「……これをリナ様に渡すようにと」
言って、彼女は一枚の白い封筒を差し出す。
「何これ?」
「ラブレターだったり♪」
封筒を受け取るリナさんに、茶化すアメリアさん。
それを見ていたガウリイさんが、横からキッパリと言い放った。
「それだけは絶対に無いっ!」
───と。
その後は言わずもがな。
胸を張って言い切ったガウリイさんには、即座にリナさんから、制裁と言う名の鉄槌がくだった。
暗殺者の前にガウリイさんがやられてどうする……とも思うが、タフな彼の事。
数分もしない内に、何事も無かったように復活するだろう。
しかし、それはあくまでリナさん達の常識。
普通の人間にはついて行けないものがある。
故に、彼女がドン引きするのも無理なからぬ事で。
「では……わたくしはこれで……」
「あ、ねぇ、ちょっとコレ誰から?」
メイドさんは苦笑しながら断りを入れると、慌ててこの場を去ろうとした。
待ったをかけるリナさんに関わりたくないと言うように。
脇目も振らず。
……そして。
「失礼、します……きゃあっ!」
そのまま後ろを見ずに後退したメイドさんは、手すりの向こうへと落ちていった。
「あらー」
「落っこっちゃいましたね」
「……むごい事を……」
「……よほど慌ててたんでしょう、きっと」
「……で」
リナさんはメイドさんから意識をそらすと、手紙へと目をやり、
「……ま、良いや」
次の瞬間、彼女は手紙をポイッと投げ捨てた。
それに慌てたのはゼルガディスさん。
「お、おいっ! んな今後の展開無視した身も蓋も無い真似するなっ!!」
「だってあたし知らない人からラブレターなんか貰っても嬉しくないしぃ」
「知り合いなら嬉しいんですか?」
「な、何言ってんのよ!? ユウっ!!」
顔を赤くするリナさんに微笑み、ふとゼルガディスさんが拾った手紙へと視線を向ける。
「でも、このタイミングでの宛先人不明の手紙は少し気になりますね……不幸の手紙かもしれませんけど」
「リナならそっちの方が有り得るなぁ」
「ですね、リナさんの噂は城中に知れ渡ってますから」
「……アンタら、言いたいことはそれだけ?」
いつの間にか復活したガウリイさんと、アメリアさんの三人で口々に意見を述べると、怒りで顔を染めたリナさんに睨まれた。
そのやり取りに呆れたゼルガディスさんが、うんざりしながら口を挟む。
「とにかく、何が書いてあるのか開けてみなきゃ分からんだろ」
「まぁ、そりゃそーだ」
彼の言い分に納得したのか、リナさんは先ほどの怒りも忘れ、早速封を開けて手紙を読み始めた。
「えーと、何々? ……おっ!?」
「どうかしたんですか? リナさん」
アメリアさんに問われ、リナさんは手紙に書かれていることを読み上げる。
そこに書かれていたのは───。
「暗殺事件の首謀者について情報あり。さきの場所に来られたし」
「何っ!?」
「差出人は……うーん。どういうつもりかねぇ?」
訝るリナさんに、私はその手紙を覗き見る。
隣では、アメリアさんが驚きの声を上げていた。
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