(5/10)

破弾撃(ボム・スプリッド)っ!」

「秘剣旋風弾っ!」

烈閃槍(エルメキア・ランス)っ!」

「鳳凰乱舞脚っ!」



次々と繰り出される技の応酬。

私も参加した方が良いのだろうかと思いつつ、2対3は正義じゃないと正当な理由をつけ、見守ることにする。

まぁ、リナさんとアメリアさんなら、そうそうピンチに陥る事は無いだろうし。

…………面倒だし。

万が一危なくなったら、手を貸そう。



「向こうも結構やるなぁ……お?」



そんなリナさんに怒られた時の弁解を考えていると、それまでのほほんと傍観していたガウリイさんが、何かに気づいたらしい。



「何だ。どうした?」

「いやぁ、この岩がな」



彼の指し示す先を見ると、そこには小さな矢印が記されている。

ふむ、これは……。



「矢印の方に動かせって事ですかね?」

「よし、いっちょ押してみるか!」



言うが早いか岩を動かすガウリイさん。

岩がズズズ……っと動いたその先には、暗い通路が伸びていた。

おそらくコレが、遺跡へと繋がる道なのだろう。



「へぇ、隠し扉になってる」

「よっしゃあ、でかしたガウリイ!」



戦いの最中だったにも関わらず、それに気付いたリナさんは喜びの声を上げる。

そして、すかさず次の行動に移った。



魔風(ディム・ウィン)!」

『きゃああああああっ!?』

翔封界(レイ・ウィング)!」



その行動力には敬服してしまう。

双子を風で吹き飛ばし、続く呪文でアメリアさんを片手にコチラへ向かって進み───って。


「ちょ……!?」

『うわぁああああっ!?』



風をまとった彼女に体当たりされ、私達はまともに隠し扉の先にあった坂を転がり始めた。

それはあたかもトラップの岩のように。

どうする事も出来ず、転がり続ける事しばし。

坂道が終わり、やがて私達はもんどり打ちながらも、開けた平らな場所へと辿り着いた。



「いたたたたた……」

「……何だここは?」

「あー……何だと言われてもねぇ?」

「あ! リナさん! アレ見てください!」

「……入口?」



そう。

いち早く何かに気づいたアメリアさんが指し示した方向には、ぽっかりと穴のあいた入口が佇んでいた。

リナさんはそれを見ると瞳を輝かせ、側に駆け寄る。



「やったー! コレよコレ! この遺跡の地下に呪文書があるのよっ!」

「じゃ、入ってみます……」



嬉々としたリナさんの言葉に、入口へと視線を向けたアメリアさん。

けれど何かを感じ取ったのか、直ぐに呪文を唱え始め、



炎裂壁(バルス・ウォール)!」



彼女が力ある言葉を発したと同時に、遺跡の奥から何かが飛んで来た。

しかし、事前に術を張り巡らせていたお陰で、それは見えない壁にぶつかり四散する。



「何だ今のはっ!?」

「ぬっふはははははっ!」



ガウリイさんの声に答えるように響く笑い声。

その声の主はゆっくりと遺跡の入口から現れた。

その姿は仮面そのもの。



「何なのよ、コイツ。この遺跡を守る番人かしら?」

「いいや、違うぞリナ=インバース」



訝るリナさんに、仮面は視線だけを動かし言う。

……リナさんの名前を知っている?

まさか……。



「アンタ……魔族ね?」

「ガーヴ様の為にお前の命を頂く」



予感は的中。

眉を顰めたリナさんに、仮面魔族はいともあっさりと答えてくれた。



「あーもうっ! どうしてこんな時に現れんのよぉっ!?」

「まぁ、人の都合お構い無しに出てきたり消えたりするのが魔族ですから」



私がそう告げると、リナさんはコチラを見て───それから何故か、ひくっと顔を引きつらせる。



「そりゃ……そう、なんだけど」

「……あの、何かユウさん怒ってないですか?」

「アンタもそう思う? アメリア……」

「そこ、聞こえてますよ」



コソコソと話す二人に笑顔を向ければ、これまた何故か彼女達は笑みを強張らせ、ぶんぶんと首が取れそうな勢いで横に振った。

まったく、人の顔を見てする反応にしては酷いんじゃないだろうか。

けれど、私が文句を言うより先に、仮面の魔族がしびれを切らして仕掛けてくる。



「えーい、ゴチャゴチャと身内だけで話おって! 行くぞっ!」



言って姿を変形させる仮面魔族。

それはあたかも星かヒトデの様で。



『…………。』



辺りに流れる、何とも言えない空気。

それを打ち破ったのは、リナさんの笑い声だった。



「っはははははっ! あはははははっ! あはははっ! 何か、変だよアンタ! はははははっ!」



魔族を指差し、お腹を捩らせ笑い転げるリナさん。

それとは対称的に、ガウリイさんとゼルガディスさんは、その間抜けな姿に脱力してその場に崩れ落ちた。

しかし、仮面魔族は「何がおかしい!」と猛反論。

…………魔族の美的感覚って良く分からない。

呆れて物も言えない私は溜め息をつき───と、その時。

ヒュンヒュンヒュン……。

何かが風をきって回る音が聞こえてきた。

不思議に思いつつ、振り向き見た先には襲い来る扇。

私達は慌てて頭を低くして遣り過ごし、次の瞬間。

すこーんっ!

と小気味いい音と共に、仮面魔族の顔面(?)に扇が当たり、跳ね返ったのだった。

<<>>
[ 戻る ]


ALICE+