「偉そうに言うことかっ!!」
「言うわよっ!!」
いち早く復活したリナさんは、立ち上がるなりツッコミをいれるが、マルチナさんは直ぐさま反論した。
「わたくしが、血と汗と涙で稼いだお金だものっ!」
「……稼いだって、何やったのよ?」
「造花のバイト」
………なるほど。
先程持っていた花もきっと造花だったのだろう。
何か同情を誘うな……この人。
「さぁ、モンスターの皆さん! 宜しくっ!!」
しかし、いくら不幸な人物とは言え、今はリナさんを狙う敵である事にはかわり無い。
マルチナさんに雇われたモンスターは、彼女の掛け声にリナさん目掛けて迫り来た。
危険を察し慌てて後ろへと下がったリナさんに代わり、ゼルガディスさんが前へ出る。
キィンッ!と剣と剣のぶつかる音が響き、そこへガウリイさんが剣を抜き突っ込んだ。
───が。
何故かモンスターは彼をスルーしてコチラに……。
「って私は無関係ですっ!!」
そんな叫びも虚しく、そして非難していた甲斐もなく、私は騒動の中心へ……。
そこで響く、マルチナさんの声。
「その男にだけは手を出しちゃダメよ!」
「あぁ? それってどう言うことよっ!?」
「お前、そいつとグルだったとは言わさんぞっ!」
「えー?」
ガウリイさんは訳が分からないと言うように立ち竦んでいる。
そして、呪いを受け攻撃の出来ないリナさんは、天井の梁にぶら下がり難を逃れていた。
その隣には一緒にぶら下がるゼロスの姿。
……て言うかまだ居たんだ。
てっきり逃げたかと思ってた。
でもまぁ、それもあながち外れではないようで。
モンスターの皆さんを杖でバシバシ叩きながら聞こえてくるのは、リナさん達の会話。
「ちょっとゼロス! あんたも手を貸してよっ!」
「それでは、僕は陰ながら応援させていただきます」
「陰ながらって……安全な所に逃げてるだけじゃないのぉっ!!」
「そうとも言いますね♪」
見上げれば、天井裏へと身軽に上る彼。
そして少しも悪びれない言葉。
「この薄情もの!」
まぁ、今に始まった事ではないとは言え、その意見には賛成です。
「こうなったら……」
「ぇ……?」
スタッと床に舞い降りたリナさんは真っ直ぐ正面を見据え、かと思うと次の瞬間には駆け出していた。
「逃げるわよっ!」
「あ、リナさ〜んっ!」
「おい、待ってくれ〜っ!」
急に走り出した彼女に置いてかれまいと、アメリアさん達は慌ててついて行く。
かく言う私も最後尾を走り───チラリと振り向けばそこに、尊大に佇むマルチナさんの姿があった。
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