まぁ、本人が話したがらないでいるのだから、これ以上の詮索は無意味だろう。
私は再度肩を竦め、「ま、良いけど」と受け流す。
それを聞いたゼロスは、ちらりとコチラに視線をやり、それ以上の言及が無いと分かるとおずおずと香茶に手をつけた。
そして、
「彼って誰?」
「ゴフッ!」
カップを傾けてるゼロスにそう問えば、彼は香茶を吹き出し、むせ出した。
「ゲホッゴホゴホッ」
「……大丈夫?」
流石に聞くタイミングを間違えたかなと反省しつつ、ゼロスの横に行き背を擦る。
すると、若干涙目になった彼は少し苦しそうに「……大丈夫、です」と小さく告げた。
「ゴメンね、まさかそんなに動揺するとは思わなかったから」
「…………けほっ。いえ、少し驚いただけです」
本当に少し驚いた程度なら、むせる事も無かった筈なのだが……。
その事についてこれ以上突っ込むのは可哀想なので、触れない事にする。
その代わりに、先程の疑問を口にした。
「で、結局彼って誰?」
「ぅ……」
再度ゼロスに問えば、面白いくらい動揺して固まる彼。
「ゼロス?」
「あ……いえ……あの……その」
いつもの逃げ口上。
『それは秘密です♪』
そう煙に巻かれると思っていたのだが……。
どうやらパニックに陥っててそれを言うどころではないらしい。
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