「くぁ〜、しみるしみるぅ……ツンと来るねぇ」
「自業自得ですね」
痛み分け。
まさにそんな言葉がしっくりくる戦いの後。
宿へ戻ってきた私達はお風呂に浸かり、疲れを癒していた。
「あまり痛むようなら治療しょうか?」
「あー、良いわよ。この程度の傷、魔力が勿体ないわ」
「……じゃあ我慢できなかったら言ってくださいね」
「ありがと」
リナさんは笑みを浮かべ……かと思うと、ある一点をジーッと食い入る様に見だした。
「あの……リナさん?」
「同じくらい……」
「は?」
「いや、あたしよりちょっぴり……ほんのちょーっぴり大きい位よね……」
彼女の視線を追えば、私の胸へと注がれている。
「なのに何であたしばっかり……あたしだって、そんなに洗濯板じゃないもん……ちゃんと出るとこ出てるもんっ」
どうやら、先程言われたマルチナさんの言葉を気にしているらしかった。
リナさんは今のままでも十分魅力的だと思うけど。
それに私の知り合いに言わせれば、『女の子はみんな可愛い。みんな愛しい』と、若干鬱陶しい愛を惜しげもなく振りまいてくれる事だろう。
「そんなに気にする事ないと思いますけど……」
「……うぐぐ、そうは言うけど」
「それじゃあ今度は胸が大きくなる温泉に行きましょ!」
「ん゛?」
「はっ!?」
アメリアさんの失言に、瞬時に不穏な空気を纏うリナさん。
そんな彼女から、アメリアさんは慌てて身を引こうとするが時すでに遅し。
「ぅわあぁーっ!!」
彼女の悲鳴とともに、湯舟には大きな水柱が上がった。
その様子が筒抜けだったのだろう。
隣の男湯からはゼルガディスさんの呆れた声と、ガウリイさんの呑気な声が届く。
『……愚かな』
『ま、一杯!』
「……お酒でも飲んでるんですかね?」
「ん? あぁ、そうなんじゃない?」
湯船の縁で力尽きたアメリアさんを気の毒に思いながらリナさんに声を掛けると、彼女は興味無さそうに答えた。
「それにしても、彼女……変わった人でしたね」
「ほーんと、はた迷惑な女よね、マルチナって。おかげで余計な体力使っちゃったじゃない」
まぁ、その点はリナさんにも問題があったかと……。
「どういう意味よ?」
「え? あ、いや」
どうやら無意識に胸の内を呟いていたらしい。
リナさんにジト目で詰め寄られ、額に汗しながら後退る。
「そう言やあんた、あたしが襲われそうになった時に『無関係』とか言ってなかった?」
「いやぁ、気のせいです……きっと」
嫌な汗がだらだと流れ、
「問答無用っ!!」
「ぇ゛……ちょっ」
バシャバシャとお湯を掻き分け、迫るリナさんから逃げる私。
───そして。
「ちょっ、リナさんッ!! 落ち着い……きゃあっ!?」
「ユウっ!?」
足を滑らせ、お風呂場には本日2度目の水柱が上がったのだった……────。
あとがき
───空前。
破天荒過ぎる振る舞い。
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