昔、この地に人目を忍んで暮らす、天涯孤独の青年がいました。
───男の名前はジョー。
彼は人間を嫌い、人里離れた廃屋の塔に人形と共に、ひっそりと暮らしていました。
これは、そんな男が村の娘アンに恋心を抱いたが為に起こった、
───悲劇なのです。
「嫌ぁだぁっ!」
「我が儘言わないの!」
駄々をこねる子供と、それを叱る母親。
台詞だけ聞くとそんな微笑ましい光景に思えるが、残念ながらそうではなく、私は小さく息を吐いた。
「抵抗があるのは最初だけだって。ほら、皆もう結構楽しんじゃってるわよ?」
絶対おれはそんなみっともない事はしないぞっ!
そう豪語するゼルガディスさんに、リナさんが皆を指して、そう諭す。
辺りを見ると、それはそれは異様な光景が広がっていた。
「いやぁ、なかなかお似合いですよアメリアさん。そのヒトデ」
「ヒトデじゃありません! これは愛と正義の希望の星っ!!」
「ぁあっ! それ良いなっ!」
緑の魚と思われる着ぐるみを着たゼロス。
その彼が、本人曰く『希望の星』と主張している黄色い星の着ぐるみ姿のアメリアさんを褒めると、側で見ていたマルチナさんが羨ましそうに着ぐるみの選択をし始める。
「……わたしはどれにしよう?」
「あぁ……何故か心が安らぐなぁ……」
更にその隣では、くらげの着ぐるみを着てご満悦のガウリイさん。
そして、ゼルガディスさんを説得しているリナさん自身も、ピンクの馬の着ぐるみを着ていたりする。
───何故。
どうしてこんな状況に陥ったのか。
それは遡る事、数時間前。
話は昨夜まで戻る事になる。
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