゃうんだ。
「そしてその実態は───っ!」
バサッと着ていたメイド服をはぎ取った彼女に、リナさん達は驚きの声を上げる。
おそらくその姿に、見覚えがあったのだろう。
淡い緑の髪を縦ロールにし、頭のてっぺんにはティアラ。
露出度の高いコスチュームに左肩には額に角のあるドクロを模したショルダー・ガード。
……一体どんなセンスなのか。
そんな私の胸の内など知らず、一輪の花を片手に彼女は言う。
リナさんをキッ……と睨み付けて。
「久しぶりねぇ、リナ=インバース!」
それに対しリナさんは3回ほど大きく頷き、
「あ〜、あ〜、あ〜……誰だっけ?」
もしもしリナさん?
「……いくらなんでも、それは酷いのでは?」
「仕方ないでしょ。覚えてないんだもん」
「マルチナよっ! 忘れたとは言わせないわよっ!?」
「お前がぶち壊したゾアナ城の元王女だ」
「あー……そう言やぁ、そんな事もあったっけねぇ? 懐かしい、元気してた?」
ゼルガディスさんの補足説明に彼女はようやく思い出したのか、言って笑顔でマルチナさんへと片手を上げた。
「親しげに挨拶しないでよ……」
一筋の汗を流しながら呟く彼女。
それにしても……一国を潰しておいて忘れるとは。
ただ単に大雑把なのか、それともリナさんにとっては良くあることなのか。
あ……何か嫌な予感がヒシヒシと。
私はこっそり後退りし、少し離れた場所から成り行きを見守ることにした。
ALICE+