「いやぁ、すまんすまん。別に皆を混乱させようとした訳では無いのだがな。だっはっはっは……」
「何が『だっはっはっはっ』よっ!! 一体どう言うことか説明してよね!」
───下っぱ魔族を闇に葬りさった後。
一番最初に現れた魔族はいつの間にか姿を消していた。
そこで私達は場所を変え、事の経緯をフィリオネルさんから聞くことにしたのだが。
リナさんに突っ込まれ、フィリオネルさんは困った様に弁解し始める。
「ま、大方は皆の考えていた通りだ。爆発に巻き込まれた時に、とあるよい考えが頭に浮かんでの」
「よい考え?」
ジト目で見やるリナさんに、フィリオネルさんは一つ頷き、
「うむ。この暗殺騒ぎが王位継承に関わる事なら、わしが居なくなる事で敵は必ず次の行動に移ると読んだのだ」
「敵が動いた所を証拠として押さえるんですね!」
「その通り!」
嬉しそうに尋ねるアメリアさんに、フィリオネルさんも誇らしげに答える。
先程からアメリアさんは、お父さんが生きてて、嬉しくてたまらないという感じが滲み出ていた。
まぁそれも仕方ない事なのだろう。
「ところが、城の様子を探ろうとした矢先にお前達が帰ってきた。愛する娘にだけは無事を知らせたいと、こっそり部屋に忍び込んだのだが……」
「父さんっ!」
「娘よっ!!」
「おい……もう良いでしょっ!?」
見詰め合い、ガバッと抱擁を繰り返す親子を前にリナさんが呆れるが、二人は聞いちゃいない。
「そうとも知らず、おれが攻撃しちまったって訳か……だが、別におれは悪くないぞ」
ちゃっかり責任逃れをするゼルガディスさん。
でもまぁ、何はともあれアメリアさんのお父さんが無事で何より。
そう思っていると、ようやく気がすんだのか。
再会の喜びを表現し終えたフィリオネルさんが、深刻な顔で告げた。
「リナ殿。今回の騒ぎを持ってしても結局、事件の核心に触れる事は出来なんだ」
「わかったのは魔族が絡んでるって事だけ……いずれにしろ、こりゃただ事じゃ無さそうね」
「……戦いはこれからって訳か……」
ゼルガディスさんの言葉に、しかし当事者のフィリオネルさんはあっけらかんとしていた。
「まぁ、ここで気にしてもしょうがない。なるようにしかならん。だっはっはっはっ!」
「あっはっはっは!」
「……アンタ達ねぇ……」
のん気に笑う親子を見て、リナさんはガックリと肩を落とす。
その隣ではガウリイさんが、疲れたように呟いた。
「で、結局オレ達、やっぱり巻き込まれてるって気がする……」
「……ですね」
「気にするな気にするな。だっはっはっはっ!」
「お気楽な事言うなっ!」
何と言うか、このフィリオネルさんという人。
随分と豪快な人のようだ。
───……それにしても。
コレから一体どうなるのだろうか?
広がる青空のもと、私はコレからの事に想いを馳せ……。
深い溜め息を吐いた。
あとがき
今迄はほんの序章に過ぎない。
そう、これは次の為の厄災……なのだから───。
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