「ほほぅ、君がこの落とし穴を作ったのかね?」
「え……?」
声に振り向けば私達の後ろに兵士達の姿があった。
その中で隊長と思わしき人物がマルチナさんに再度問い掛ける。
「この数々の落とし穴は君が作ったのかね?」
「そ、それがどうしたって言うのよ!?」
その返答を肯定と受け取ったのか、隊長さんはマルチナさんを指を差し、キッパリと指示を出す。
「彼女を連行しろ」
「ちょ、ちょっと! どう言う事よっ!? わたくしが何をしたって言うのっ!?」
「困るのだよ、イタズラとは言え街道に穴を掘られては」
ふと隊長さんの言葉に、今まで私達が歩いてきた方を見てみると、街道のど真ん中で馬車がハマってたり、行商人がひっくり返っていた。
……まぁ、まさか街道にトラップが仕掛けられてるとは思うまい。
油断……と言うか、普通に進んでいて罠に掛かってしまったのだろう。
気の毒に思いながらも再びマルチナさんへと視線を戻す。
彼女は両脇を捕えられ、ズルズルと引きずられていた。
「ちょっ!? 離しなさいよっ! 何であの女にはお咎め無しなのよっ!? わたくしを落とし穴に嵌めたのよっ!」
喚き散らすマルチナさんの言葉に、隊長さんがコチラを見る。
その目は『お前もやったのか?』と無遠慮に問い掛けていた。
私は意識してニッコリ微笑むと、隊長さんに告げる。
「濡れ衣です」
「なっ!?」
「今までいわれ無い逆恨みで付け回されて、困ってたんです」
「ちょっと!」
「かと言ってあんな格好してる人に関わると、後が恐そうで……」
困ったように眉値を寄せ、チラリと彼女へ視線を走らす。
すると隊長さんも納得してくれたのか、「うむ」と一つ頷いてくれた。
「これで無事に旅を続ける事ができます」
「あんた、わたしを売る気!?」
先に売ろうとしたのはどっちですか。
内心でそう突っ込みつつも、けして表には出さず。
「それじゃあ、後の事は宜しくお願いしますね」
「うむ。では、よい旅をな」
「はい、ありがとうございます」
「ちょっ、待ちなさい! 話しは終わってないわよ!」
「行くぞ」
『はっ!』
マルチナさんの言葉を無視し、号令一つで去り行く兵士達。
「復讐してやるぅっ!!」と物騒な叫び声が聞こえてくるが、取り敢えず放っておこう。
そして私は今までのやり取りを黙って見ていたリナさん達へと振り向くと、笑顔で言った。
「行きましょうか」
「……えぐいぞ、お前」
ゼルガディスさんの声は聞こえなかったフリをして、私は再び歩みを進めた。
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