「く……このままじゃ」
「ほぉ、まだ立ち上がれるのか」
片腕を押さえながら立ち上がるリナさんに、魔族は感心したように声を上げる。
それが本心からか、それとも面白がっているからなのかは分からないが。
まぁ、多分後者だろうけど。
そんな魔族に向かい、リナさんはキッパリ言ってのけた。
「最後まで諦めない方なんでね。殺られるにしたって、ド派手に魔術喰らって立ち往生って方がカッコ良いでしょ!」
何ともリナさんらしい言葉。
それでこそリナさん。
が、しかし。
魔族は待ってはくれない。
「なら望みのままに」
魔族は片手に魔力を集中し始めた。
「何故あたしを殺そうとするのっ!?」
「知れたこと。邪魔だからよ」
「なぜ邪魔なのよっ!?」
「お前に話す必要はない」
「そんな事言うと化けて出るわよッ!?」
さしもの魔族もこれには呆れて言葉を失う。
その間に私はリナさんに近づき、声をかけた。
「無駄ですよ、リナさん。下っぱ魔族に計画の説明なんて出来ませんって」
「ユウっ!」
「下っ端魔族が出来ることは、精々が自分の上に立つ者の名をバカ正直に答えるくらいですよ」
「何だお前は!?」
突然横から口を挟まれ、尚かつバカにされ、魔族は怒りの色を濃くする。
そんな魔族に対し私はピッと人指し指を立て、口に当てて微笑んだ。
「それは……内緒です」
「馬鹿にするなっ!!」
吠えると同時に放たれた魔力球。
「まぁ、短気」
「あれだけ逆撫ですれば普通怒るでしょ……って、んな事言ってる場合じゃないし! 何とかしなさいよ、ユウッ!」
「言われなくても」
リナさんに応え、私は慌てず騒がず、杖の先でスッと空中に弧を描いた。
ばちぃっ!
魔族が放ったそれは、円に触れた途端に消滅する。
それを見ていたリナさんは、驚きに目を見開いた。
「魔力を宿した杖……? やるじゃないユウっ!! よっしゃ、その調子であの魔族達もチャチャチャッと片付けて頂戴ッ!!」
勢いづくリナさんに、私はタラリと汗をかく。
「……あの」
言いたくない。
言いたくは無いのだが、バレるのは時間の問題である。
「何よ?」
「……期待されてるところ大変申し訳ないんですが、この杖……防御しか出来ないんですよ」
「………………へ?」
「なので、チャチャチャっとは無理かと……」
あはは……と乾いた笑いを向けると、リナさんの額にピキッと青筋が浮かんだ。
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