「行けーっ!!」
仮面の分身を幾つも作り出し、命令を下す魔族。
その小さな仮面達は命令に従い、双子や手下達に襲いかかっていった。
「こうなったら、やってやるネ!」
「火の矢!」
「ほわちゃあーっ!!」
「うぉりゃあっ!!」
「火炎球!」
無論、私達の方にも攻撃は来た。
仮面の親玉からの攻撃が。
それを光の剣で受け止めるガウリイさん。
その間に唱えておいた術を解き放つ。
「烈閃槍!」
「火炎球!」
けれどそれらは親玉魔族に届く前に、割って入ってきた小さな仮面達の所為で打ち消されてしまった。
美的センスはあんなんでも、腐っても魔族。
戦闘のセンスはあるらしい。
「ふん! 呪文など効かんっ!」
「はぁあっ!」
ザシュっ!!
そこにすかさず追撃をかけるガウリイさん。
それにより何枚かの仮面は消え失せた。
「どうやらコイツは効く様だな!」
「だがいつまで持つかな?」
ガウリイさんの不敵な笑みにも、仮面魔族は怯まず更に大量の仮面を生み出す。
数で押してくる気か。
「見掛けはくだらんが、魔族を名乗るだけの事はある」
今まで黙っていたゼルガディスさんが、仮面魔族を見据えながら剣の柄に手をかけた。
それをリナさんの声が制する。
「待って、この呪文を使ってみるわ」
その手には呪文書が握られていた。
「本気かっ!? どんな効果かも分かってないのに」
「聖なる加護を授かる呪文って話よ。魔族には有効だと思うわ」
「確かに、やってみる価値はあるかもしれませんね」
魔の対極は聖。
少なからずダメージを与えることが出来るだろう。
それを聞いていたアメリアさんは、例の衣装を笑顔で差し出し言った。
「じゃ、リナさん。はい」
「『はい』って何よ?」
「これを着て唱えなきゃならないんですよ。頑張ってください!」
「何言ってんの! アンタもやるのよっ!!」
「えぇっ!? わたしもですかぁ……?」
「二人で唱えなくちゃいけないんでしょ?」
「ぐ……」
リナさんに凄まれ、アメリアさんが言葉に詰まる。
と、その瞬間。
せっかく存在感を消して見守っていたのに、アメリアさんと目があってしまった。
彼女は私を見つけると、満面の笑みを浮かべてみせる。
「ユウさん。コレどうぞ」
「いえ、私は結構です」
「遠慮しなくて良いんですよ」
「遠慮じゃないです。本気でお断りしてるんです」
笑顔で付き出されてるソレを、私も笑顔でぐいぐいと押し返す。
「どうぞ」
「アメリアさんこそ、どうぞ」
「いえいえ、きっとユウさんの方が似合いますから」
「アメリアさんの方が可愛く着こなせますよ」
「そんなことありませんよ。絶対ユウさんの方が……」
「どっちでも良いから早くしろ!」
譲り合い、いつまで経っても決まらない事に焦れたゼルガディスさんが怒鳴る。
しかし、私は慌てず騒がず、ゼルガディスさんに笑みを向けて言った。
「じゃあ、コレ。ゼルガディスさんが着てください」
「いや……それは……」
「それじゃあ、やっぱりアメリアさんが着るのが良いと思いません? きっと可愛いですよ」
「そんな事ありません! ゼルガディスさんだってコレを着たユウさんの姿、見たいですよね? ね?」
「だから……その……」
「えぇい! さっさとしなさいよアンタ達!! しまいにゃ二人にやらせるわよっ!?」
『……ぅ゛』
リナさんの言葉に、私達は呻き───結局のところ。
どちらが着るかは、公平にジャンケンで決める事にした。
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