先の戦いで、魔法の使えなくなった私とリナさん。
魔族が事件に絡んでる今、戦力を失う事はかなりの痛手だった。
───そんな訳で。
早急に力を取り戻すべく私達二人が向かったのは、ルーン山に住む『ルナン』と言う魔法医の家。
何でもそのルナンさん、『あらゆる呪いを解く事が出来る、超偉大な魔法医』なんだとか。
今はいつフィリオネルさんが狙われるとも知れないので、ガウリイさん達にはお城に残ってもらい、引き続き護衛の仕事をお願いした。
まぁ、それがこれまでの経緯。
そして。
「いらっしゃい、いらっしゃい!」
今から向かう山の麓の街。
その方向から聞きなれた声がして、私とリナさんは顔を見合わせた。
「……この声は……」
「まさか、そんな……ねぇ?」
ヒシヒシ感じる嫌な予感。
それでも進む事しか出来ない現状に、私達は足を進める。
……そして見たものは。
予想通りの人物と光景だった。
「さぁ、いらっしゃーい! 安いよ安いよっ! 銀貨一枚あなたの呪いは思うままよっ!!」
「ま、マルチナさん。もうこれ位にしませんか?」
「ゼロス様、わたくし悟りましたの。世の中お金ですわっ! 復讐をするのも、愛しいゼロス様とお茶をするのも。全て先立つ物はお金。だからこうしてコツコツと……」
街の一角で。
何やら怪しげな商売をしていたのは、愛と執念の人、マルチナさん。
まぁ、そこまでは予想していたのだけど。
何故かゼロスの姿まであり、リナさんは驚きの声を上げた。
「あーっ!? や、やっぱりマルチナっ! それにゼロスッ!!」
「やっと来ましたね、お二方」
こちらの反応はお見通しだったのか、いつもの様に笑顔で対応するゼロス。
対して、マルチナさんは面食らったように彼を振り仰いだ。
「お二方、って……ゼロス様がお待ちになっていた方って」
「あれ? リナさんとユウさんですよ? 言いませんでしたっけ?」
「えぇーっ!?」
いけしゃあしゃあと言われ、マルチナさんは絶叫する。
まぁ……マルチナさんにとってリナさんは天敵だし、ゼロスとしては面白半分で黙っていたのだろう。
そんな事は微塵も顔に出さず、さくさくと話を進める彼は流石としか言いようがない。
「いやぁ、この度は災難でしたねぇ。魔術を封じられるなんて」
「ずっと居なかった割りに情報が早いじゃない……で? ココで何してる訳?」
「魔法医の所までご一緒しようかと思いまして、待ってたんです。マルチナさんと」
「マルチナさんとって……」
「………………」
ジト目で問い掛けるリナさんに、ゼロスはさらりとそんな事を言ってのけた。
見るとマルチナさんは、きょとんとしながらゼロスを見上げている。
それに気付いているのか、いないのか。
ゼロスは構わず続けた。
「2、3日前にマルチナさんが盗賊に襲われてるのをお助けして、お知り合いになりましてね。僕と一緒に行くと言われるので……いけませんか?」
「いけませんかって……あのね」
「まぁ、ゼロスさん達の事です。ついて来るなと言っても無駄なんでしょうね……きっと」
「……って、アンタは何やってんのよ? ユウ」
話の片手間にマルチナさんから呪いグッズを買い取る私に、リナさんからツッコミが入る。
「ん? 何って……一種のボランティア、ですかね?」
「アンタねぇ……」
正直に告げる私に、何故かリナさんは深々と項垂れた。
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