それから更に、しばし。
青かった空がオレンジ色になった頃。
リナさんとマルチナさんは、岩の下敷きになっていた。
と言うのも、マルチナさんの呪いの成果なのか、はたまた単なる偶然か。
雷が二人を襲い、逃げ回ってる内に、崖の上から岩が落ちてきたのだ。
リナさんはいつもの調子で火炎球を唱えるも、彼女の手からはプスン……と黒い煙しか生まれず、この状況───と言う訳である。
「……生きてます?」
「何でアンタだけ無事なのよ……」
ジト目で睨まれ、私は苦笑しながら推論を述べる。
「おそらく、リナさんの持ち物を媒介にした呪いなので、本人のリナさんと、それを身に付けていたマルチナさんが狙われたんじゃないでしょうか?」
「うー……惨め……惨め惨め惨めっ! 魔術が使えないのがこんなに不便だとは思わなかったっ!!」
リナさんはドンドンと地面を叩きながら嘆いた。
同じ立場の私としては、その気持ちは良く分かる。
……が、リナさんの場合、自分から巻き込まれに行ってるように思う。
「大体アンタが余計な事するからっ!!」
「ふん、思い知ったか我が呪い!」
「このぉっ……術が使えるようになったらボッコボコにしてやるっ!」
一人嘆息していると、自力で岩の下から脱け出したリナさんは、マルチナさんへと食って掛かっていた。
その啖呵に負けじとマルチナさんも岩の下から這い出し、余裕の笑みを浮かべてみせる。
「あ〜ら、無事に魔法医の家にたどり着けると思ってるの?」
「あ〜ら、ゼロス様に言い付けてもよろしくってよ?」
「まぁ!? なんて卑怯なッ!!」
睨み合ったのは数秒。
二人の間にバチバチと火花が散り、そして始まる口喧嘩。
「あんたねぇっ!」
「何よッ!!」
「卑怯者っ!!」
私はやれやれと溜め息を吐き───ふと、視線を感じて振り返る。
───……そこに居たのは……。
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