明けて翌朝。
今度の作戦『張りぼてドラゴン』の船に乗り込んだ私達は、アシュフォードさんの指示で再度、即席のいかりを湖に降ろす事になった。
即席のいかりことゼルガディスさんは、リナさんとアメリアさんを交互に見るも、彼女達の満面の笑みを目の当たりにしてしまっては、もはや言葉もない。
それでも彼は助けを求め、コチラへと視線をやり……。
「人間諦めが肝心です」
「………………」
私の言葉に、ゼルガディスさんは泣く泣く湖へと沈められた。
じょうごとホースと一緒に。
…………と言うか。
今さら気付いたが、水中で息が出来る水気術と言う術があったような……。
「ぜーるーっ、しっかりねぇっ!!」
まぁ、今さら言っても遅いか。
昨日と同じく甲板でお茶を飲み始めたリナさん達を見て、そう思う。
「…………それにしても」
昨日より深そうだけど大丈夫だろうか?
なんとなく気になり湖面を見つめていると、突如水面に黒い影が現れた。
それは物凄い勢いでコチラへと近付き、次の瞬間。
「お前らなぁッ!?」
「ゼルガディスさんっ!?」
黒い影の正体。
それはロープを手繰り寄せ上ってきた、ゼルガディスさんだった。
しかし、突然の対面も束の間。
「あれ……? うわぁーっ!」
「ゼルガディスさんっ!」
彼は湖へと逆戻り。
どうやらロープが船に固定されていなかったようだ。
何て言うか……ゼルガディスさん沈み損?
揺らめく湖面を見ながら、頬に汗する。
後ろからはアメリアさんの声が聞こえ、
「何か水音がしましたよ?」
……だから何かって、それはないでしょうに。
私は呆れつつ視線を上げ───……いつの間にか現れていたドラゴンに驚き、息を飲み込んだ。
「っ!?」
『出たあぁーッ!?』
それに気づいたリナさん達から驚愕の声が上がる。
しかし直ぐさま驚きから立ち直ると、アシュフォードさんの嬉々とした声が聞こえてきた。
「ふっ、馬鹿め! まんまと罠にかかりおったか!」
「で、で、で、次はどーすんのっ!?」
「決まっておろう、次は……………………………………………………………………考えてなかった」
ずべっ。
彼の言葉に思わず引っくり返る私達。
そしてまるでその言葉が終わるのを待っていたかの様なタイミングで、ドラゴンは高々と上げていた尻尾を勢いよく振り下ろす。
『うわあぁーっ!!』
その一撃は、船を大破させるのに十分な威力を持っていた。
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