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走り出してから程なく。

ひらけた場所に出ると、そこにマルチナさんは居た。

───手に木の棒を持って。



「ちょっと待ってね」



私達の……と言うか、リナさんの姿を見て一言断ると、持っていた棒で地面にガリガリ線を描いていく彼女。

そして待つことしばし。

一通り描き終わったのか、マルチナさんは手に付いた土をほろうと、リナさんへと手を差し出した。



「さてと、魔方陣は完成したわ。お次は……何か身に付けてるもん頂戴」

「逆らう気も起きんは」

「……って、良いんですか?」

「まぁ、この際どうとでもなるでしょ」



素直にロンググローブを渡してしまうリナさんに尋ねれば、彼女は疲れを滲ませ言う。

対して、グローブを手にしたマルチナさんはひとしきり高笑いすると、それを自身の額に巻き付けた。



「オッホホホホ、ついに罠に落ちたわね! リナ=インバースっ!」

「……コレ罠?」



呆れるリナさんだったが、もちろんマルチナさんは聞いちゃいない。



「お前の魔術が封じられたのも、天がゾアメルグスター様に与えたチャンス! 鍛練に鍛練を重ね、磨き上げた我が呪いの恐ろしさに震えるが良いっ!!」























「そう言えばユウ。マルチナから変な呪いグッズ買ってたけど、どうすんのよアレ」



描いた六紡星の上で、かれこれ一時間は両手を上げ続けるマルチナさん。

そんな彼女をしり目に、リナさんは思い出したように言う。



「あぁ、アレですか。何となくマルチナさんが不憫で買ったんですけど……」

「……アンタも物好きよね」

「でも呪いなんてそうそう使う機会もないので、彼女に返しました」



どの道、私の居た時間には持って帰れないし。

内心そう付け加えると、リナさんは心底不思議そうな顔をした。



「返しましたって……返品したって事?」

「いえ、一度は買ったものですから、こっそり彼女の荷物の中に紛れ込ませたんです」

「……ねぇ、それってさ」

「?」

「マルチナに呪いがかかったりするんじゃないの?」

「………………」



言われて私はマルチナさんへと視線を移す。

魔方陣の上で身動ぎ一つしない彼女を眺め、ポツリと一言。



「大丈夫ですよ……多分」

「……多分て」



あはは……と誤魔化し笑いをしながら、私はポリポリと頬を掻いたのだった。

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