「うーん、なかなか良いコンビですね。今回は楽しい旅になりそうです」
振り返った先。
木の陰に隠れるように佇んでいたゼロスを見つけ、私は彼に近づき吐息をついた。
「……面倒な旅の間違いじゃない?」
「おや、ユウさん。よく僕がココに居ると分かりましたね」
「あんな視線を投げ掛けられたら、誰だって気付くと思うけど」
「あのお二人は気付いていないみたいですよ?」
「……まぁ、リナさん達は今取り込み中だから」
ゼロスに言われ彼女達を見ると、口論は更に白熱していた。
「で? 食料を調達しに行ったんじゃなかったの?」
「いやぁ、それが手が足りなくて。何と言ってもリナさんが食べる量は半端じゃないですからね。はっはっはっ」
───まぁ、それも一利あるだろうが。
それだけではないだろう。
反射的にそう思うものの、ポリポリと後ろ頭を掻いてるゼロスには「そうね」と一言で返す。
面白がりなゼロスの事。
どうせ二人を喧嘩させやすい状況にして、楽しんでいたのだろう。
「……そんな訳なので」
「ん?」
「食料の調達、手伝ってもらえませんか?」
「嫌」
「って何で即答なんですかぁッ!?」
「だって疲れそうだし、それにリナさんがイジメられたら困るんでしょ?」
「……いや、それは……」
まぁ、あのリナさんが魔力が無いくらいで、イジメられるとは思えないけど。
それでも嫌がらせくらいはされるだろう。
「それにしても、何でマルチナさんを助けたの?」
「何でって……放っておいた方が良かったですか?」
「いや、そういう意味じゃなくて……どうして助ける気になったのかと思って。人助けだなんて、ゼロスの柄じゃないでしょう?」
「……ユウさん、一体僕を何だと思ってるんですか」
「だってその通りじゃない」
「まぁ、そうなんですけどね」
何だかんだ言いつつ同意するゼロス。
それに対し私は更に質問を重ねる。
「それに一緒に魔法医の所に行くだなんて……一体どういう風の吹き回し?」
「それは───……心配だったんですよ」
「リナさんが?」
「いえ」
「じゃあ、マルチナさんが?」
そう尋ねるとゼロスは困ったように笑い、そして───。
「ユウさんが……ですよ」
と、言われた。
「…………」
「ユウさんも魔術が使えなくなってしまったのでしょう? 誰かに襲われたら大変だと思いまして」
「……何で?」
「は?」
笑顔で言う彼に対し、私は顔をしかめた。
例え、それが彼の気まぐれだったのだとしても。
……このタイミングでそんなこと言われたら……。
「───困る」
それだけ言うと、私はゼロスに背を向け歩き出した。
「え? ちょ、ユウさんっ!?」
突然の行動に、ゼロスは戸惑いの声を上げる。
けれど私は困惑した彼を無視し、そのままリナさん達が居る方へ足を進めた。
進めるしかなかった。
あとがき
その優しさに
───泣きたくなったから。
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