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しかし。

「困った」と言う割りにはその顔はいつもの笑顔とあまり変らない。

そんな状態でそんな事を言われても、全然説得力は無かった。

私は無言のまま窓の外に視線を向け───けれど。

いつまで経っても何も言わない彼に、私は愛想の欠片もなく一言告げる。



「用が無いなら帰ってください」



その取り付く島もなく言い放つ私に、彼がたじろぐ気配がした。



「……………」



けれど私は振り向かない。

瞳を閉じ、時間の経過に身を任せる。

部屋には再び静寂が訪れていた。



……帰ったか。



目を開け、ボーッと景色を眺めながら、私は先程の彼とのやり取りを思い返す。



『もしかして何か怒ってます?』



別に怒っている訳では無い。

怒っている訳では無いのだが……。

でもやっぱり平然としている彼を見ているとモヤモヤしたものが込み上げてくるのは事実だ。

それはマルチナさんを野放しにしている事だったり、嫌がらせを傍観している事だったり。



「………………」



その事に対して謝るどころか、笑顔で楽しんでいる彼に腹が立つ。

…………って、やっぱり怒ってるのか私。

まぁ……でも。

どちらかと言うと『怒り』よりも『呆れ』の方が大きいと思う。

それが『彼』なのだから仕方がないとも思う。

思うのだが……。

やっぱりモヤモヤした気持ちはどうしようもない。



「……………………はぁあ」



私はそっと息をついてから振り返り、



「……って、まだいたんですか」

「………………」



困り顔でこちらを見ている彼に、私はガックリと項垂れた。

まったく……。

困ってるのは私の方なのに。

でも……。



まぁ。
























あとがき

断念。

───意地を張るのは諦めよう。
疲れるだけだから……。

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