「ひゃあぁっ!?」
咄嗟に近くのモノにしがみ付き、揺れの原因を探す。
湖へと注意を向ければ、レイクドラゴンが暴れているのが見てとれた。
……何かを振り払おうとしているのだろうか?
ドラゴンは仕切りに体を岩や、森にぶつけ身を捩っている。
……ん?
あれは───アシュフォードさんっ!?
彼は振り落とされまいとドラゴンの首の付け根に必死にへばり付き、よじ登っていた。
さらに、腰に提げていた包丁を掴み取ると頭上へ掲げ、一気にそれを振りおろす。
グオォーンッ!!
首筋に包丁を突き立てられたドラゴンは一吠えすると動きを止め───そして。
ズシ――ン!!
まさに一撃必殺。
陸に倒れたドラゴンを見ながら、私は圧倒されていた。
あの人、いい加減そうに見えて実は凄い人だったんだ。
「ほっほう。大したもんです」
ゼロスもそう思ったのか、拍手をしながら感嘆の声を上げる。
私を抱き止めたまま。
…………うん。
今更だけど、近くにあったモノってゼロスだったのね……。
「重ね重ねスミマセン……」
「いえいえ。さて、ドラゴンの肉も手に入れたみたいですし、リナさん達の元へ行きましょうか」
「あ……うん」
「それともこのままが良いですか?」
「結構です」
言って私は彼から離れた。
それを待ってからゼロスは先に軽々と木から降りる。
そして振り向くと私の方へ腕を伸ばし、
「僕の胸に飛びこんグフ……ッ」
「あ、ごめんなさい」
続いて降りた私の蹴りが、見事彼の笑顔を直撃した。
「な、何するんですかぁ……」
「何って……降りて直ぐ退けないゼロスが悪いと思う」
「僕はユウさんを受け止めて差し上げようと……」
「いや、頼んでないし」
「そんなぁっ」
顔にくっきりと足跡を付け、情けない声を上げるゼロス。
「さっきまで怖がってたじゃないですか」
「だから慣れたんだってば」
「そんなの酷いです」
「酷いと言われても……」
酷い、酷くないとそんなやり取りをしつつ、リナさん達に置いて行かれないように歩きだす。
と、その時。
踏み出した足許でカツンと音がした。
「ん?」
見れば足元に銀色のロケットペンダントが落ちている。
「これ、アシュフォードさんの……」
「くす……そうみたいですねぇ」
拾って中を確認したゼロスは笑みを深くし、訝る私へとそのペンダントを見せてくれた。
そこに写っていたのは、若い頃のアシュフォードさん、そして───。
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