「外したネ!」
「今度は逃がさないネ!」
扇が跳ね返った先。
そこには双子の姿があった。
「もう追い付いてきたの……」
「さっさと立ち去るネ!」
「遺跡の中にはアタシ等の……」
ウンザリしている私達に構わず話続ける彼女達。
しかし、この遺跡の中に眠る呪文書を巡る争いの他に、主にリナさんを狙って襲い来る連中が居るのも忘れてはいけない。
「火炎球!」
『きゃああああああっ!?』
「ようやく見つけたぞ。おれだって魔道士の端くれ。ここがお前達の墓場と知れ!」
そう、リナさんが事ある毎に吹っ飛ばしている、ミスター・ボーデンの手下達。
彼等の放った火炎球は物の見事に『ミミ・ネネ』コンビを吹っ飛ばした。
だが、彼等の姿を認めた時には既にこちらも動いている。
ゼルガディスさんと共に呪文を詠唱し、手下達を一瞥して術を解き放つ。
『火の矢!』
『うわぁあああっ!?』
魔道士の端くれ───そう自負するのなら、敵前で無駄話をしない事である。
吹っ飛ぶ彼等には目もくれず、ゼルガディスさんは振り返ると苛立たし気に言う。
「全く……こんな茶番にはウンザリだ。さっさと呪文書を見付けるぞ!」
その言葉に、私達はさっそく地下遺跡へと足を進める事になった───。
呪文書への道は困難を極めた。
明かりを掲げたリナさんを先頭に、歩みを進める事しばし。
「行き止まりか……」
「うーん、ちょっと待ってね。えーと、突き当たりの壁を力を込めて押し……」
「ジャスティス・ショルダーアタック!」
「……てはいけない」
「は?」
地図に書かれたヒントを読み上げるリナさん。
それに応える様に肩から壁へと突進するアメリアさんだったが、予想外の言葉が続き、彼女は間抜けな声を上げた。
───そして。
「あれーっ!!」
壁は回転扉になっていたらしく、アメリアさんは勢いよく壁の向こう側にあった落とし穴へと落ちていく。
「おーい、大丈夫かぁ?」
「……咄嗟に浮遊をかけたから何とか無事ですけど……リナさんっ!」
「だから、『押してはいけない』って言ったじゃん……」
地図で顔を隠す彼女に、アメリアさんは「うぐぐ……」と拳を握りしめた。
次に行き着いたのは十字路。
「どっちだ?」
「左の通路に入れば、罠が待っている。正面の通路を突き進み、右の壁にあるボタンを……」
「あったぞぉ!」
「押してはならない」
「押しちゃったよぉ……」
『えぇっ!?』
涙ながらに答えるガウリイさんに、驚きの声が上がる。
するとそれが合図だったかの様に、コチラに向かって大量の弓矢が飛んできた。
トラップではありがちな物であるが、突然の事に反応できない。
何もできず身構えた瞬間。
罠を作動させてしまったガウリイさん自身が、スッと私達の前へと立ち、一瞬にして剣で弓矢を叩き落として見せた。
「さて、この先か」
暗闇の中、しかも何本もの飛び来る弓矢を叩き落とすという離れ業をやってのけた彼は、何事も無かったように奥の道へと進んで行く。
流石と言えば流石だが……。
まぁ、とりあえず皆無事なので良しとしよう。
リナさんはホッと息を吐き、再び地図へと視線を走らせる。
そして。
「右の壁にあるボタンを……」
「押さないぞ!」
「押さずに進んではならない」
「進んじゃったよぉ……」
涙し振り返るガウリイさんの上に、天井が崩れ落ちた。
「ちょっと! 最後まで話を聞いてから行動してよね!」
「んな事言ったってぇ……」
呆れとも怒りともつかない彼女の言葉を聞きながら、ガウリイさんはピクピクと力なく答えたのだった。
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