───予感的中。
祈りにも似た願いは、いとも容易く見捨てられた。
「きゃあぁあっ!!」
「ひゃっほーっ♪」
崖を飛び降りながらの対称的な声。
もちろん、悲鳴が私で、楽しそうなのがリナさんである。
彼女が何かを思い付いた後、リナさんはゼロスに丸太を一本用意させた。
それをどうするのかと尋ねた彼に、リナさんは私の手をむんずと掴むと、事もあろうに丸太共々、崖下へと飛び降りたのだ。
確かに、この川を下ればセイルーンに着くことが出来る。
尚かつ川の流れはそこそこ速く、いくらもしない内にたどり着く事が出来るだろう。
───が、しかし。
一歩間違えば大惨事。
たどり着く前に私達が死んでしまっていたかもしれない。
「……何もこんな賭けに出なくても」
「他に手が無かったんだから仕方ないでしょっ!」
「呪符使って、浮遊なり、翔封界で向こう側に飛べば良かったじゃないですか」
『………………』
私の至極真っ当なその言葉に、数瞬の沈黙が落ちる。
「ま、まぁ過ぎた事を言ってても仕方ないわ! 現に無事なんだし、良かったじゃない♪」
「……無事……ねぇ?」
丸太の上に立ちつつ、川に流される私達。
川───そう、それは水の流れ。
再び襲う嫌な予感。
と、そんな中。
「お? ねぇ、あれってマルチナじゃない?」
「あ、ですね」
リナさんが指し示した先には、溺れかかってる彼女の姿。
「マルチナぁーーーっ!」
「り、リナ! あなた、わたくしを助けに?」
瞳を輝かせるマルチナさん。
そして、そんな淡い期待をよそに、
どがっ!
丸太が彼女に直撃した。
「あ、当たっちゃった? ごめんねー、今急いでるから!」
「このっ、胸なしっ! ロクデナシっ!!」
「火炎球!」
彼女の悪口に、リナさんはいつもの調子で術を唱える。
すると彼女の手からは魔力球が生まれ、マルチナさんへと飛んでいった。
「きゃあぁっ!!」
「リナさん、今の!」
「魔力が戻った!! ……ん?」
「って、嘘……っ」
魔力回復に喜んだのも束の間。
行く手には進路を阻む大きな岩。
無論、ただの丸太に回避する術などない。
私達の乗っていた丸太は、正面から岩にぶつかり、ものの見事に引っくり返った。
「っ!?」
「浮遊っ!」
落ちると思ったその刹那。
咄嗟に唱えられたリナさんの術は、私達をフワリと宙に浮かせ───
ざばぼーんっ!
「あ゛ぁ、やっぱりまだダメだぁ。ぢくしょーっ!!」
華麗に宙を行く事はならず。
結局、私達は冷たい水の中へと落とされた。
「やっぱりこうなるんですね……」
流れに身を任せながら呟く私に、残された道はただ一つ。
この状況を受け入れ、諦めるだけだった。
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