「電撃破!」
「光よっ!!」
ゼルガディスさんの術が放たれ、ガウリイさんもそれに続き敵へと斬りかかる。
しかし、かなりの数の魔族を今のだけで何とかするのは不可能。
私達は次々と術を解き放った。
───そんな中。
アメリアさんは手にした短剣をジッと見つめ、決意を胸に誓う。
「父さんの残したこの剣をもって今こそ奴らに正義の裁きを受けさせます! とぉっ!!」
「アメリアさんっ!?」
「ちょっとアメリア何すんのっ!? いくら何でも剣じゃ無理よっ!!」
いくら捨て駒的な格下魔族とはいえ、魔族は魔族。
普通の剣ではどうしようもない。
しかしアメリアさんは忠告に耳を貸さず、そのまま敵へと突っ込み、
「とか言って、烈閃槍っ!」
相手の精神を直接攻撃するこの術。
根本的な部分が精神世界面にある魔族には、たまったものではない。
彼女の術を受けた敵は、あっさりと倒れた。
「卑怯もんかアンタはっ!!」
「正義が成せればそれで良し!」
「正義かぁ? 今のが…」
「正義ですっ!!」
ガウリイさんの突っ込みにも、アメリアさんは自信満々言い切る。
まぁ……こうなってしまえば、言い切ったもん勝ちではあるが。
「て言うか……リナさん、アメリアさん。遊んでる間に囲まれちゃったんですけど」
「……しまったぁ」
えぇ。
本当に。
今さら呪文を唱えようにも既に遅い。
敵の術が私達を狙い───と、突如。
「そこまでだっ!」
辺りに響き渡る男の人の声。
崖の上から聞こえたその声に、魔族も慌てて後ろを振り向く。
そこに居たのは───。
「異境の地より出でし者よ、その傍若無人なる振る舞い、これ以上見逃す訳にはいかん! 正義の光ある所、闇のはびこる道理は無ーーーいっ!!」
「あ、あいつは夕べのっ!」
そう、そこに佇み正義の口上を口にしたのは、昨夜の不審者……怪人X。
と言うかこの演出。
やけに見慣れている気が……。
「ちょっと待て……あの声って……」
「リナさん、『X』と知り合いなんですか?」
「いや……まさか……でも……」
「とぉっ!!」
尋ねる内にも怪人Xは崖の上から飛び降りる。
そこを狙って魔族が攻撃を仕掛けた。
空中では逃げ場がない。
そう踏んでの事だろうが、怪人Xは(どうやったかはわからないが)その攻撃を避けて見せた。
その際に顔を隠していたマスクに、避けきれなかった攻撃が掠め、素顔が明らかになる。
その顔は、昨日聖堂で見た大きな石像そっくりで。
それは怪人Xがアメリアさんのお父さん───つまり、フィリオネルさんであることを物語っていた。
「明日の平和の為に受けよっ! 平和主義者クラッシュロイヤルスペシャルサンダーっ!!」
彼は飛び降りてきた勢いをそのままに、敵へと飛び掛かる。
その長い技の名前も伊達ではないらしく、彼の拳は敵を軽々と無へと帰した。
「……やっぱりそうか」
「父さんっ!!」
呟くリナさんの横では、アメリアさんが感動し、そしてフィリオネルさんへと駆け寄る。
しかし彼はそんなアメリアさんを手で制し、
「アメリア、感動の再会は後じゃ!」
「はいっ!」
「正義を成す者の真なる戦い、そこでしかと見届けるが良い! ゆくぞぉっ!」
言って彼は走りだし、襲い来る敵を迎え撃つ。
そこからはフィリオネルさんの独壇場だった。
とにかく手当たり次第に敵を葬り去っていったのだ。
『素手』で。
普通の剣ですら通用しない相手に、本来ならばあり得ない事なのだが、こうもまざまざと目の前で見せ付けられてしまえば反論のしようもない。
「……あの身も蓋もない技は」
「確かにフィルさんだ!」
「父さんっ、素晴らしいですっ!」
「あぁもう訳わからんっ!!」
「……スゴいと言うか、何と言うか」
取り敢えず、この後。
全てを根底から覆した平和主義者は、娘とともに敵を蹴散らしたのだった。
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