───眠れない。
布団に入り寝返りを打つのは、もう何度目だろうか?
「…………はぁ」
小さく息を吐いた後、私は眠ることを諦め、ベッドから抜け出した。
辺りにはシンとした空気が漂っている。
───時刻は真夜中。
一階の食堂も閉まったのだろう。
先程まで聞こえていた酔っぱらいの喧騒も、今は聞こえない。
「………………」
私はモヤモヤした空気を入れ換えるべく、部屋の窓を開け、夜の空気を室内に取り込んだ。
澄んだ空気が頭をクリアにしていく。
それと同時にここ最近の出来事を思いだし、私は深く長い溜め息をついた。
そうして滑り出たのは後ろ向きな言葉。
「───……帰っちゃおうかな……」
もと居た世界に。
帰ってしまおうか。
彼の居ない世界に。
そうすれば───。
そうすれば。
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