「ひ、ひ、ひでぇよ……」
「黙れっ! 歌と踊りの見物料にしたらまだまだ安過ぎるわよっ!!」
いつもの服に着替え終わっても尚、リナさんは恥ずかしさから、黒焦げになったボーデンの手下に向かって怒鳴りつけた。
そんな彼女の後ろでは、ミミさんとネネさんが、嬉しそうに衣装と呪文書を抱きかかえていたりする。
「ねぇねぇねぇねぇ。コレ、ホンットに貰って良いネ?」
「好きにしてちょーだい……」
「助かるネ! コレでアタシ達有名な踊り子になれるネ」
「じゃ、ありがとネ!」
笑顔で去っていく二人を見ながら、リナさんが面白く無さそうに呟く。
「くっそー、あたしの1万丸損だぁ」
「まぁ、魔族は倒せたんですし、良しとしましょうよ」
「そうは言うけどねぇ……」
恨めしそうに私を見るリナさん。
……と、その時。
聞き覚えのある声と歌詞が、どこからともなく聞こえてきた。
「恋に恋す〜る、女の子に〜は」
「っ!?」
「この声は……」
「眩し、過ぎるのマイダ〜ァリン♪ おーほほほほっ!!」
「……マルチナ」
声の発生源は岩の上に立つ彼女、マルチナさんだった。
高笑いする彼女の隣には、何故か神出鬼没の彼の姿まであったりする。
「…………」
「アンタ達今までドコに……?」
「いやぁ、僕も異界黙示録の手掛かりを探していたのですが、良いもの見せて頂きました」
言ってゼロスは笑顔で後ろ頭を掻く仕草を見せた。
どうやら散々人を振り回しておいて、あっさり姿を消した後、マルチナさんと旅をしていた様だ。
それにしても……。
「……良いものって」
「いやぁ、ユウさんのナマ足なんて貴重ですからねぇ」
「………………」
その言葉に、私は二の句が告げられない。
一方、リナさんをからかって楽しんでいるマルチナさんは、更に歌と踊りを続けていた。
「小さな胸をキュンキュン焦がし〜」
「あら見てたのね……」
「おーほほほほっ! 遂にあんた達の弱点を掴んだわっ!!」
……………………ん?
あんた達……?
もしかして彼女、私にも喧嘩売ってるのかな?
……………………。
………………。
…………。
……ほほう。
その喧嘩───。
高値で買い取りさせていただきます!
「片道キップのブーメラン♪」
「くぁーっ! 忘れさせてやるぅーーーっ!!」
「人間、死ぬほど恐い目に合うと自己防衛が働いて、記憶を封じる事があるってご存知ですか?」
「え、ちょ、ちょっと!? 笑顔で何……」
問答無用。
私達は綺麗なハモリを生みながら呪文を詠唱し、
『竜破斬っ!!!!』
「きゃああぁぁっ!?」
本日二度目の赤い閃光は、凄まじい爆音を導いたのだった。
あとがき
届かぬ想いを旋律に乗せ。
届けよ届け、恋の歌───……?
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