───……しかし。
潮時かなと思っていた矢先に、この状況。
ついてないと言うか、なんと言うか。
今のままじゃあ、帰ることも出来ないし……。
「…………はぁ」
私は気付かれない様にそっと息を吐き、前を歩く三人をぼんやりと眺めた。
ゼロスの片腕を取り、リナさんを睨み付けているマルチナさん。
うんざりと肩を落とすリナさんに、飄々としているゼロス。
「……………」
「……………」
「……………」
………この異様な雰囲気の中。
少し離れて歩く以外に、私に一体どうしろと言うのだろうか……。
やるせ無さに途方に暮れる。
そして一同沈黙の中、ただただ歩みを進めること数十分。
変化があったのは、別れ道に差し掛かった時だった。
「それじゃあ僕は食料を買い込みに行ってきますから、お三方は一足先に行ってて下さい」
「え? ちょ、ちょっと待ってよっ!!」
ゼロスの急な言い出しに、慌てるリナさん。
そんな彼女には構わず、彼はニコニコ笑顔でマルチナさんへと言い聞かせる。
「今回は僕の顔を立てて穏便に」
「はぁい。わかってまぁす♡」
「じゃ」
素直な答えを聞いて、ゼロスが私達へと背を向けた───その直後。
「フフフフフ……」
「やっぱり……」
「とうとう二人きりになったわね! リナ=インバース!!」
って、私のコト思いっきり眼中に無いんですね……マルチナさん。
「あぁ、言い忘れてましたけど」
「っ!?」
「魔術を使えないリナさんをイジメちゃダメですよ?」
「わ、わかってまぁす♡」
戻ってきたゼロスに慌てつつも、二つ返事で答える彼女。
辺りにはハートが舞っている。
「それじゃ」
今度こそ去り行くゼロス。
その途端、マルチナさんは、ほくそ笑んだ。
「ゼロス様はあぁ仰ったけど、要はゼロス様にバレなきゃ良いのよ!」
「あ、ちょっとマルチナっ!?」
自信満々走り去る彼女に、呆然とする私達。
面倒事はごめんなのに……。
「しゃーない、追うわよ! ユウ」
「………………はい」
言ってすでに走り出しているリナさんに、私の言い分が聞き届けられるはずもなかった。
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