続く階段は"W"と書かれている扉へと繋がっていた。
「あぁ、ガウリイさんまでこんな姿に……」
「何か……さすがにアホくさくなってきたな……」
「っていうか……階段多くないですか……ここ」
塔だから仕方ないと言えば、それまでなのだけど。
ふんわりと裾の広がるドレス姿で駆け上がるのは、なかなかに辛い。
乱れる息を整えながら辺りを見回し、
「もうココまで来たらヤケよっ! さぁ、次は何なのっ!?」
リナさんがそう叫んだ時。
緑色のヘビっぽいものがシューシュー言いながら現れた。
「ふっ、今度はちっとはマシな相手のようだな」
新たな対戦相手を見て、ふてぶてしく笑うゼルガディスさん。
…………そうかなぁ?
充分ふざけた相手に見えるけど。
そんな事を思っていると、ヘビはコチラを一瞥し、青い舌を出しながら早々と関門の中身を発表した。
「今度のバトルはそう簡単にはいかないぜぇ? ここでの関門は『しりとり』バトルだ!」
「し……」
「しりとりぃ?」
やっぱりか……。
どこか諦めの境地に達しつつ、今度も一筋縄ではいかないのだろうなと漠然と思う。
そして不満の声が上がる中。
リナさんはお手上げという感じで溜め息をつくと、さっそくしりとりを開始した。
「あー、もうヤダはいはい好きにしてよ。じゃあ手近な所からね……ゼルガディス!」
「何故おれ?」
ビシッと答える彼女に、汗するゼルガディスさん。
するとヘビは意味ありげに笑い、おかしな確認をする。
「ゼルガディス……本当にそれで良いんだな?」
───しかし。
シューシュー笑っていたヘビは、尋ねておきながら、コチラの答えも待たずに仕掛けてきた。
突如ゼルガディスさんが光はじめ、眩しさに思わず目を瞑る。
まさか人形にされる!?
そう思ったりもしたが、どうやらそうではなかったらしい。
直ぐに光はおさまり、目を開けた先に見たものは───。
何故か着ぐるみの上からトラ柄のパンツを履いた、ゼルガディスさんの姿だった。
「何だ、コレは!?」
「今、そこの女から指名があった。まずはお前が鬼だ」
「鬼……? おい、第三の関門はしりとりじゃなかったのか!?」
「『尻取り』だ。他の奴の尻に触れば鬼は交替する。最後にその鬼の証であるパンツを履いていた奴が負け!」
……何ともまぁ、どこまでも脱力する関門である。
と言っても、これもまた一つの罠である事に違いは無い。
そう、対戦相手のヘビが絶対に負けないと言う、不公平なルール。
「アンタお尻なんか無いじゃない!」
「反則ですっ!!」
その事をリナさんとアメリアさんが抗議するも、最初からそのつもりのヘビが対戦内容を替えるはずもなく、おかしそうに笑うだけだった。
「ま、とにかく人形にされたくなかったら、とっとと他の奴の尻を触るんだな!」
「他の奴ったって……おい」
ゼルガディスさんは困ったようにアメリアさんへと視線を向けた。
───が。
それに気付いた彼女は、手にしていた人形を落として後退る。
「だ、だめ……だめ……ゼルガディスさん……」
「あのなぁ……」
お尻を手で隠しながら後退るアメリアさんに、彼は顔を赤くして呟く。
「とは言っても、まさかリナの……」
「そんな事したらどうなるか分かってるわよねっ!?」
そう脅迫するリナさんの顔もほんのり赤い。
八方塞がりの彼は、嘆くように頭を抱えた。
このままだと人形になってしまうのは時間の問題である。
「そんな、おれにどうしろってんだ!?」
「大丈夫ですよ、ゼルガディスさん。安心してください」
「ユウ? お前……」
声を掛けた私に、ゼルガディスさんは神妙な顔をする。
嬉しさとも、申し訳なさともつかぬ、そんな顔を。
しかしながら、それはゼルガディスさんの勘違い、早合点である。
「ここに来るまでの間、たとえ負けても次の関門へと来れたんです」
「は?」
「関門は次で終わり。残りは三人」
「お、おい、まさか……」
「大丈夫、きっと元に戻れますから」
にっこり微笑み伝えれば、どうやらそれで時間切れだったらしい。
ゼルガディスさんを光が包み込み───そして。
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