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お城に着き、まず向かったのはフィリオネルさん達が居るはずの神殿だった。

辺りは不穏な空気に包まれ、騒然としている。



「何だっ!? 何が起こってるんだっ!?」



神殿の中心部に近づくと、そんな声が聞こえてきた。



「異空間からの干渉よっ!」

「リナさん! それにユウさんも!」



アルフレッドさんの声に、リナさんは「お待たせ」と笑顔を見せる。

そう、私達はようやく、この場に戻ってくることが出来たのだ。



「あ……どうしたんです? その格好……」

「……ちょっとね……」

「色々ありまして……」



彼が不思議がるのも、無理はない。

川に落ちて水浸しの上、リナさんに至っては変な魚を捕まえていたりするのだ。

まぁ、着替える暇が無かったので、その辺は見逃してほしい。

そんな事より、である。

私は部屋を見て、眉を顰めた。

部屋の中心に描かれた魔方陣。

本来ならフィリオネルさんをはじめ、彼を護る為にガウリイさん達がその上に居るはずなのだが……。

残念なことに、彼らの姿はどこにも見当たらなかった。

リナさんが言うように何者かが空間を操り、ガウリイさん達を閉じ込めてしまったのだろう。

───だとすると。

ピシッ!

ピシピシッ!

その思考を遮る様に、神殿の壁に亀裂が走る。



「リナさん……!」

「皆、向こうで戦ってるんだわ」

「あぁ、リナ殿! 早く兄上を助けてください!」



心配顔のクリストファさん。

その様子からは、とてもフィリオネルさんを殺したがっているようには見えなかった。

しかし、今は誰が黒幕かを考えている余裕は無い。

一刻も早く、ガウリイさん達を救出しなくては。



「……リナさん」

「わかってる。セイルーンでこの魔方陣を破り、その上ゼルにも破れない異空間を作るなんて普通じゃとても無理だわ。何か、結界を強固にする物があるはず」

「きっと何かを媒介にしてるんでしょうが……でもここに媒介になるような物なんて……」



言って私達は辺りを見渡し、ふと、入り口の上に立てられた女神像に目が止まった。

そうこうしている内にも、亀裂は広がり───それは女神像の手前で、ピタリと止まる。



「───アレだっ!」



リナさんもその事に気付いたらしく、像を壊すべく走り寄る。

───しかし。

ピシャッ!

彼女が近づくと魔力の雷が放たれ、リナさんは後退せざるを得なかった。

そこに響くは、嫌な笑い声。



「ふっふっふっふっ、ようやく気付いたかね?」



……この声は……。



「やっぱりアンタね!? カンヅェルっ!!」

「だが、少々遅かったようだ。もう少しでゲームは終わりだよ」

「どうかしら? この女神像を叩き壊して、皆を取り戻してからでも延長戦には間に合うわよ!」

「ふっ、無駄な強がりを……」



リナさんの挑戦的とも言える言葉に、どこに居るとも知れないカンヅェルは、せせら笑う。



「まだ魔力は完全には戻ってないのだろう?」

「ふっ! このリナ=インバースを甘く見ないことねっ!」



言って彼女は、増幅の呪文を唱え出した。



四界の闇を統べる王

汝の欠片の縁に従い

汝ら全員(すべて)の力もて

我にさらなる魔力を与えよ



「ほぉ、呪符(タリスマン)……魔力の増幅か」



彼女の言葉に呼応し、四つの宝玉が赤く光り───



火炎球(ファイアー・ボール)!」





ごぐわぁっ!



生み出された光球は真っ直ぐ女神像へと向かい、当たった瞬間、爆発を引き起こした。

周囲に広がるざわめき。

しかし───。

爆煙が晴れたそこには、無傷の女神像が佇んでいた。



「っ!?」

「ふっははははっ! 所詮、魔力増幅など付け焼き刃だよ。しかし、よく頑張ったじゃないか。その勇気を称えて、君達にプレゼントを贈るとしよう」



言ったと同時に届けられたプレゼント。

それは異空間にいるガウリイさん達の叫び声と言う……───なんとも悪趣味な物だった。

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