「破弾撃っ!」
「秘剣旋風弾っ!」
「烈閃槍っ!」
「鳳凰乱舞脚っ!」
次々と繰り出される技の応酬。
私も参加した方が良いのだろうかと思いつつ、2対3は正義じゃないと正当な理由をつけ、見守ることにする。
まぁ、リナさんとアメリアさんなら、そうそうピンチに陥る事は無いだろうし。
…………面倒だし。
万が一危なくなったら、手を貸そう。
「向こうも結構やるなぁ……お?」
そんなリナさんに怒られた時の弁解を考えていると、それまでのほほんと傍観していたガウリイさんが、何かに気づいたらしい。
「何だ。どうした?」
「いやぁ、この岩がな」
彼の指し示す先を見ると、そこには小さな矢印が記されている。
ふむ、これは……。
「矢印の方に動かせって事ですかね?」
「よし、いっちょ押してみるか!」
言うが早いか岩を動かすガウリイさん。
岩がズズズ……っと動いたその先には、暗い通路が伸びていた。
おそらくコレが、遺跡へと繋がる道なのだろう。
「へぇ、隠し扉になってる」
「よっしゃあ、でかしたガウリイ!」
戦いの最中だったにも関わらず、それに気付いたリナさんは喜びの声を上げる。
そして、すかさず次の行動に移った。
「魔風!」
『きゃああああああっ!?』
「翔封界!」
その行動力には敬服してしまう。
双子を風で吹き飛ばし、続く呪文でアメリアさんを片手にコチラへ向かって進み───って。
「ちょ……!?」
『うわぁああああっ!?』
風をまとった彼女に体当たりされ、私達はまともに隠し扉の先にあった坂を転がり始めた。
それはあたかもトラップの岩のように。
どうする事も出来ず、転がり続ける事しばし。
坂道が終わり、やがて私達はもんどり打ちながらも、開けた平らな場所へと辿り着いた。
「いたたたたた……」
「……何だここは?」
「あー……何だと言われてもねぇ?」
「あ! リナさん! アレ見てください!」
「……入口?」
そう。
いち早く何かに気づいたアメリアさんが指し示した方向には、ぽっかりと穴のあいた入口が佇んでいた。
リナさんはそれを見ると瞳を輝かせ、側に駆け寄る。
「やったー! コレよコレ! この遺跡の地下に呪文書があるのよっ!」
「じゃ、入ってみます……」
嬉々としたリナさんの言葉に、入口へと視線を向けたアメリアさん。
けれど何かを感じ取ったのか、直ぐに呪文を唱え始め、
「炎裂壁!」
彼女が力ある言葉を発したと同時に、遺跡の奥から何かが飛んで来た。
しかし、事前に術を張り巡らせていたお陰で、それは見えない壁にぶつかり四散する。
「何だ今のはっ!?」
「ぬっふはははははっ!」
ガウリイさんの声に答えるように響く笑い声。
その声の主はゆっくりと遺跡の入口から現れた。
その姿は仮面そのもの。
「何なのよ、コイツ。この遺跡を守る番人かしら?」
「いいや、違うぞリナ=インバース」
訝るリナさんに、仮面は視線だけを動かし言う。
……リナさんの名前を知っている?
まさか……。
「アンタ……魔族ね?」
「ガーヴ様の為にお前の命を頂く」
予感は的中。
眉を顰めたリナさんに、仮面魔族はいともあっさりと答えてくれた。
「あーもうっ! どうしてこんな時に現れんのよぉっ!?」
「まぁ、人の都合お構い無しに出てきたり消えたりするのが魔族ですから」
私がそう告げると、リナさんはコチラを見て───それから何故か、ひくっと顔を引きつらせる。
「そりゃ……そう、なんだけど」
「……あの、何かユウさん怒ってないですか?」
「アンタもそう思う? アメリア……」
「そこ、聞こえてますよ」
コソコソと話す二人に笑顔を向ければ、これまた何故か彼女達は笑みを強張らせ、ぶんぶんと首が取れそうな勢いで横に振った。
まったく、人の顔を見てする反応にしては酷いんじゃないだろうか。
けれど、私が文句を言うより先に、仮面の魔族がしびれを切らして仕掛けてくる。
「えーい、ゴチャゴチャと身内だけで話おって! 行くぞっ!」
言って姿を変形させる仮面魔族。
それはあたかも星かヒトデの様で。
『…………。』
辺りに流れる、何とも言えない空気。
それを打ち破ったのは、リナさんの笑い声だった。
「っはははははっ! あはははははっ! あはははっ! 何か、変だよアンタ! はははははっ!」
魔族を指差し、お腹を捩らせ笑い転げるリナさん。
それとは対称的に、ガウリイさんとゼルガディスさんは、その間抜けな姿に脱力してその場に崩れ落ちた。
しかし、仮面魔族は「何がおかしい!」と猛反論。
…………魔族の美的感覚って良く分からない。
呆れて物も言えない私は溜め息をつき───と、その時。
ヒュンヒュンヒュン……。
何かが風をきって回る音が聞こえてきた。
不思議に思いつつ、振り向き見た先には襲い来る扇。
私達は慌てて頭を低くして遣り過ごし、次の瞬間。
すこーんっ!
と小気味いい音と共に、仮面魔族の顔面(?)に扇が当たり、跳ね返ったのだった。
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