お城の一角にあるテラスにて。
アメリアさんはテーブルに身を乗り出すなり、怒りをあらわにした。
「何なんですかっ!? あのカンヅェルとかいう人はっ!! あからさまに挑発的な態度でっ!!」
アメリアさんがこんなに怒っているのには訳がある。
それはつい先程の事。
私達は敵の出方を窺う為に、一度お城へ帰ることとなった。
フィリオネルさんと共に街へ帰ると、それはもう国をあげてのお祭り騒ぎ。
その事からフィリオネルさんの人望が容易に窺えた。
「フィルさんて案外と人望があんのよね」
「人は見掛けによらないって事だよなぁ……」
「ひっどーい! 見掛けと人望は関係無いですよ!!」
「って事は、見掛けに難があるのはお前も認めるんだな?」
「ぅ゛……」
ゼルガディスさんのツッコミに、アメリアさんは言葉を詰まらせる。
───そんな中。
リナさんが私の方を振り向き、言った。
「で?」
「……?」
「ユウはどう思った訳?」
ニヤニヤと笑うリナさん。
その意図が分からず、私は首を傾げる。
「どう、とは?」
「フィルさんを素敵な人って言ってたけど、実際会ってどう思ったのかって事」
そう言われ、意地悪そうに笑うリナさんから、白馬に乗っているフィリオネルさんへと視線を移す。
そして再びリナさんへと視線を戻し、
「素敵だと思いますよ?」
だがしゃあっ!
その言葉に。
何故かリナさんのみならず、ガウリイさんとゼルガディスさんまでもがコケていた。
「って、どの辺がっ!?」
「どの辺って……失礼ですよ、リナさん。話した感じも人柄が滲み出ていましたし、包容力がありそうですし。なにより、それは国民の皆さんを見れば一目瞭然じゃないですか」
「確かに器の大きさは認めるけど! でもアレが王子様なのよっ!? 乙女の憧れの玉の輿よっ!? あの巨大おおがらドワーフがっ!! おかしいと思わない訳っ!?」
「まぁ、さっきの戦い方には正直驚かされましたけど。でも命を狙われている最中に、民の事を考えて行動するなんて普通出来ませんよ?」
「いや、そりゃそーだけど……そーなんだけど……」
何やら納得がいかないらしく、リナさんはブツブツと呟いた後、ポツリと言う。
「……アンタの趣味疑うわよ……ユウ」
それに反応したのはゼルガディスさん。
「どうりでゼロスの奴とも普通に接してる訳だな」
その言葉に、何故か私以外の全員が納得したように頷いた。
そこまで言われるいわれは無いと思うのだが……。
若干腑に落ちない思いをしつつ、そんなこんなでフィリオネルさんの護衛として私達はお城へと招かれた。
その後ちゃっかり商談を始めたリナさんだったのだが……───。
扉が叩かれ、それは中断された。
そこから現れたのはクリストファさんと、その息子アルフレッドさん。
特にクリストファさんがフィリオネルさんの帰還を喜び、「これからも兄を助けてやってくれ」とリナさんの手を握り言っていた程だった。
そして更にその後。
クリストファさんの元で仕えている宮廷魔道士のカンヅェルさんと、同じくマゼンダさんがやって来たのだが、その際にカンヅェルさんがリナさんへと挑戦的な態度をとり、アメリアさんの反感を買った……───と、いう訳である。
ALICE+